記事

お互いが納得いくまで話し合ってみて、初めて真の友好関係が生まれる



写真提供:日本科学協会
写真提供:日本科学協会 写真一覧

日中の学生は何を思い、何を語ったのか、


日中関係のぎくしゃくした状態が続く中、日中の若者が直接交流し、相互理解を深め、より良い隣人関係を構築するために「日中討論会」が7月26日に開催されました。

公益財団法人日本科学協会が主催し、訪日団の渡航費等を公益財団法人日本財団が支援することで実現しました。日本科学協会は、日本理解の深化と日本語学習意欲の高揚を図るため、日本に関する知識・情報を競う大会である「笹川杯日本知識大会」を、日本語を学ぶ中国の大学生を対象として中国各地で毎年開催したり、中国の若者の日本への関心・理解を深めるため、中国語と日本語で応募する「笹川杯作文コンクール」を、中国の広範な青年層を対象として実施しています。そして今回の訪日団は、それぞれの優勝者等で構成されており、実体験や人的交流による多角的な日本理解と友好交流の促進を目指しています。

討論テーマは第一部が「環境問題」、第二部が「日中関係」であり、訪日団、中国からの研修生、そして日本の学生が参加し、1グループ9名、全6グループ54名で有意義な討論が行われました。尖閣諸島問題や靖国問題などにより、かつてないレベルにまでこじれている日中関係の中、日中の学生は何を思い、何を語ったのか、レポート致します。

まず、環境問題です。
日本の環境問題として、足尾銅山鉱毒事件、イタイイタイ病、水俣病、四日市ぜんそく等、そして中国の環境問題とて、水質汚染、砂漠化、大気汚染(PM2.5)等を確認し、これから日中ですべきことについて話し合われました。日中の学生の共通認識としては、中国は数十年前の日本の状況に似ており、今後日本と同様の公害病が発生し得ること、それを防ぐために、公害病問題に関する経験と解決策を有する日本が中国と協力すべきこと、PM2.5のような相手国に影響を及ぼす問題についてもっと情報を共有し、両国が協力して対処すべきこと、そしてこのような協力が、日中の政治的あつれきを解消することなどが挙げられます。

「中国はようやく国内の環境問題を考える段階になったが、日本は地球温暖化などの世界の環境問題をも考える段階にいる」という、日本人学生からのジャブに対して、中国人学生は逃げることなく同意していました。訪日団は日本に詳しく日本が好きな人ばかりですので、もちろんそれが中国の学生全員の意見ではありませんが、広い視野を持った中国の学生が増えてきていることは歓迎すべきことだと思います。終盤では、「環境問題とは経済と環境のバランスをいかにとるのかの問題である」という高度な内容が討論されるなど、日中の若者が知恵を出し合って未来へ進んでいく姿を嬉しく思いました。

誠実に答える日中の学生の姿が印象的

次に、日中関係です。
歴史問題も複雑に絡まった難しいテーマでしたが、学生同士ということもあり、率直な討論が行われました。「政治面での一触即発の関係を改善するため、経済面や文化面での交流をもっと深めるべき」ということは、誰もが言っていました。興味深かったのは、それよりもっと踏み込んだ議論でした。

日本人学生が、「日本の教科書に、読んで中国が嫌いになるような記述はないが、中国の教科書には、反日教育と呼ばれるような、日本が嫌いになるような記述はあるのか?」と、恐らく多くの日本人が気になっているであろう点をズバッと聞いたのです。 中国人学生は若干ためらいの表情を浮かべながらも、「教科書はそれほどではないが・・・テレビドラマで日本人が極悪人として描かれていることは多い」と説明し、他の中国人学生も同意していました。本来であればお互いに触れ辛い内容であるはずですが、それでも敢えて質問し、そしてそれに誠実に答えるという日中の学生の姿が印象的でした。

お互いに気になっていることに蓋をして友好を装っても、それは真の友好ではなく、お互いが納得いくまで話し合ってみて、初めて真の友好関係が生まれるのだと思います。

中国人学生からは、日本が観光ビザの規制緩和をすれば、もっとたくさんの中国人が日本に来て、もっと多くの中国人が日本の良さに気付けること、日本人はもっと自分の意見を持つべきであることなどの意見があり、日本人学生は賛同していました。

そして、あっと言う間に討論終了の時間になりました。
日中の学生は次のようなことを口々に発言していました。

「時間が足りない。何時間でも語り合いたい。」
「国がとか政治がとかメディアがとかは関係ない。自分たち学生が新しい日中の関係を作っていきたい。」
「日中友好を目指す学生が集い、点を線に、また円にしていきたい。」

一体どんな展開になるのか興味があった「日中討論会」を見終えて感じたことは、国と国との間に国境があっても、個人と個人との間に国境はないということでした。充実した討論を終え、和気あいあいと笑い合っている日中の学生を見ていると、日本人と中国人との違いを越えて、アジア人同士、そして若者同士という新しい枠組みの中で一体化しているのだと分かりました。

「アジア人討論会」または「若者討論会」とも言える内容になった今回の「日中討論会」、間違いなく大成功だったと思います。 このような取り組みが積み重なり、日中の新しい友好関係が構築されていくことを心より祈念致します。

(取材協力:日本財団)

あわせて読みたい

「ブロガーが見たソーシャルイノベーションのいま」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    野田聖子氏の文春砲を扱わないTV

    小林よしのり

  2. 2

    北におびえ足並み乱す韓国大統領

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  3. 3

    iPhone iOS更新で使える11の裏技

    ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)

  4. 4

    「米は北攻撃できない」は本当か

    自由人

  5. 5

    松本人志マッチョ化は典型的変節

    文春オンライン

  6. 6

    女性用下着店にいる男性に賛否

    キャリコネニュース

  7. 7

    中国国境に接する北は崩壊しない

    Chikirin

  8. 8

    「脱デフレは幻想」イオンが証明

    近藤駿介

  9. 9

    正恩氏声明でトランプ氏へ怨み節

    高英起

  10. 10

    北朝鮮「米本土到達は不可避」

    ロイター

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。