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正しく理解されていない96条改正の意味

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ニコニコ生放送とBLOGOSがタッグを組んでお送りしている「ニコ生×BLOGOS」
今回は「憲法改正は本当に必要なのか?」というテーマでお送りしました。

安倍総理が「夏の参院選の争点」と明言した憲法改正。報道では、憲法改正を発議するために必要な「衆参両院の3分の2以上の賛成が必要」という要件を「過半数」に引き下げる、「憲法96条改正」が大きく取り上げられています。昭和22年の施行から66年、これまで一度も改正されていない日本国憲法ですが、果たして本当に改憲は必要? 法学者のお二方を迎え、改正のメリットとデメリット、自民党が96条改正の先に見据える9条改正問題などについて、話し合いました。

写真:濱田敦子
写真:濱田敦子 写真一覧
【出演】
司会:大谷広太(BLOGOS編集長)
アナウンサー:山本都
コメンテーター:須田慎一郎(ジャーナリスト)
ゲスト:小林節(慶応義塾大学法学部教授・弁護士)
    木村草太(首都大学東京 都市教養学部法学系准教授)

なぜこのタイミングで改憲なのか?

大谷:明日は憲法記念日です。毎年この時期になると新聞各社がそれぞれ草案を発表したりしますし、マッカーサーや連合国軍によって原案が作られた日本国憲法が手続き的に正当なのかという主張を含めて、「自分たちで憲法を作るんだ」という議論はずっと続いていますよね。

須田:7月に予定されている参議院選挙の争点に改憲問題が浮上し、きちんとこの問題について議論していこうじゃないかという問題設定もありますね。

山本:まず、安倍総理が憲法改正を訴える理由はなぜか?からお伺いしていきたいと思います。

小林:自民党は元々、憲法改正を実現するために保守が集まって作られた政党です。それなのに、歴代内閣は「我が内閣では憲法は議題にのせない」といって逃げてきた。そんな中、岸信介元総理が、自主憲法の旗を立てたんですね。

安倍総理は岸元総理のお孫さんにあたりますから、憲法改正に対して使命感のようなものを持っている。これが、自民党とずっと付き合ってきて感じる点です。安倍総理はお坊ちゃんで、思った通り行動する人。改憲が自分の歴史的使命だと本気で思っているように感じます。

須田:一方、戦後レジームの転換という安倍総理の歴史認識が大きく左右していますよね。

小林:「日本維新の会」などの動きがあり、3分の2の同意が取れる政治状況になってきたじゃないですか。そういう相乗効果で、いよいよ最後の一手に出てきたんではないかと思うんです。

大谷:安倍総理は前政権で「国民投票法案」を作っていますから、総理自身の動きは今始まったというより、昔からそこにこだわりを持っていらっしゃったのではないかと思います。

小林:予定通りなんでしょう。

大谷:「現行憲法にそぐわない部分があるから、改憲をしなくてはいけない」とか、それこそ「憲法の成り立ちが不自然」など、色々な議論があると思うんですけど、お二人は今の憲法の中で、変えるに値すると考える部分はありますか?

小林:私は昔から、戦争の詫び証文が前提の9条はムリがあると。負けたことは仕方ないんですけど、「諸国民の後世と審議に信頼して、我々の生存や安全を確保しようと決意する」と言っておきながら、その時すでに北方領土は当時のソ連に占領されていたし、その直後には韓国に竹島を軍事占領されてしまうし、北朝鮮は工作船で非合法の戦争を仕掛けてきていた。今は、中国が尖閣諸島を占領寸前まできています。

戦争を否定し「戦力を持たない」と言いながら、「自衛権がある」と言って、どう見たって戦力としか思えないものを持っているという訳のわからない状態。これはやはり「できること」と「できないこと」を整理しないとマズイと思っています。自民党の人達も共通認識としてある。

だからといって、どさくさ紛れに「明治憲法」に戻ろうという改憲論が主流になってきていますが、そこは私としては譲れない一線です。

憲法9条は“解釈”で乗り切れる?

大谷:「解釈改憲」という単語が出てきているんですけど、今の憲法の文言で、解釈で乗り切れる部分もあるし、乗り越えられない部分もある。この点について、木村先生、どう思いますか?

木村:私は小林先生とその点については考え方がちょっと違い、日本の法律の解釈、民法、刑法、行政法の解釈と比べた時に、日本国憲法だけが、日本の法律家として不自然な解釈のレベルまで達しているとは思いません。そういう意味で、文言を大きくいじらなくても、今のところは大きな問題はないだろうと考えています。

小林:それはちょっとムリがある。9条の下で護憲派は「一字一句も変わっていないから憲法は守られた」と言っている。しかし、あの憲法の下で、アフガンにもイラクにも派兵できちゃう。現行憲法で、アメリカのイラクにおける戦争とか、アフガニスタンにおける戦争に自衛隊が協力することがどうしてできるのか?これは解釈の限界を超えていると、僕は思います。

木村:……と、このような対立が学者の中でもあるということですね。

須田:ただ矛盾を感じるのは、安倍さんは、現行の憲法9条でも「集団的自衛権の行使は可能」というスタンスに立っているのに、なぜそれを変えなきゃならないのか?という点です。それはやっぱり小林さんが言うように「ムリがあるから」なんですかね?

小林:そう。だから「侵略戦争はできない。自衛戦争は出来る。そのための軍備はその限りで認める」と。対外派兵も国際国家として責任ある対話をしなければいけない場合には、国連決議を持って来いとかね。「できること」と「できないこと」を整理しないと、めちゃくちゃになる。それは国家としてよくないことです。

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