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2012年度の自殺者数はなぜ減少したのか?

2013031701_2 2012年度の自殺者数は2万7858人となり、15年ぶりに3万人を下回ったことが話題になった。中でも「経済・生活」を理由とする自殺者が大幅に減少した(前年比で−18.5%減少)ことから、次のような意見が聞かれた。

 1、「民主党から自民党に政権交代したことで景気が良くなると思われたから」

 2、「民主党政権が取り組んできた一つの成果だ」(細野豪志氏)

 については、少々無理があると思う。民主党の野田氏が「衆院解散」発言を行ったのは昨年の11月14日のことなので、わずか2ヶ月足らずの間に経済が好転すると踏んで自殺を踏み止まるに繋がったとするのは無理があると言わざるを得ない。

 では、の細野氏の発言はどうかというと、これも多少の効果が有ったとしても、その効果を補って余りある経済衰退政策を無視するわけにはいかない。「最小不幸社会」などという目標を立て、経済成長には目も向けず、円高、株安を放置し続けてきたことにより逆に増加した自殺者も大勢いるだろうから、素直に納得するわけにはいかない。

 少なくとも、については、2013年度の自殺者数が大幅に減少しない限り、認めることはできないし、についても、2013年度の自殺者数を確認しないことには認めることができない。仮に2013年度の自殺者数が大幅に減少することになれば、は間違いだったという可能性が高くなる。

 では、自殺者が大幅に減少した原因は何なのか?

 もっともらしい意見に次のようなものがある。

 3、「2011年の東日本大震災時に自殺者が大幅に増加したので、その反動で減少に転じた」

 これは、なんとなく解るような気もするが、絶対的な理由とも思えない。

 ここで、「はっきりとした原因は判らない」などと書くと記事にならないので、信憑性のある仮説を書いてみようと思う。

 それは、「自殺者」は減少しても、「変死者」は増加しているというものだ。

 警視庁が公表している「死体取扱状況」を調べてみると、2011年度の変死体数は18000人を超えている。(注意:東日本大震災の死亡者数は含まない)
 2012年度の詳細はまだ判らないが、その内の何割かが自殺であったと仮定すれば、あっさりと自殺者の減少分を補うことになってしまう可能性が有る。

 警察が取り扱った総死体数は2011年度で17万人にも上る(10年程前は12万人程度だった)。「自殺者数」というのは、その中で明らかに「自殺」と判明した場合の数字のことであり、死亡原因が判らない「変死者」の数はカウントされていない。つまり、死亡原因が判らない死体が増えれば、自殺者数は減少することになるということである。

 「変死体」が年々増加している社会というのは、どう考えてもまともな社会とは言えないだろう。自殺かどうかも判明しない変死体が増加しているのに「自殺者は減少した」と単純に喜んでいられない。「木(自殺者数)を見て森(総死体数)を見ない」という言葉通りの姿は、ある意味で滑稽ですらある。

 変死者数と自殺者数が共に減少しないことには、本当に自殺者が減少したとは言えない。
 無論、これは皮肉ではなく、少し考えれば誰でも発見できそうな不都合な仮説である。

 2013年度はアベノミクス効果で自殺者数と変死者数が大幅に減少し、上記の仮説が間違いだったと証明されることを期待したい。しかし、仮にそうなったとしても、消費税を増税すれば、再度、自殺者数は増加に転じる可能性が有ることだけは申し上げておきたいと思う。

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