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ネズミ一匹という想定外

福島原発で燃料プールを冷却する電源が停まったのが全国的なニュースになった。原因がわからぬまま応急の処置をした上で調べたら、ネズミが一匹入り込んで配電盤をショートさせたことがわかった。配電盤自体が、トラックに積んだままの仮設のものだった。

大山鳴動してネズミ一匹、ふつうなら面白ネタで終るような話で、高圧送電線に止まったカラスが隣の線のカラスに餌を与えようとして感電死し、「カラスの恋が停電を起こした」という記事になったのを見た記憶がある。しかし場所が原発だと笑いごとで済まなくなるのはなぜだろう。

言うまでもなく、原発が「適切な管理を続けていないと暴発して手のつけられない地球規模の惨害を引き起こす」性質を持っているからだ。火薬庫の爆発でも巨大船の沈没でも悲惨な出来事ではあるけれど、所詮はその場に限られた事件で終り、危険が去れば直ちに救済・復旧の作業を始めることができる。しかし原発の過酷事故では、人間が現場に近づくことさえ不可能になるのだ。これは核兵器の貯蔵庫や核関連加工施設が破綻しても同じことになる。

東京電力は、おそらく今回の事故を教訓として、施設の安全性を高めるよう改善すると言うだろうし、実行もするだろう。そしてまた費用と労力を積み上げることになる。事故は絶対に起こしてはならないのだから、安全対策費は限りなく高騰し、それでも絶対の安全が得られることはない。どこまで行っても「想定外」はついてくるからだ。

つまりは核エネルギーと縁を切らない限り、人間は安心して地球上に住んでいることができない。その基本中の基本を教えてくれたとしたら、ネズミの死は無駄ではなかった。

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