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日本の大学生はなぜ勉強しないのか

今週号のメルマガ「週刊 Life is Beautiful」に向けて、「日本の大学生はなぜ勉強しないのか」という文章を書いたのだが、特に冒頭の部分はぜひとも多くの人に読んで欲しいので、引用する。

NHKニュースで「日本の大学生が予習復習のために費やす勉強時間は一日平均39分」というデータが発表されていました。まさに「ぬるま湯大学」です。私が大学(早稲田大学)に通っていた時も似たような状況でしたがが、これが日本の国際競争力をなくしている原因の一つであることをより多くの人が強く認識すべきだとつくづく思います。

私は米国の大学(University Washington)でも勉強した経験がありますが、日本の大学とは全く異なっていました。まず第一に、予習をしていかなければ全く授業について行けません。授業にもよりますが、90分の授業の準備に1〜3時間の予習が必要です。

例えばビジネス戦略の授業の場合だと、全員が前もって配布されたケーススタディ(十数ページの論文)を読んで来た前提でいきなりディスカッションから始まりました。Benihana という焼き肉レストラン・チェーンのケースでは、「Benihana レストランがバーコーナーをもうけた理由は?」「Benihana のウェイターと普通のレストランのウェイターとの違いは?」「何年目に黒字化したのか?」「これからの成長における課題は?」などという質問が授業の冒頭から矢継ぎ早に飛んできます。

前もって予習しておかなければ何を話しているかすら分からず、すぐに教授にばれてしまいます。そんな生徒を見つけると「次からは読んで来る様に」と厳しく指摘した上で、その生徒を無視して授業は進んでしまいます。

生徒の授業に対する姿勢も、日本の大学生とは大きく違います。米国の場合、大学の卒業証書をもらっただけでは良い仕事を見つけることが出来ないため、良い成績を取ること、実力を身につけることに皆、懸命です。授業料も基本的には本人が借金をしたり奨学金でまかなっているため、「お金を払った分だけの対価を得よう」と真剣です。特に奨学金で大学に来ている生徒の場合、成績が悪くなると奨学金が打ち切られてしまうので、必死です。

なぜ、どうしてこれほどまでの違いがあるのか、どうやったら直すことが出来るのか、私なりに色々と考えて来ました。

「生徒を簡単に卒業させてしまう大学が悪い」という意見もありますが、私はもっと根の深い、社会構造そのものに問題点があると見ています。

極論で言えば、日本の社会は未だに「身分社会」の色が強く残っているからこんなことになっているのです。さすがに江戸時代のように「生まれ」で決まる時代ではありませんが、大学を卒業した時にどこに就職するかでその人の一生の「身分」が決まるのが今の日本の社会です。その時点で、霞ヶ関の官僚や東電・NHK・NTT・大手金融機関のような国策企業に入ることができればベストですが、(いざとなったら政府が「雇用の確保」のために救済してくれるような)一部上場企業に入ることが出来ればほぼ「身分」は一生保証されます。

(以下略)

資本主義社会において、貧富の差が生じるのは仕方がない。しかし、大学を出た瞬間の就職先で一生が決まるという「やり直しのきかない」社会はあまりにも不健全だ。それが若い人達を保守的な行動に走らせ、国全体としての活気を奪っている。

中学高校で「詰め込み教育」を受け、大学ではろくに勉強せずに、霞ヶ関や大企業を好み、3年生で内定を受け、会社に入ったら上司の顔色をうかがいながら一生懸命に働き、偉くなったら天下り。これが日本のエリートだ。私がNTTの研究所に入って最も失望したのは、部長クラスの人達全員の頭が自分の「天下り先」このとで一杯だったこと。

私が「NTTを辞めてMicrosoftに行く」と宣言したら、上司だけでなく、先輩や大学の教授までが入れ替わり立ち代わり「この日本の社会でレールから外れること(=身分を捨てること)がいかに馬鹿げているか。ベンチャー企業で働く人生がいかに厳しいか」を説得に来てくれた。

彼らには申し訳ないが、あのままNTTにいたら、私も今頃は天下り先を物色しているのだろうと考えるとゾッとする。

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