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自民党の結党精神を正しく理解していない安倍首相

 安倍首相は、15日に自民党本部で開かれた自民党憲法改正推進本部の会合に出席し憲法改正に取り組む姿勢を改めて強調したという(2月16日各紙)。

 私が注目したのはその時に挨拶で述べたという安倍首相の次の言葉だ。

 「(自民党)結党の目的は真の独立を勝ち取り、経済力を手に入れることだった。2番目の目標は達成したが、大きな宿題が残っている。いよいよ憲法だ」(2月16日読売)。

 この言葉は、半分は当たっている。

 しかし残り半分が、いや自民党結党精神の最も重要な部分が、すっぽり抜け落ちている。

 1955年に結党した自民党の安全保障政策に関する「党政綱」の核心部分を引用すると、こうなっている。

 「平和主義、民主主義および基本的人権尊重の原則を堅持しつつ、現行憲法の自主的改正をはかり、また占領諸法制を再検討し、国情に即してこれが改廃を行なう。世界の平和と国家の独立及び国民の自由を保護するため、集団的安全保障体制の下、国力と国情に相応した自衛軍備を整え、駐留外国軍隊の撤退に備える」

 これである。

 確かに安倍首相がやろうとしている事は、改憲といい集団的自衛権行使の容認といい、自衛隊の国軍化といい、この自民党結党の政策綱領を忠実に実現しようとしているように見える。

 しかし、この自民党の政綱の最も重要な部分は、実は、一番最後の部分、すなわち「駐留外国軍の撤退」なのである。「駐留外国軍」が「駐留米軍」であることは言うまでもない。

 外国軍を駐留させ続けておいて真の独立はありえないことは子どもでもわかる。

 改憲によって国軍を持てるようにするのも、集団的自衛権行使を認めて米国の戦争に協力できるようにするのも、すべては駐留軍という名の米国の占領軍をこの日本の国土から撤退させて自分の国は自分で守れる国にするためのものなのである。

 歴史を少しでも勉強した者であれば日米安保条約が駐留米軍条約である事を知っているはずだ。

 こう考えていけば、安倍首相が日本と言う国を真の独立国にしたいと本気で思っているのなら、日米安保条約をいったん撤廃し、この日本の国土から在日米軍を撤退させ、対等な日米同盟条約を作り直さなければならないのだ。

 それこそが自らの祖父を含め歴代の自民党総裁がやろうとしたが、米国の反対にあってできなかったことなのである。

 この事を知っていながらあえて駐留米軍の撤退に一言も触れない安倍首相は不誠実だ。

 もしこの事に気づかずに日本を取り戻すと叫び続けるなら安倍首相はおめでたい。

 私が「自立する国家へ!」(KKベストセラーズ)で田母神俊雄元航空幕僚長とともに安倍首相に訴えようとしたことはまさしくこの事である。

 誰よりも護憲論者である私だが、もし安倍首相が在日米軍基地の撤退を実現してくれるなら憲法9条改憲すら認めてもよいと思っている。

 なぜならば憲法9条をいくら守っても、駐留米軍条約である日米安保条約がある限り日本は平和国家になれないと確信するからだ。

 なぜならば駐留米軍条約がなくなり日本の自衛隊が米軍の下請けでなくなるほうが、憲法9条がなくなるよりもはるかに平和国家に近づくと思うからだ。

 自立した自衛隊ほど世界の軍隊の中で平和的な軍隊はないと私は信じたい。

 はたして安倍首相にこの訴えは届くだろうか。

 読者は、右も左もその立場を超えて、「自立する国家へ!」の中で提起した自主防衛の正しいあり方に、いまこそ思いをめぐらす時である(了)。

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