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ユニクロがブラックな本当の理由その2。柳井さんのしかけた"店長無理ゲー"という登用制度

昨日のユニクロ論が私のブログ史上最大のアクセスを集めた。
それだけみなさん関心のある話題なのだろう。

そこで続きというか、もうすこし視点をふかめてみたい。

前回のエントリでは、ありそうにみえてないキャリアで新卒を釣っているのが問題ということを指摘した。これに加えて、今回は、ではなぜ、その構造のなかで長時間労働がおきるのか、ということについて考察したい。

まず、前回の前提を覆すようだが、ユニクロの店舗から、本社へのキャリアパスはつながっている。ただし、蜘蛛の糸でつながっている。その糸をつたって上にいくには、超絶的なハードルを乗り越える必要がある。

実際、新卒から店長をへて、本社に昇進したひとの事例がある。
ただ、その数は、店長の数に比べてたら、極めて少ない。ユニクロの直営店は832店舗あるが、832人のうち本社に登用されるのは、多く見積もって5%程度だろう。


ユニクロでは店長時代に凄まじい労働が強いられる。プレッシャーに耐え、長時間労働ができ、そのなかで圧倒的な業績をあげられるという、とびきり優秀なスーパー人材だけが、本社に登用される。店長は、スーパー人材をスクリーニングする機能を果たしている。

これは、柳井さんが設定した、"店長無理ゲー"である。これをクリアできる人材を本社に登用したい。だから、店長にとてつもないプレッシャーをかけることは重要だ。幹部候補のスクリーニングなのだから。


マッキンゼー級の人材だけは、上にあげてあげようという、これは柳井さんの温情というか、柳井さんの新卒のひとにむけた期待なのであろう。
お前ら、経験ゼロのやつを取ってやるんだから、本社で経営にかかわりたければ、マッキンゼー級の働きをしてみろ。
しかし現状は、ほとんどの新卒は柳井さんの期待レベルにとうてい達することはできず、討ち死にして辞めていく。50%近い離職率=スクリーニングという結果がそれだ。
一見するとみんながクリアできそうで、実は一部の人しかクリアできないような無理ゲーを設定し、店長職を、マッキンゼー級の人材をスクリーニングする機能として位置づけていることが、実際に超絶な労働時間と過酷なノルマというブラック労働が起きる直接的な原因である。

これが実際におこっているところだろう。
つまり、ユニクロの本社に入るためには、

①中途として、MBAやマッキンゼー等を経て採用される

のほかに、新卒パスとして

②新卒ではいって、店長としてマッキンゼー並みの活躍をする

というのもあることはあるということだ。
ただ、新卒から生き残るのには、そもそもその人材がはじめからマッキンゼー級スーパー人材であることが必要だ。そうでなければ、柳井さんの設定する店長無理ゲーをクリアできない。


つまり、どちらにしても、マッキンゼー人材しか本社にいけないという、たいへん身も蓋もないしくみなのである。





しかし、実際の新卒の描くモデルは、図の左のほうだろう。つまりエスカレーターモデル。
最初は現場でもかまわない。労働時間も守られた環境で着実に仕事をして、時間をかけて徐々に、現場から、店長をへて、本社にうつり、マネージャー、経営陣と上がる。 店長の5割くらいがとりあえず本社にいけて、そのうち半分くらいがマネージャーになれる・・・といったような。まるでこれは、高度成長期の終身雇用のモデルではないか。
新卒のあまたの中と、柳井さんの頭のなかには根本的な意識ギャップが有る。
エスカレーターではなく、かなり短期の期間(3年程度)でスクリーニングがかけられ、 クリアできないひとは、辞めさせられる(実際は辛いので自分から離職する) という仕組みは、珍しいものではない。
これは、up or outといって、外資系の金融やコンサルではよくある方式だ。
外資の金融などでは、大量のハーバードMBAが毎年入社してくるが、 3年もたつと半分ものこらず、5年生き残るのは10人に一人だ。 もちろんその間はユニクロを凌駕する長時間労働がまっている。 のこりの9人はどうするか? そう、全員辞めていく。 だからこの手のタイプの外資系は、離職率が異常に高くなる。離職率90%。
これが健全に働くかどうかは昇進できる比率と、報酬による。 外銀などは、生き残る率も少ないが、報酬が高い。シニアなレベルになれば年収1億円もありうる世界だ。
ただ、ユニクロの場合は、店長の年収は400万程度のようだし、本社に登用されても1000万になるわけではない。この賃金設計では柳井さんの期待とは違い、インセンティブ設計としては失敗しているのではないか。
結果としては、人材選抜という意味でも、832店舗の店長を確保するという実利的な意味でも、両方失敗しているのではないかとおもう。


ユニクロの現場をホワイト化するには、この逆説的だが、幹部登用を一切辞めることである。幹部登用が絶対にないとわかれば、店長もそれほど働かない。
先日のエントリにも書いたように、店長を管理職ではなく、労働者と位置づけてマニュアル化を徹底する。イトーヨーカ堂のように、店長もバイトというのが究極のかたちだが、べつに正社員でもかまわない。ただ、店長の先には絶対に昇進のパスがない。たんなる労働者だからだ。
労働者となった店長は、本部のマニュアルどおり動き、売上責任もすべて本部のせい。自分たちは店舗の実作業を粛々とおこなうだけ。 こうなれば、工場労働者とほぼ同じだ。労働基準法は守られ、残業代も支給される、完全なホワイト労働になる。(上の図が、ホワイト化されたユニクロである)
ただ、この場合、完全に、本社へいく道は閉ざされる。バイト労働者に柳井さんはなんの期待もしないだろう。

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