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堀米ゆず子さんのバイオリンを取り戻した門多丈さんに聞く、キャンペーン成功の秘訣!(前編)

堀米ゆず子さんのバイオリンを取り戻した門多丈さんに聞く、キャンペーン成功の秘訣!(前編)


2012年夏、国際的バイオリニストの堀米ゆず子さんは、ドイツのフランクフルト空港でバイオリンを押収されてしまいました。堀米さんの友人の門多丈さんは「バイオリンを無償で返して欲しい!」という思いからキャンペーンを開始。見事、無償での返還を勝ち取りました。
今回は、門多さんにキャンペーン成功の秘訣をうかがいます。(聞き手:Change.org日本代表 ハリス鈴木絵美)

——まず、簡単な自己紹介をお願いします。

門多丈(かどた・たけし)と申します。私は6年前まで三菱商事に勤めており、30年くらいずっと金融をやってきました。仕事を辞めた後は自分で会社を運営しています。
基本的には日本の年金基金や保険会社がより効果的・効率的に運用できるよう、海外の金融商品に関するアドバイスをしています。

——金融コンサルタントということですね。では早速、事件の背景についてお聞かせ頂きたいと思います。

2012年8月、バイオリニストの堀米ゆず子さんは、公演のために日本にいました。私も山形で彼女の演奏を聴きました。8月16日、公演が終わって彼女の自宅のあるベルギーに帰る途中、ドイツのフランクフルト空港で、飛行機のトランジットがあったわけです。
ユーロ圏では、最初についたところで税関の検査を受けなければなりません。ベルギー在住の堀米さんが、税関の検査をフランクフルト空港で受けることになりました。そこで、バイオリンの申告をしていないのではないか、と言われたのです。

——8月16日に押収されてしまった、と。でも、堀米さんは、以前からバイオリンを伴って日欧を行き来していたんですよね?

そうです。堀米さんは、1993年に結婚して以来、20年ほどベルギーと日本を行ったり来たりしていました。だから、まったく想像つかなかったというか、なぜ捕まったのか、彼女はわからなかったということです。

——その後、堀米さんはどうされたんですか?

ドイツ税関の怖いおじさんにつかまってしまって「ちょっと別室においで」ということで、何時間も話し合いをしたそうです。堀米さんは「何十回も行き来している」と訴えたんですが……。
結局、その日のうちにバイオリンは返ってこなくて、取り押さえられたままでした。彼女は、フランクフルト空港近くのホテルに泊まって、翌日も税関に行ったんですけれども、やはり戻ってこなかった。
何しろ「関税を払え、輸入付加価値税を払え」「申告せずに何度も行き来していたのであれば犯罪だ、罰金だ」と。

——全部合わせて、いくらくらい請求されたのですか?

バイオリンの価値は、100万ユーロ。当時の円換算で、だいたい1億円でしたので、その19%……1900万円を払えと。これは輸入付加価値税の分ですね。
さらに罰金で1900万円。合わせて3800万円支払えと言われたそうです。

——3800万円!?それは大金ですね。

そう。それで「3800万円を積まないとバイオリンを返さないぞ」という話になりました。「ドイツだから、いいところでバイオリンを保管している。心配は要らない」と言うんだけれど……。

——でも、楽器は繊細ですし、心配ですよね。堀米さんは、どう対応しようとしていましたか?

友人に弁護士を紹介してもらったのですが、その弁護士は「お金を払え」と言うばかり。「こういう対策をとろう、チャレンジしよう」ということもなく。話が噛み合なくて、全然解決しませんでした。
それで、堀米さんが私を含む友人たちに「トランジットで大事件が起こった」とメールで伝えてきました。これが8月17日の朝のことです。ここから、事態が進展して行くことになります。

——なるほど…。では、門多さんは、どうしようと考えていましたか?

私は、ドイツ大使館に「日本とドイツの関係が悪くなる」と伝えた方がいいかな、とずっと迷っていました。それが、22日の前ですね。
それから、友達にメールで「こういう事件が起こったんだけど、何かいい方法はないか?」と聞いたら、先輩の友人がChange.orgを紹介してくれました。

——8月22日にジャーナリストの方がChange.orgのことを紹介してくれたんですね。

そうです。それで、24日にChange.org日本代表の鈴木さんがいらっしゃって、Change.orgとはどういうものか、サイトの使い方、なでしこのキャンペーンのことなんかを聞きました。
他の訴え方も……ドイツ大使館の広報に訴えるとか、ドイツ大使をつかまえて文句を言うとか、いろいろ思っていた面もありましたが、Change.orgを紹介されて、使おうと思いました。

——そうでしたね。でも、8月24日にお会いしたときに、すぐにキャンペーンをやろうという感じではなく、躊躇していらっしゃいましたよね?

そう、そうです。堀米さんの弁護士の交渉に悪影響になってしまうのではないかということが、最後まで問題になっていました。
あるルートで交渉しているのに、別のルートから圧力をかけたり、別の解決方法を行うというのは、混乱のもとですので……。堀米さんの邪魔になるかもしれないというリスクもありました。

——ほかに、躊躇されていた理由はありますか?

もうひとつは、誰が呼びかけ人になるかということです。音楽家や日本で有名な人などに呼びかけ人になってもらえないかと思って、探していました。
キャンペーンをすること自体は納得して決めていましたが、実際にどうするのかという段階で悩んだわけですね。
キャンペーンをやっている途中で何が起こるかわからないので、そこを納得してもらうのは簡単な話ではありませんし、ご本人の勇気も要るわけで……「だったら、私がやるか」と週末の8月25日に決意しました。

——最終的に、発信してくれたのが門多さんだったというのは、キャンペーンにとってもすごくよかったと思います。もちろん、音楽家や有名人がやれば、もっと大 規模なキャンペーンになったかもしれません。でも、堀米さんのことを思っている普通の友人やファンの方が、賛同の声を集めているということが効果的だったと思います。

インタビューは後編へ続きます!

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