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製造業の国内生産回帰の巻き戻しはあるのか?

下の図は名目GDP(暦年)の主要構成要素がどのように変化してきたかを1994年を100とする指数の2012年までの推移を示したものです。

またその下の図は、名目GDP(暦年)に対する主要構成要素の比率が、1994年と2012年でどう変化したかを比べたものです。



最大構成要素である民間消費支出は、物価下落基調が続いてきた中にあっても、かろうじて横ばいないし微増の傾向を続けており、生産年齢人口の減少や雇用者報酬減少などを考慮するとそれほど弱かったとは言い切れないように見えます。

次に大きい政府消費支出は、社会保障費移転の拡大によって一貫して逓増を続けています。すなわち、社会保障費移転を加えた家計現実最終消費支出はそこそこ増加を続けてきたということです。

ところが、名目GDP(暦年)は、過去17年間ほとんど横ばいで推移し、リーマンショック以降は1994年よりも低い水準で推移しています。そして、民間消費支出や政府消費支出よりも下回る傾向が続いていて、そのかい離幅も少しずつ大きくなっているように見えます。それは他に名目GDP(暦年)を押し下げる要因があるからです。

名目GDP(暦年)を押し下げている最大の要因は輸入です。輸入は、エネルギー価格の上昇と、最終消費財の輸入シフト(あるいは供給サイドから見れば消費財生産拠点の海外シフト)の進行、という二つの要因によって大きく拡大してきました。最終消費支出(すなわち国内需要)のかなりの部分が輸入品によって代替されるようになったために、GDPが押し下げられているのです。

逆に輸出は、海外の需要に対する国内の生産ですから、名目GDP(暦年)を押し上げます。輸出は概ね輸入と同じような傾向で大きく増減しています。これは貿易拡大の基調部分が、生産拠点の海外シフトに伴う機械・原料・部品などの輸出拡大と海外生産品の輸入拡大が並行して拡大してきたためだと推定されます。しかし、エネルギー価格が高騰(あるいは下落)すると、輸入は輸出とは異なった動きになっています。

民間設備投資は、生産拠点の海外シフトが進んできた割には、それほど大きく減少していないように見えます。一時的な輸出の増加に対応して設備投資も回復していましたし、オフィスビル・ショッピングセンター・アミューズメントパーク・ゲームセンターなどの国内サービス産業の設備投資もある程度底堅かったのではないかと推定されます。

最後に、一番減少率が大きかったのは民間住宅投資でした。これは、生産年齢人口の減少や先行きの収入の不透明感という基調を反映していると推定できます。

さて、以上の簡単な整理に踏まえて、蛇足的に今後の見通しを考えてみます。

すでに決まっていた消費税引き上げ前の駆け込み需要や震災復興需要に、金融緩和による資産価格上昇と金利低下が加わると、民間設備投資や住宅投資の追い風になります。その追い風で当面どのくらい動くか、より重要な点としてそれがどのくらい長く続くか、ということが問題です。

民間設備投資も住宅投資も追い風である程度は動くと思われますが、それが長く続く可能性には「?」がつきます。とくに住宅投資には構造的な限界があるので、もし投資が続けばまたバブル崩壊につながる可能性が高くなります。

民間設備投資の方は、製造業の国内生産回帰という巻き戻しがあるかというと、はなはだ疑問と言わざるをえません。円安による輸入価格上昇分は、生産拠点をよりコストの安い国にシフトしていく方向を加速するだけだと思われます。ただ、国内サービス産業の設備投資拡大には期待が持てます。そのためには海外からの旅行者の増大がかなり重要なポイントになってくるように思われます。

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