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「あなたを訴え……ません!」 新しいトラブル解決手段「ADR」って何?

専門家の仲介によって裁判になじまないトラブルの解決を図る「ADR(裁判外紛争解決手続き)」に注目が集まっている。裁判に比べると手続きが簡単で費用も安いため、自転車での事故など、身近なトラブル解決法としての役割も期待されている。

仲介のための「ADR機関」は、国民生活センターや各地の弁護士会など、行政・民間が設置している。東京電力福島第一原発事故後に設置された、「原子力損害賠償紛争解決センター」もADR機関のひとつだ。

取り扱う分野は身近な少額事件だけでなく、不動産関連、労働、離婚・相続、スポーツ、消費者問題、特許関連など幅広いケースに対応している。証拠がとぼしく、話し合いにより解決を図りたい事件や、親族間のもめ事で将来は円満な関係を取り戻したいケースなどにも向いているという。

さて、このADR。裁判と比べた場合、具体的にはどんな違いがあるのだろうか。特徴や費用など、ADRを検討するために、最低限知っておくべき注意点を永野貴行弁護士に聞いた。

●「証拠調べ」がゆるやかで、「白黒ハッキリ」には向かない

「ADRは『あっせん』『調停』『仲裁』などの種類があり、機関によって多少の違いもあるのですが、共通して言えることがいくつかあります。まずは裁判にくらべて、手続きがゆるやかだということです。

なかでも、厳密な『証拠調べ』が行われない点が特徴です。ADRといっても証拠が不要というわけではありませんが、事実の認定よりは当事者の納得が重視されます。そのため、事実関係に争いがあって『白黒ハッキリさせたい』という場合は、ADRには不向きです」

他にはどんな違いが?

「裁判では和解が成立しなくても、判決等によって結論が出されます。しかし、ADRは基本的に話し合いです。『あっせん』や『調停』では、双方が納得しなければ『不成立』となり、手続きはその時点で終わりになります。

この点も、裁判との大きな違いです。不成立に終わった場合、最終決着を付けるためには、裁判を利用することになるでしょう。

ただ、事前に当事者双方が、仲裁人に裁いてもらうための『仲裁合意』をしていた場合は話が別です。仲裁人が下した判断は強制力があり、不服を申し立てたり、同じ件で裁判をすることはできなくなります」

費用面は、安くすむ?

「裁判では最低でも、請求額に応じた印紙代や、訴える相手方の人数に応じた郵便切手代が必要です。一方、ADRの場合、なかには無料で利用できる機関もあります。ただ、費用がかかる機関もありますので、利用する前に確認したほうがいいでしょう」

なるほど、一口にADRといっても、いろいろな形式や利用方法があるようだ。「どうやって解決しようか」と、気になっている案件があったなら、まずは身の回りにどんなADR機関があるのか調べてみるのも、一手かもしれない。

(弁護士ドットコム トピックス編集部)

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