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『有給休暇制度』撤廃のススメ

2013080901

■有名無実化している有給休暇制度

 「有給休暇」とは、読んで字の如く「給料の出る休暇」という意味だが、日本の会社は有給休暇がなかなか取れないことで有名だ。これは今に始まったことではなく、昔から誰もが疑問に思ってきたことでもある。

 決められた有給休暇を消化することが半義務化されている公務員や一部の企業を除き、有給休暇制度というものは有名無実化している。

 とはいえ、世間一般的には有給休暇制度というものは、病気などの理由で休んだ場合に給料が引かれないようにするために予備的に設けられた休暇制度という側面も有る。元々、万が一の保険のようなもので、取らないことが望ましいと認識している人も多いかもしれない。

 少し個人的なことを書かせてもらうと、私の場合、ここ数年間、法事で有給休暇を1日だけ取得した程度で、昨年は皆勤だった。土曜日も年間に半分程度は出勤しており、おまけに仕事が忙しい時は休日出勤も行っているので、世間一般よりもかなり休日は少ない方だと思う。

 昔は休日は日曜日だけだったという会社も多いそうだが、土曜日が出勤日か休日かという違いは実に大きい。出勤日を基準にして「7日中5日出勤」と「7日中6日出勤」を比較すると、あまり大差が無いように感じられるが、視点を変えて休日を基準にして考えてみると、「1週間に2日休み」と「1週間に1日休み」では実に2倍の差が有ることに気付かされる。

 たった1日の違いでも、「24時間の自由時間」と「48時間の自由時間」では雲泥の差で、次の週に残る疲労感にも圧倒的な差が出ることは言うまでもない。

■休むことに引け目を感じない有給休暇制度の導入

 話を戻そう。先程、「日本の会社は有給休暇が取れない」と書いたが、もちろん、強制的に取れないという意味ではない。では、なぜ取れ(ら)ないのかと言うと、有給休暇を取得することに抵抗感を感じるためである。その理由は人によって様々だが、大抵は次のような理由からだろうと思う。

 1、周りの人が休むことなく働いているのに、自分だけ休むのは気を遣う。

 2、理由もなしに休むのは、倫理的にどこか罪悪感がある。

 3、自分の代わりに仕事をする人がいないので休めない。

 4、ワーカホリック(仕事中毒)なので、休まなくても苦にならない。

 の場合、周りの従業員に対してではなく経営者(や上司)に対して気を遣うという人もいるかもしれない。経営者(や上司)の視点で観れば、従業員(や後輩)は休むことなく真面目に働くのが良い姿に映るので、そのイメージを損なわないために気を遣って休めないという人もいるだろう。

 は例外としても、有給休暇が取れない理由は「遠慮」という感情が大きな障壁になっていることはほぼ間違いない。休むという行為にあまり良いイメージが伴わないからこそ有給休暇が取れなくなる。

 「エコノミック・アニマル」と揶揄(賞賛?)された日本人らしい倫理観とも言えるのかもしれないが、この問題を倫理観を損なうことなくクリアすることができれば、日本でも有給休暇が普通に取れることになるはずだ。では、どうすればいいのか?

 この解決策は実はそれほど難しいことではない。単純に次のようにすれば、あっさりと解決するのではないかと思う。

 「有給休暇制度を撤廃し、その分、幾分か休日数を増やし、休日が増えた分だけ給料をカットする

 つまり、有給休暇を始めから固定休日ということにし、慶弔や大病、事故などの絶対的に休まなければならない事情が有る場合を除き、その他の休暇は全て欠勤扱いにすればいいのである。

 『遠慮の固まり』と化した有給休暇を取得することに引け目を感じるのであれば、その引け目を感じないようにすればいい。その方法論は、「休めば給料が下がる」という当たり前の労働システムの導入だ。言わば、『無給休暇制度』の導入である。

■有給休暇が取れない原因は『精神的な三重苦』

 現在の有給休暇制度では、有給休暇を取得した人間は、自らは罪悪感に苛まれ、従業員からは妬まれ、経営者からは疎まれるという“精神的な三重苦”を背負うことになる。

 しかし、休むことによって給料が引かれるのであれば、自らは休むことに気を遣う必要はなくなり、従業員からも公平感があるので嫉妬されず、経営者からも嫌な顔をされずに済む。

 

 現在の有給休暇制度というものは、休んだ人間も休まなかった人間も結果的に皆平等というような悪平等制度であるために有名無実化してしまっているとも考えられる。

 有給休暇の残日数が給料や賞与に影響するという会社も有るかもしれないが、そのような従業員の忠誠心を試すような姑息な踏み絵制度を設けなくても、従業員のやる気は別の方法でいくらでも測ることはできる。休むか休まないかだけで従業員を評価するなどという考えは時代遅れだとも言える。

 休んだ人間も休まなかった人間も平等にではなく、公平に処遇されるという当たり前の制度を導入すれば、有給休暇(ではなく無給休暇)を取得する人は自然と増えることになり、従業員・経営者共にWin-Winの真っ当な制度に様変わりすることになる可能性は極めて高いと思われる。

 実際、有給休暇を遠慮なく取得する人に限って、仕事も不真面目という場合が多い。それはどこの会社でも一緒だろうと思う。現在の有給休暇制度では、皮肉なことに「真面目な人間ほど休日が減少する」ことになる。

 本来なら、普段から真面目に働いている人間にこそ、リフレッシュ休暇を取得し英気を養ってもらうというのが正しい倫理観の根付いた社会の姿ではないだろうか?

 真面目な人間よりも不真面目な人間ほど楽をするというような現在の有給休暇制度は、やはりどこか歪んでいると言わざるを得ない。

 念のためお断りしておくと、私は仕事が嫌で休みが欲しいという理由でこんな記事を書いているわけではない。公平感の無い無意味な休暇制度なら、いっそのこと廃止にして、新しく公平な制度を設け直した方が良いのではないか?というだけの話である。

 仕事の忙しい繁忙期には休日出勤も大いに結構だ、しかし逆に仕事が暇な閑散期に休日を取得できないということであればフェア(公平)とは言えない。

 「休むが勝ち」というような悪平等な休暇制度を廃止し、いらぬ気を遣わずに自己責任の範疇において伸び伸びと休日が取れる本当の意味での自由な労働制度の導入こそが必要な時代だと思う。

 

 なお、本記事は「休暇取得のススメ」ではないので誤解のないように。

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