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菅さん、原発事故の対応のなかで、東電や保安院などいちばんイライラしたことってなんでしたか?

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もんじゅ君の「ズバリ聞きますだよ!」第2回:前編

福島第一原発事故にショックを受けて、2011年5月、突如ツイッター上に現れたもんじゅ君。福井県敦賀市の高速増殖炉もんじゅの「非公式」ゆるキャラながら、フォロワー数は約10万人、エネルギー問題を解説した著書も3冊あるなど、幅広い支持を得ている「炉」のキャラクターです。

このもんじゅ君が、各界の著名人にエネルギー問題についての考えや東日本大震災以降の活動について聞く、シリーズインタビュー。

第2回のゲストは、福島第一原発事故発生時、総理大臣として現場で指揮をとっていた民主党・菅直人議員。前編は3.11後の原発事故の時、官邸ではどのようなやり取りが行われていたのか。 後編は具体的に日本のエネルギー問題について、市民ひとりひとりがどんなことができるか、などについてお聞きしました。

ゲスト:菅直人(民主党・衆議院議員)
インタビュー・構成:もんじゅ君(高速増殖炉)

もんじゅ君ってのは、なんなの?(笑)


もんじゅ:菅さん、こんにちは。ほんとうはもっとはやくおはなしをうかがいたかったんですが、衆院選があったり、なかなかチャンスがなくって……。今回、震災と原発事故からもう2年がたつということで、いろいろとご質問させていただければと思います。

:うんうん。で、もんじゅ君というのは、なんなの(笑)? 君は脱原発をやってるの?

もんじゅ:そうです。ボクはごぞんじのとおり高速増殖炉なんですけど、まあ、ぜんぜん完成するみこみもなくて、1995年にできてからも事故やトラブルばかりなので……。

秘書:もんじゅ君は、日本一のニートなんですよね。ツイッター、見てますよ。

もんじゅ:そうなんです。ボクは1日にもらってるご予算が5500万円ですから、もう、ものすごいニートなわけなんです。で、ふくいち君で原発事故があって、「これはよくない。はやく引退したい」と決意して、それでツイッターで情報発信をはじめました。

:ああ、そうなんだ。もんじゅはね、わたしも福井に見にいったことがあるよ。

もんじゅ:あのとき見ていただいた見学施設も、もう閉鎖しちゃったんですよ、2012年3月に。たぶん莫大な予算がかかってるっていう批判をかわすための、JAEA(*1)の判断だと思うんですけども。 (*1 日本原子力研究開発機構。高速増殖炉もんじゅを管轄している)

秘書:あそこは原子炉の模型とかたくさんあるのに、もったいないですね。

もんじゅ:そうなんですよ。あれはあれで負の遺産として教育に活かすといいと思うんですけど。

菅さんのもともとの考えと、事故後にきめた「脱原発」に、関連はありますか?


もんじゅ:今回、菅さんにお会いするということで、ツイッターでフォロワーの方にも「なにか聞きたいことはないですか?」と質問してきました。まわりの人にも、「なにが気になる?」というのをたずねてみて。

:うんうん。

もんじゅ:それで、まずお聞きしたいのが、菅さんは、震災以前・震災以後で、原発についてどのように考えが変わったのか、ということです。いまは「脱原発」をすすめてらっしゃいますよね。でも、震災前は原子力についてどんなイメージをもっていたんでしょうか?

:そうだね、再生可能エネルギーについては、むかしから関心があったんだよ。それから、わたしはいろんな市民運動ともつきあいがあったから、原発についても運動している人たちの意見をきく機会もたくさんあったんですよ。

もんじゅ:じゃあ、原発に反対する声があるのはしっていた、と。

:うん。ただ、ある時期から、CO2の問題もあるからね、日本の技術をもって安全性をしっかりチェックしていけば、事故を起こさずに原発を稼働できるだろうと思っていましたよ。そういう点では、総理になるすこしまえから、「原発は、安全性に注意しながら活用」という立場だった。あとになって思えば、それはいわゆる「つくられた安全神話」だったわけだけども……。 首相になってからは、たとえばトルコの大統領やベトナムの首相と会ったときも「原発を導入したい」と希望されたから、「もし導入されるのなら、日本の原発がいちばん安全ですよ。わが国のものを採用してほしい」と、トップセールスもやっていましたよ。

もんじゅ:原発についての考えかたはいつごろ変わったんでしょう。

:そうだね、政党の政策としては、最初につくった党、「社民連(社会民主連合)」の段階では、原発は「経過的エネルギー」と位置づけていたんだよね。どちらかというと「これ以上はつくらないでおこう」という考えかたがあった。 そのあと、政党がいまの民主党になるにしたがっていろんな意見がでてきて、「安全性に注意しながら活用していこう」ということになったね。党の方針も、わたし自身もそれでいいと思っていました。

もんじゅ:なるほど。じゃあ、もとは「認めつつもあまりふやさない」という感じだったのが、事故前には「必要だ」とお考えだったわけですね。

最悪の場合、東京をふくむ250キロ圏内があぶなかった


もんじゅ:福島の原発事故が起こった直後というのは、ほんとうにおいそがしいなんてものじゃなかったと思うんですが、当時、ご自身のなかで危機感がいちばん高まったのは何月何日だったんでしょう?

:そうだね、やっぱり最初の1週間がいちばん……。それで、とくにおおきなさかいめとなったのが、3月15日だね。

もんじゅ:あのころっていうのは、もうみんな、国民も、テレビをみたり、ツイッターなどネットをみたりして、つねにリアルタイムで情報をチェックしていたと思うんです。もう、すごくハラハラしていて。総理の菅さんが安心して眠れるようになったのは、いつごろだったんでしょう?

:うん、じゃあ事故の経過をまず整理しよう。

もんじゅ:はい。

:時間をおってはなすと、3月11日に事故が起きて、あとからわかることもふくめていえば、11日の夜にすでに1号機がメルトダウンしていたわけだね。そのときは「していない」といっていたけれども。そして、12日に1号機が水素爆発。14日には、3号機が水素爆発を起こした。それから15日に4号機が水素爆発して、2号機に穴が開いた。このあたりから、原発事故が急激に拡大していったわけなんだよね。

そのとき、「これからどんなことが起こるんだろうか?」と、いわゆる「最悪シナリオ」を想定しました。専門家にも調べてもらったうえで、最悪の場合は、東京をふくむ250キロ圏内があぶないということがわかった。わたしの本(『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書)』にも書きましたけど、そういうところまで事態がガーッときていたわけです。

もんじゅ:東京もふくめて、国土の何割かがうしなわれるような可能性もあったわけですね。

:そう。これはおそろしいことになると思った。それで、3月16日に、自衛隊がヘリコプターを飛ばして、3月17日に、3号機のプールに水を注入した。それまでは1週間近く、日本は「放射能」というみえない敵に攻めこまれていたようなものだったと思うんだ。それがやっとそこで「これから押しかえしていこう」という状況になった。それからは、いろんなことがいったりきたりはしながらも、すこしずつ対応がすすんで、ロードマップをきめるにいたった。

ヘリからの放水は、じっさいには意味があったんでしょうか?


もんじゅ:そのあとはどんなふうに進展したんでしょうか。

:ロードマップができてからは、あるていどは予定した時間のなかですすみはじめたといえるんじゃないかな。ただし反対に、放射能の問題については、拡大していく部分もあった。「炉」の問題だけでいえば、あるていど安定的に注水できて、温度もさがってきて、4号炉プールの補強ができて、というようにすすんで、すこしはホッとしたといえるのかもしれない。ただ、ほかにも問題は山積みで、じっさいには「あのときホッとできた」というようなおぼえはぜんぜんないんだけども。

もんじゅ:放射能のことはともかく、原子炉については、その時点で進展があったと実感できたわけですね。

:そう。だから、「炉」そのものの問題と「漏れ出た放射性物質」による被害の問題とは、ちょっと性質がちがう。「炉」の問題でいえば、ロードマップのステップI、ステップII、とすすんで、すこしずつおちついてきた。

もんじゅ:ええと、「放水」がひとつのおおきなターニングポイントだったというのは、どういうことなんでしょう。最初のヘリからの放水というのは、効果はあったんでしょうか? あれはテレビでみていても、効果があるのかどうなのか、よくわからなかったんです。じっさいに水をかけて冷やせていたのか、それとも、「これだけのことを日本政府が覚悟をきめてやろうとしている」とアピールする象徴的な意味があったんでしょうか?

:それは、りょうほうですね。じつは、いまの法律の体系では「炉」などのオンサイト(原発敷地内)の問題は「事業者」、この場合は東電だよね、がやることになっているんだよね。その外のこと、つまりオフサイトの問題は、自治体などもまじえて逃げる範囲を決めることになっているわけだけれども。

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