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中国人はSNSで「民主主義社会のふるまい」を練習している~中国の著名ブロガーが語る「ソーシャルメディアの役割」

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TwitterやFacebookの利用ができない中国では、国内独自のウェブサービスが発達を遂げている。ミニブログでは、"中国版"Twitterと言われる「微博(ウェイボー、weibo)」が大人気だ。大手の微博のうち、「新浪微博」と人気を二分する「騰訊微博(テンセント・ウェイボー)」を運営する「テンセント(騰訊)」の副編集長や著名な中国人ブロガーが来日し、日本財団とBLOGOSが3月18日に開催したシンポジウムに参加した。「中国におけるソーシャルメディアの果たす役割」をテーマに、中国のSNSの現状や課題、今後の展望について語った。【取材・構成:亀松太郎/三好尚紀、写真:濱田敦子(編集部)】

10億人のユーザーにサービスを提供する「巨大ネット企業」

「テンセント」副編集長、楊瑞春氏。
「テンセント」副編集長、楊瑞春氏。 写真一覧
大谷:本日、ご出演いただく方々を紹介させていただきます。まずは、インスタントメッセンジャーソフト「テンセントQQ」、ミニブログ「テンセント・ウェイボー」、それから検索エンジンなど、中国を代表するウェブサービスを多数運営されている「テンセント」の副編集長、楊瑞春(ようずいしゅん)さんです。

続いて、中国のメディアに勤めた後、独立して、今はフリーランスでブロガーとして活躍している五岳散人(ごがくさんじん)さんです。最後に、中国の新聞社である「工人日報社」の編集部主任、石述思さんです。

まずは楊さんから、中国のインターネット事情についてお話しいただきたいと思います。ユーザーはどういう動きをしているのか、政府当局とどういった関係があるのか、といった点も含めてうかがいたいと思います。

:中国のテンセントから参りました。その前は「南方週末」などの旧来メディアで仕事をしていました。インターネットのニューメディアで仕事をするようになったのは、この2年間のことです。

まず、テンセントのスローガンを紹介させていただきます。「あなたの心の声に世界が答える。世界がこだまする」というものです。テンセント社は1998年11月に設立された、中国で最大規模のインターネットサービス企業です。2004年に証券取引所に上場しました。現在、10.5億人のユーザーに対してサービスを提供しています。

私たちは無料のサービスで数多くのユーザーを引き付けると同時に、課金サービスも提供しています。さらに、オーダーメイドのサービスも提供しています。

またテンセントは、フルプラットフォームのサービスを提供すると標榜しています。現在は16のリソースのプラットフォームを展開中です。メールボックスや中国版のツイッターである「ウェイボー(微博)」、そして、いま人気急上昇中の中国版LINE「ウィチャット」のサービスも行っています。

そのほか、スマートフォンによる家計の管理など、さまざまなツールも展開しています。つまり、中国のネットユーザーが必要としているすべてをカバーしているということです。私たちは、いつでもどこでも利用可能なインターネットサービスを目指しています。

私たちは「テンセントQQ」というインスタントメッセンジャーのサービスを持っていますが、そのアクティブユーザーは7.8億人いて、ピーク時のリアルタイムのオンラインアカウント数は1.7億人です。また、日本のLINEに相当する「ウィチャット」のユーザーは3億人に達しています。ウィチャットは今後、国際化を考えています。

中国版ツイッターと呼ばれる「ウェイボー」について、お話ししたいと思います。2010年に内部テストの形で開始しましたが、現在は1日に5.7億人のアクティブユーザーがいます。テンセント・ウェイボーのユーザーは、中国全体の7割を占めています。また、メッセージの件数は1.2億件となっています。毎秒1388本のメッセージが流れているのです。

利用者の性別は、男女はほぼ同じ比率で、年齢層もそれほど大きな偏りがありません。学歴は、80%以上のユーザーが大卒以上になっています。利用者はさまざまで、有名人や草の根の庶民、企業の役員、政府の高官、メディアなどさまざまな人たちが、情報の交流をしています。

実際にどのように使われているのか、一昨年の東日本大震災のときの使われ方を例にして説明したいと思います。

2011年3月に大震災が起きたとき、日本では交通が寸断され、情報も遮断された状況になりました。そこで、テンセント・ウェイボーなどのウェブサイトは、非常に重要な情報伝達のプラットフォームになりました。

地震直後から「前線観察団」と呼ばれる人々が現地から情報を発信しました。また「QQ窓」というゾーンを通じて、日本に向けて安否情報の確認や情報伝達を行いました。日本にいる中国人は、QQを通して、中国にいる家族や親戚に対して安否を知らせることができました。逆に、中国にいる家族などがこれを通じて、まだ連絡が来ていない日本滞在の中国人を探すことができたわけです。

このような窓口が開設されてから、計31万件の安否確認の情報が寄せられました。また特定の人を探すように求める情報も、8万件が寄せられました。

2011年7月に浙江省で起きた高速鉄道の事故でもウェイボーは活躍しました。責任を追及する市民のコメントや評論、亡くなった人に対するメッセージを寄せることも可能でした。あるいは、行方が分からない人たちを探すようなメッセージも数多く寄せられました。さらには、一部の政府の幹部がこのプラットフォームを救援活動の指揮に使ったりもしました。まさにウェイボーの役割がフルに発揮された事件でした。

私たちは「野次馬根性が世界を変えることができる」という意味の言葉をよく使います。多くの中国人が集まって、同じプラットフォームで意見を発表していくと、世界が変わっていくのかもしれません。

ウェイボーの役割を3つあげると次のようになります。1つ目は、民意を表現するためのプラットフォームである、ということです。2つ目は、世の中の動きを把握するための最もの重要なプラットフォームになったということ。3つ目は、民間の力を結集するための、助け合いのプラットフォームである、ということです。ウェイボーはこのように、急速な発展を通して、社会の進歩を推進してきたといえるでしょう。

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