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汚染水漏れが続く福島第一原発に対し「設備復旧完了」――福島第二原発を報道陣に公開

福島第二原発の原子炉建屋。(写真/島田健弘)

福島第二原発の原子炉建屋。(写真/島田健弘)


「基本的に福島県内のメディアを対象にしているので、ホームページでは発表していません。もしかしたらお断りするかもしれませんが、申し込みをしてみてください」

 東京電力福島第一原発から南へおよそ一二kmの距離にある福島第二原発は、東日本大震災の津波で1、2、4号機の冷却装置が浸水し破損した。二〇一一年三月一五日には全機が冷温停止に至り、今年五月三〇日に冷温停止状態を維持する設備の復旧が完了した。しかし、福島第二原発の再稼働は安倍晋三首相さえも「容易ではない」と国会答弁し、東電も「国の政策を踏まえなければならない」と決定権をもっていないため、“不良債権”化している。

 筆者は六月二日に福島第二原発が報道陣に公開されるという情報を得た。そこで東電に問い合わせた時に言われたのが冒頭の言葉だ。

「フリーランスは取材拒否されるのか――?」

 そんな不安もよぎったが、実際には筆者以外のフリーランスや専門紙の記者も参加していた。この点で記者の排除はなかったと言える。しかし、取材そのものは広報されていないため、取材があることが周知されていなかったのも事実だ。情報へのアクセスを可能な限り制限しようとする、東電の体質は事故後も根強く残っている。

 取材時も「核物質防護」のため、撮影禁止のゾーンが多く、ほぼ取材者一人に東電職員一人が付きそうという監視体制だった。少しでも“マズい”場所に行くと「そこは遠慮してください」と慇懃に注意される。職員一人ひとりの態度は丁寧で、質問には答えてくれるが、行動には自由がなかった。

 野田佳彦前首相によって原発事故の“収束”が宣言された一一年一二月一六日から一年半が過ぎた。しかし、現実には今も事故に関連するトラブルが発生している。直近では、今年五月三日にこれまで検出限界値未満としてきた地下水の放射性セシウム濃度が、一リットル当たり〇・六一ベクレルだったことが明らかになった。六月五日には汚染水をためる地上タンクからの水漏れが見つかった……。

「最初は隠して、後からボロがでるから信用をなくすのよ」

 福島県いわき市四倉で津波被害にあった七四歳の女性は、東電の体質をこう言う。核物質防護と報道・取材の自由――知る権利の確保。“収束”宣言より一年半。この両立を成し遂げるためのメディアと原発事業者の対話が今こそ必要なのではないだろうか。

(島田健弘・ライター、6月14日号)

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