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円安になっても輸出が伸びない理由を真剣に考えろ!

 このブログでこれまで何度か指摘してきたところなのですが‥アベノミクスによって超円高が修正されたまではよかったのですが、その後、輸出が増加するどころか減少を続けているという事実をご存知でしょうか?

 念のために言っておきますが、輸出と言っても輸出額のことではなく、輸出数量について私は言っているのです。

 輸出額については、円安になった分、即、増加するので、また、それとともに企業の利益が増加するので、ついつい気持ちが緩みがちになるのですが、でも、よくみてみると、輸出数量は全然伸びていない‥それどころか減少を続けているのが、日本経済の現実なのです。

 まあ、このようなことを私が言うと、Jカーブ効果のせいだろう、なんてことを言う人々がいることはよく承知しています。時間が経過すれば、そのうちに効果が出るだろう、と。現に、日銀の黒田総裁が、そのようなことを言っています。

 しかし、これも既に言ってきたことなのですが、Jカーブ効果というのは、貿易収支が改善するには時間がかかることの説明にはなっていても、輸出が減少することの説明にはなり得ないのです。

 何故、円安になっているのに、輸出数量が減らなければならないのか? そんなこと、どう考えても説明が困難でしょ?

 つまり、タイムラグが伴うので、輸出数量がなかなか伸びないと言うのであれば、それなら分かる! しかし、タイムラグは輸出数量が減り続ける理由にはなり得ない!

 では、何故輸出数量が伸びないのか?

 次に予想される答えは、欧州経済が景気後退局面に入っているから、それが大きいとか、或いは中国との関係がぎくしゃくしているから、それが利いているとか、という答えが予想されます。

 私も、基本的に、そうした要因はかなり利いていると思います。しかし、よーく考えると、それだけではとても説明できないのです。

 どういうことか?

 幾ら円安になっても輸出が回復しない理由が、例えば欧州経済がマイナス成長を続けているからというのであれば‥そして、それが本当なら、日本への外国人旅行者の数も相変わらず回復していないということになりますよね。

 つまり、円安が起きる一方で、日本を訪れる外国人旅行者も増えていないのであれば、それなら、輸出が回復しない理由を世界経済のせいにすることもできる。

 訪日外客数の推移を示したグラフをご覧ください。


訪日外客数
(資料:日本政府観光局) 
 
如何でしょう?

 ・6月の訪日外客数 90.1万人。 単月ベースで過去2番目。6月としては過去最高。

 ・上半期の累計は495.5万人。 これまでのピークであった2008年上半期を62万人ほど上回る。


 どう思いますか? 世界経済が不調であるというのなら、こんなに日本に来る外国人の数が増える訳はないでしょ?

 特に増えているのは、韓国、台湾、香港などだと言います。他方、中国は減少している、と。

 では、マイナス成長を続けている欧州からの観光客はどうなのか?

 フランスやドイツ、そして英国からの訪日客は増えているのです。

 要するに、観光の面では円安が相当に日本経済の回復に寄与しているのです。

 では、何故輸出は回復しないのか?

 問題は、そこなのです。何故輸出が回復しないのか、それを真剣に企業だけではなく政府も考えないといけないのです。

 輸出が回復しない理由を、誤解を恐れずに一言で言えば、それは、日本の輸出競争力が落ちているということなのです。幾ら、円の価値が2割、3割低下しても、それでも輸出が回復しないのですから何か構造的な理由が潜んでいると考えた方がいいと思うのです。

 今、日本は、財界の強い後押しの結果、TPP交渉に参加している訳ですが‥そして、財界が、TPPに参加することを強く望んだのは、関税が少しでも安くなることによって日本の輸出力が強化されることを望んだからなのですが‥こうして、円の価値が2割も3割も安くなっているのに、輸出が回復していないところをみれば、恐らくTPPに参加したからと言って、そう簡単に日本の輸出が伸びることは期待できないでしょう。

 それはそれとして‥一体何が問題なのか? 何が日本の輸出業界の弱みなのか?

 言われていることは‥例えば、スマートフォンなどの新製品の分野で遅れを取っている、と。そしてまた、低中価格市場において、日本の製品が必要以上に高品質であるが故に価格が高すぎて消費者のニーズに合っていない、と。さらに言えば、日本の輸出企業自身が、そもそも海外生産を手がけているので、そのこと自体が日本からの輸出を阻害してしまう要因にもなる、と。

 だから、日本の真の実力が必ずしも低下しているという訳ではないにしても‥様々な要因が絡み合って、日本の輸出競争力が相対的に落ちていると考えた方がいいのです。

 これらの問題を解決するため、政府は何をなすべきか? 

 答えは、なかなか見つからないかも知れません。しかし、先ずこうした問題があるということをよく認識した上で、そして、実務家の意見をよく聞いた上で、抜本的な戦略を考えるべきなのです。何故ならば、こうした問題は単純なマクロ経済政策だけで解決されることはないからです。

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