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若者はスマホでSNSをどのように使いこなしているのか(下)

大学生たちのスマホによるSNSの利用状況についてお伝えしている。前回はスマホがSNSマシン、つまりスマホ導入がSNS開始(mixiを除く)の起爆剤になっていること、彼らたちにとってLINEが最も身近なSNS=身内内コミュニケーションツールであること、その一方でFacebookが少々敷居の高いSNS=使いづらいツールであることを示しておいた。今回はTwitterの状況、そしてSNSのこれからについて考えてみたいと思う。

Twitterもまた身内ツール?

学生たちにTwitterは結構使われている。前回示したようにLINEに匹敵する利用率(LINE84.9%、Twitter73.5%)で、最も頻繁に利用するSNSとしては第一位(Twitter45.2%、LINE42.5%)だ。Twitterは、一般的には「ゆるいSNS」と呼ばれる。勝手にツイートし、勝手にフォローし、勝手にフォローされる。またハンドルネームでもいいので、不特定多数の匿名に向かってこういった情報の応酬がオープンに出来るというのがそのゆるさの根拠となっている。だから、つぶやきを発信したり検索したりすることで、自分の知らないさまざまな世界の情報のやりとりが高い自由度で可能になるというのがTwitterのウリであるというのはしばしばTwitterについての議論で語られるところだ(例えば『Twitter社会論~新たなリアルタイム・ウェブの潮流』の津田大介)。いいかえればこの「ゆるさ」がユーザーを世界に向けて情報の送受信を可能にさせるとともに、その魅力を感じさせている。

ところが、学生たちのTwitter利用は、こういったTwitterの議論とは全く別のところで展開されているようだ。彼らの平均フォロー数は119.2人、フォロワー数は104.9人とほぼ拮抗、フォローしている相手のリアル:ヴァーチャル比率、つまり知人:見知らぬ人の割合は6.5:3.5、フォロワーの場合は6.8:3.2、利用目的頻度は上位から暇つぶし(35.5%)、人との交流(31.3%)、情報収集(24.7%)の順だった。

こういったTwitter利用の現状は少なくとも今回調査した学生に関しては、津田を典型とする「世界に開かれたツールとしてのTwitter」とは別方向でTwitterが存在していることを示しているのではないだろうか。つまり上記のデータは「顔見知りの間で、適当に暇つぶしとしてつぶやいてお互いの関係をつなぐツール」という見方で捉えた方が当を得ている(言い換えれば「情報集ツールでは、あまりない」)。関わっている人間は100名足らず、しかもほとんどが知人なのだから。

Twitterはブログの使用方法と似ている

この図式は、ブログが当初期待されていた機能と実際に使われているそれが大きく乖離していたことと似ている。ブログはインターネットという世界中に開かれた空間に自らの情報を公開することで世界中の人々へ自己表現が可能になると呼ばれていたのだが、現実にはこういったことが可能なのはブログを書く人間が有名人であるか、よほど説得力、発進力のあるコンテンツを書くことができる人間であるかに限られ、ほとんどのブログは可能性としては世界に開かれていたとしても、実際にそれを閲覧するユーザーは身内に限られる「日記的なもの」としてしか機能しなかったのだ。これがTwitterについてもあてはまるように思えるのだ。つまり可能性と現実は異なっている。

mixiからTwitter経由でLINEへ

そして、このような見方が正しいとすれば、次のような考察が可能になる。それはLINEとTwitter(そして古くはmixi)の使い方で既にみてきたように、SNSが若者たちには、原則「身内内コミュニケーションツール」として利用されていること(言い換えれば「世界に開かれているわけでは必ずしもないこと」)、そして、その利用スタイルがスマホ普及によって変化しつつあるということだ。このことは、とりわけ、ここまで取り上げてこなかった彼らのmixi利用の変化を通して見てみるとよくわかる。

mixiは前述したように、彼らにとってスマホ以前にはパソコン、そしてガラケーを使ったSNSの王様だった。既存のリアルな友人(多くは学校友だち)とマイミクになり、そこで学校という空間の外でのコミュニケーションを図るヴァーチャル空間として利用されてきた(ハンドルネームは「匿名」だが、実際には誰なのか判別がつく「有名」なもの。つまり「仇名」的なものだ)。ところが、足あとなどの「履歴が残る」という機能が互いの関係を拘束するという結果をもたらし、いわゆる「mixi疲れ」という状況を生み出してしまった。そんなとき、スマホ普及とともにその代替として登場したのがFacebook、Twitter、そしてLINEだった。

で、当初、彼らにとってはFacebookとTwitter二つのチョイスがあった。ところがFacebookは難しすぎる。また実名主義が、ちょっと引っかかるところもある。だからやってはみたけれど、どうもよくわからない。そこでもう一つのTwitterを選択した。でも、実は、その自由度が災いして、こっちも曖昧模糊としていて少々わかりづらい。とはいうもののmixiの代用として使うことは出来る。ブログみたいに意気込んで長文を書く必要もなく、ほとんどタイムラインみたいに使えるところが便利で、気軽。そこで、身内ツールとしてこちらを選んだ。当然つぶやきは既存の友人に向けられている。で、原則的にはそのつぶやきを仲間内のみが閲覧する。

ところが、その後Twitterは結構、アブナイSNSであることもわかってくる。典型的なのが、いわゆる「バカ発見器」機能で、身内に向かってつぶやいた内容であっても、原則オープンなので、世界中で閲覧されてしまう可能性がある。だから、おいそれと身内ネタを開帳などしたら、とんでもないことになりかねない(ホテルの従業員がサッカー選手とタレントの密会をツイートしてしまった例はその典型。ツイートした本人はおそらく身内につぶやいたという感覚しかなかったのではなかろうか)。また、やっぱりTwitterはよくわからない。

そんなときTwitterの気軽さを持ち、安全で、しかもmixiのようなしがらみも少ないLINEが登場した。もっぱら身内内コミュニケーションを志向する多くの若者たちにとっては、これは当然のことながら福音だった。だから一気に飛びついた。まあ、こんなところなのではなかろうか。当然ながら、mixiの居場所は完全に失われ、彼らにとってもはや「死亡」したものとすらとられている。現在、利用率(現在メンバーとして登録している)が45.9%であるのに利用頻度が3.2%にまで低下し、また利用を停止している割合が43.3%と非常に高い数値にまで達していることがこのことを明確に示しているといえるだろう。

ということは、今後彼らがSNSを使う方向として考えられるのは次のようになる。先ずmixiからTwitterへの移行はひとまず完了した。そして現在起こりつつあるのがTwitterから、もっとお手軽なLINEへの移行、あるいは何らかの機能的棲み分けだ。ちなみにこの流れが進めば進むほど、現状のままではmixiは死亡に近づいていくだろう。

Facebookのゆくえ

さて、最後に学生たちにとってのFacebookの行方についても考えておこう。現状、彼らの「身内内コミュニケーションツール」というSNSの基本的利用スタイルからすれば、どうやらFacebookの出番はあまりないように思われる。だからその多くはFacebookを積極的に活用するのはもう少しあと。社会人になってからということになるのだろう。ただし、もちろんこれには例外もある。情報感度が高い学生(高偏差値系大学に多い)にとってはFacebookはすでに最も使われるSNSになっているからだ。これは同時期に調査したバックパッカーのSNSの利用実態からも判明している。彼らの多くが高偏差値系の大学生で、なおかつバックパッキングという高度に情報行動を要求するレジャースタイルを使いこなす。こういった若者たちにとってSNSは「身内内コミュニケーションツール」のみならず「世界に開かれたコミュニケーションツール」としても用いられることになるからだ。ただし、ここでは、こういったセンス・エリートたちはあくまで例外としておいた。マス、つまり大多数の若者、そしておそらく大多数のSNSユーザーにとって、SNSとは先ず「身内内コミュニケーションツール」と考えるべきだし、だからこそSNSは爆発的な普及を遂げているとみなした方がいい。

今後、おそらくほとんどの人間がスマホを携帯するという事態に至るだろうが、その際、SNSはどういった使われ方をしていくのだろうか?もちろん、ユーザー側だけの問題ではなく、SNSを提供する側も、そのノウハウについてさまざまな模索を続け、SNSに新しい機能を加えたり、他の機能と合体させたりということをやっていくだろう。だから正直なところSNSの5年後というのは、今のところ誰にも見えていないと考えた方がよいのかもしれない。

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