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政権交代が泣く

デモの参加者と肩が触れた途端、大袈裟(おおげさ)に転倒する「転び公妨」なる符丁が存在します。その意味では、沖縄県・尖閣諸島付近での中国漁船衝突事件で、 公務執行妨害という”覇道”で中国人船長を逮捕した点が、そもそも、ボタンの掛け違い。現政権の「哲学と覚悟」の無さを内外に露呈した、と僕は憂慮します。

「前原氏『おれが逮捕決めた』」と大見出しを打って朝刊第一面から特集を組んだ「朝日新聞」に拠(よ)れば、逮捕を主導したのは、海上保安庁を所管する国土交通相だった前原誠司氏。「周囲に自信をのぞかせた。『官邸がひよっていた。逮捕を決めたのはおれだ。この対応は間違っていなかった』」と記しています。が、起訴された船長は供述拒否にもかかわらず、拘置期限まで5日間も残る中、那覇地検は処分保留で異例の釈放を発表します。

「仙谷由人官房長官は『地検独自の判断だ』と繰り返した。これを真に受けるのはよほどのお人よしだろう」と政治部長の署名記事を「産経新聞」が掲載したのもむべなるかな。

西岡武夫参院議長も「讀賣新聞」のインタヴューで、「政府首脳に何の連絡もなく那覇地検が釈放するはずがない。那覇地検に責任を負わせるという形は姑息(こそく)だ」と述べています。

翻って2004年、靖国神社参拝問題で”嫌中派”を演じた小泉政権とて、不法上陸者として逮捕した中国人活動家をあえて起訴せず強制送還し、早期「決着」を図りました。「臭い物には蓋(ふた)」の問題先送りは、香具師(やし)の如き啖呵(たんか)が身上だった小泉純一郎氏らしくもない、と今回、「有言実行内閣」は考えたのかも知れません。

であれば猶の事、日本が実効支配する尖閣諸島に「領土問題」が存在しないのは、歴史的にも明らかなのですから、中国人船長の逮捕は、「領海侵犯」「違法操業」「入管法違反」といった”王道”を根拠とするべきだったのです。冒頭で「哲学と覚悟」と申し上げた所以(ゆえん)です。

「『船長釈放』に動いたのは、仙谷官房長官と前原外相だったとされる」と報じた「讀賣新聞」は、間もなく解決するからとヒラリー・クリントン米国務長官に伝えた、と釈放する半日前の段階で前原氏が記者団に自信たっぷりに語ったせりふも紹介しています。が、「国内法に基づき粛々と対処すべき」と筋論を展開していた当人は、釈放から3日後に東京での会見で、”逃げ腰”発言を行います。

「ビデオを見る限りに於いては悪質な事案であるとの意見を海上保安庁に申し出た。国交大臣だった私に逮捕権はない。逮捕権があるのは海上保安庁」と。
何ともいやはやです。大言壮語した”製造物責任者”が、屈辱的迷走の責任は現場に押し付けるのでは、政権交代に期待した国民が泣きます。予算委員会の場でも僕が指摘した点です。

与党統一会派を組む新党日本と国民新党は、”生煮えの混ぜ御飯”状態に陥りがちな巨大与党の迷走を防ぐ、”七味唐辛子”を自任しています。

戦前、「粛軍演説」「反軍演説」で国会から除名されるも、翼賛選挙を非推薦で戦い、最高点で再当選を果たした政治家、斎藤隆夫の「哲学と覚悟」。その足元にも及ばずとも、同じ兵庫県選出の国会議員として今後も「良薬口に苦し」を実践していく覚悟です。

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