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二つの外交的失敗:潘国連事務総長発言

潘国連事務総長による日本の歴史認識に関する発言が波紋を呼んでいる。本件については、外交という観点から、二つの残念な出来事があった。

第一は、言わずと知れたこの発言の危うさである。
数多くの国々が国際の安全を求めて結集した国連の事務総長が、日韓の領土紛争の背景に絡んだ歴史問題について中立を欠く発言を行うことは、あまりに非常識である。しかもそれが失言であるならばまだ取り繕う余地もあるかもしれないが、次の大統領職を伺おうかという母国韓国での発言とは悪質である。国連事務総長が紛争を煽るかのような発言をして、知らんぷりを決め込むことはできない。

第二は、我が国政府の外交的センスの欠如である。
国連の事務方のトップによるかかる発言に対しては、以下の理由から極めて強く反論すべきである。
① 国連、つまり第二次世界大戦以降の国際秩序を揺るがしかねない発言であること
② 国連の事務総長に対する上記のような論点での抗議は、我が国として国益を失うものではないこと。つまり、国際秩序という観点を優先して攻撃できるのみならず、何らかの国益を犠牲にして攻勢に出るようなたぐいの争いにはならないこと。
③ 二国間の紛争や問題に関しては、直接の議論を行う前にいかに根回しを行い、味方を多くするかが肝要であるところ、中立を装う国連事務総長に相手国寄りの関与を許すことは好ましくなく、国連をけん制し、中立を慎重に守らせる、あるいは圧力をかけて我が国に有利に事態を展開させるべきである
④ かりにこのような我が国の主張に対し、韓国のような第三国が異議を唱えたとしても、我が国の主張は歴史認識そのものではなく、国連のルールに対するものであるので、説得力を持って反論できる

それにもかかわらず、菅官房長官は「非常に疑問」との発言にとどめた上で、「我が国の立場を考慮していない」とした。問題にすべきは我が国の立場云々ではなく、ルールと国連の信頼性のはずである。自分であれば、「国連事務総長から謝罪があるまで国連分担金の拠出停止を含め、我が国としての立場を再検討する」くらい踏み込むことを考える。最終的には玉虫色の決着になるにせよ、国連に対し高いハードルを設定して「貸し」を作り、今後も継続するであろう日韓の間の問題に対し、国連を我が方の側に着けるくらいの外交手腕が欲しいところである。
いたずらに威勢のいい発言を行って国益を損ねるのが外交ではなく、領土問題を含めた我が国の国益を最大化するために、外堀を埋め、有利な立場で相手に対峙する、そんな外交的センスを現政権に望むのは無理なのだろうか。

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