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被災地で芽吹く新たなソーシャルビジネス。カフェ「かぎかっこ」の事業モデルが面白い

BLOGOSアワード大賞の副賞として、日本財団のコーディネートのもと、仙台、石巻、牡鹿半島、女川町の視察をしてきました。(コーディネート頂いた日本財団の福田さん、ありがとうございました!)


カフェ「」(かぎかっこ)がクリエイティブ!

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特に印象的だったのが、石巻市の高校生たちが運営するコミュニティカフェ、「かぎかっこカフェ」。フィリップモリスジャパン、日本財団、NPO法人スマイルスタイル、NPO法人み・らいず、NPO法人Co.to.hanaが企画・助成・運営する事業です。

事業内容はシンプルで、市役所のスペースを使って、高校生たちがゼロからカフェを立ち上げるというもの。

2012年6月に企画が始まり、同年11月にオープンしました。まだ始まって4ヶ月の新たな観光名所です。


大きな地図で見る


主な狙いは下記のふたつ。

・被災地の教育支援は小中学生に偏り気味であり、高校生向けの支援が少ない。高校生が必要とするキャリア、仕事に関する教育を提供する。
・高校卒業後、75%の生徒は市外に出てしまう。カフェ事業を通して、地元とのつながりを実感してもらう。

特に教育面の効果はてきめんであり、高校生たちが「変わる」きっかけになっているそうです。

学校も学年もバラバラの高校生が集まり、社会人のアドバイス・協力を受けながらひとつの店舗を作り上げていく。これは確かに勉強になりそう。現地でサポートを行う日本財団の金子知史さんは「単なるバイトでは味わえない、起業に近い経験ができる」と語っていました。


かぎかっこカフェは被災地支援事業ではありますが、何より教育プログラムとしての価値が高いように感じました。これ、石巻に限らず他の地域でも展開していくべきです。

店舗づくりは完全にゼロベースで行われており、内装、メニュー、料金設定など、すべて高校生たちが話しあって決めているとのこと。文化祭みたいな感じですね!

地産地消を意識したメニュー構成。値段もお手頃です。

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試作品メニューも提供。料金はお客さんが決める、というスタイルを取っています。

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オリジナルデザインのお土産も。現地で加工した鯨の大和煮です。

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BGMは他地域の学校の軽音楽部が、無償で提供してくれたそうです。なるほど!

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店舗の設計プロセスも可視化。お客さんも一緒に作っていくカフェなのです。

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土日のみの営業ですが、家賃を優遇してもらっているのもあり、すでに採算的にはトントンの水準に来ているそうで。

ただし、働く高校生はすべてボランティアで、現在彼らの人件費は掛かっていません。これから活動を拡大し、平日の営業も始め、商品展開を広げていけば、人件費を支払える十分ひとつのビジネスになっていきそうな感じです。

今進んでいる企画としては、ランチメニューとして石巻で取れるムール貝を使ったカレーを開発中とのこと。カレーは店舗で売るだけではなく、レトルト食品としてパック詰めし、ネットショップや他の店舗でも販売していく予定だそうです。高校生が新しい地元の名物を作ってしまう、というわけですね。すでに食品メーカーとの協賛の話が進んでいるというから、そのスピード感に驚きます。


スケール可能な事業モデル

カフェ「かぎかっこ」の事業モデルを整理するとこんな感じ(主観が入ってるので実体とは一部違うかも…ご容赦ください)。

・高校生がカフェ経営を行い、ビジネスについて学ぶ機会を得る
・カフェ経営にあたっては企業スポンサー・寄付などでイニシャルコストを補填
・各領域のプロフェッショナルのアドバイスあり
・スタッフとして働く高校生は基本的にボランティア
・地元や他地域とのつながりのなかから、カフェにとどまらない事業を展開(名産品の開発、イベントの企画など)
・1〜2年で収益化し、人件費を支払い、通常のカフェビジネスとして回していく

これってそのまま、他の地域でも使えると思うんですよね。地方はもちろんですが、東京にあってもなんらおかしくありません。実際、日本財団の金子さんとしても石巻でノウハウをつかみ、このモデルを全国に広げていきたいと考えているとのこと。

可能性を感じるのは、十分にビジネスとしても成り立つ可能性があるという点。要するにカフェビジネスですからね。「高校生がつくる」「教育の機会になる」というストーリーがある分、むしろ普通のカフェ経営よりサステナブルにできるのかも。ボランティアスタッフも関わってくれますし。


地域と教育の課題を解決しつつ、新たにビジネスを生み出すという意味では、これはいわゆる「ソーシャルビジネス」といえるでしょう。被災地からこうした新しいモデルのビジネスが芽吹いているのは非常に興味深いです。探索すればまだ他にも次のビジネスの卵たちがたくさん見つかりそうです。うーん、もっと見たかった…。


かぎかっこのウェブサイトはこちら。ブログフェイスブックは高校生たちが更新しているとのこと。こちらもぜひ。

高校生がつくるいしのまきカフェ「 」(かぎかっこ)

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