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NPOの「リアル」〜"就職先としてのNPO"を考える

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今年も2015年卒業予定の学生向け就活準備サイトがオープンする時期が来た。3年生とっては、夏季休暇中のインターンシップなど、就活に向けた学生の動きも本格化しつつある。一方、国外に目を向けると、米国ではリーマン・ショック以降、就職先として、NPOが脚光を浴びており、Google、Amazonといった有名企業以上に人気のNPOが現れるなど、待遇や経営基盤も営利企業と遜色ないNPO、NPC(非営利株式会社,Non-Profit Company)数多く知られている。

日本でも、サービスを政府に代わって提供していくNPOの活躍に注目が集まってはいるが、ボランティア活動との違いや組織の実態が広く認知されていないこともあり、就職先として選択するには不安が残る、という状況があることも否めない。

さる7月16日、BLOGOSと日本財団では、NPOの最前線で活躍する方々を招き、採用後の教育は?賃金体系は…?など、学生を中心とした参加者からの質問をベースに、日米の比較なども交えながら語って頂いた。【編集部:大谷広太】

どうすれば"就職先としてのNPO"を見つけられるのか

大谷:まず、イケダさんから、これまでの職歴など、自己紹介いただけたらと思います。

イケダ:1986年生まれなので、皆さんより少し年上だと思います。僕は2009年に新卒で半導体メーカーに入りましたが、2年目には転職しました。そこでの仕事にもすぐに飽きてしまって、フリーランスになりました。"社会不適合者"ですね(笑)。NPOとの関わりですが、1社目にいる時から、個人でソーシャルメディアを使ったNPOのマーケティングを担当していました。お手伝いを始めたら面白くて有意義だったので、4年ほど経った今でも続けています。現在は年間で延べ60団体くらいのNPOの方に会っています。

鈴木:1983年の東京生まれ・東京育ちで、母が日本人、父がアメリカ人です。高校卒業後、アメリカの大学で勉強し、卒業後はマッキンゼーに入りました。ただ、ストレスと長時間労働とで、2年足らずで腰を悪くし、歩けない状態になってしまいました。仕事はすごく勉強になって良かったのですが、体がついていけなくて。

それがきっかけで自分の価値観や今まで問題意識を持っていなかったことについて考えるようになり、2008年頃、たまたま大統領選が盛り上がっていたので、当時候補者だったオバマのキャンペーンにボランティアとして入りました。そこで"ソーシャルメディアを活用して社会問題を解決する"、という世界に入り、4年間ニューヨークで働いた後、誰でも簡単に署名を集めて社会を変えよう、というChange.orgの日本版の立ち上げのために去年帰国しました。

松島:私は1985年生まれで、年齢はお二人の間かなと思います。NPO法人クロスフィールズという団体をやっています。

私とNPOとの出会いは、15年くらい前に、私の父がNPO法人を立ち上げたことでした。ですから、私にとってNPOは身近な働き方でした。大学に入った時、父の法人とは別の団体ではありますが、NPO活動をしていました。

卒業後は、そのままNPOへの就職も考えたのですが、一度はビジネスの世界で修行しようということで、コンサル会社に入りました。土日や退社後の時間を使って、プロボノというNPOへの支援活動をしていましたが、やはりNPOに本格的に関わりたいという思いが芽生え、社会人3年目の頃に転職を考えるようになりました。

当時から企業に勤める人が転職をしなくても、NPOを通して社会に関わる活動があっても良いと思っていましたが、それがないのであれば作ろうと思い、今の「留職」という活動を広げています。皆さんの問題意識は、私自身がずっと悩んでいたことでもあるので、今日は楽しみにしています。

大谷:ありがとうございます。「就職先」ということで、まずイケダさんにお聞きしたいのですが、どうすれば"就職先としてのNPO"を見つけられるのか、という素朴な疑問があるのではないかと思います。最近でこそメディア露出の多いNPOも出てきていると思いますが、全体で言えばまだまだマッチングの場が少ないですね。一般企業であれば、リクナビなどのサイトを通して、興味関心の分野から応募先を探すこともできますが…。

イケダ:学生さんにおすすめするのは、「ETIC.」という団体が、NPOのインターンシップを斡旋しています。ETIC.さんは、DriveというNPOに特化した求人サイトを立ち上げています。また、東京ですと、市ヶ谷にある「日本NPOセンター」という中間支援組織の詳しい方がありますね。そこに行くとつながりができると思いますが、やはりオンラインの情報はあまり無いので、イベントなどに参加して、詳しい人に直接聞くのがいいと思います。NPOへの就職を考えるなら、Webだけで情報を探すのはやめたほうがいいです。誰かに聞いて、イベントに参加する、ETIC.さんはその最大公約数的なものだと思います。

大谷:現在、NPOが4,700ぐらいある中、定期採用を毎年システマティックに実施するとともに、採用した人たちの育成も含めて、ちゃんと実施できているところは一般企業に比べれば、まだまだ多くはないのではないかと思います。松島さんにお聞きしたいのですが、新卒の受け入れ先としてのNPOの労働市場はどのような状況ですか?

松島:全ての団体を知っているわけではありませんが、企業のように一斉に定期採用を実施しているという話はあまり聞きません。いきなり採用活動やるというよりは、学生さんなら1年くらいインターンとして働いてみて、うまくいくか、お互い相性が合うかなどを見て、職員になるというケースの方がよく聞きます。定期採用というよりは、ご縁があるかどうかに依っているというのが現状なのかなと。その状況を変えるために、NPOへの就職マッチングサイトなどができたりと、新しい動きは確実に起こっていますが、なかなか企業のように定期採用には至っていないのが現実だと思います。

一部の大きなNPOは新卒採用もしているかもしれませんが、その他の多くは、まだ新しいからとか、小さいからということで、新卒で採用し、ゼロから育てるだけの余裕がないというのが現状だと思います。

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