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ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか



 中山淳雄さん「ソーシャルゲームだけがなぜ儲かるのか」。  勉強になりました。  世界のソーシャルゲーム市場は6500億円、うち半分が日本市場だという。  ソーシャルゲームは今年3400億円市場に。これは国民全員が年3000円使うシャンプー市場と同規模だという。

→そう考えれば、気がつけばとてつもない大市場です。

 日本のソーシャルゲームのARPUは月間2000円。Facebookの50倍、Lineの500倍だという。

→つまり、日本は世界の中でも特殊な大規模・高収益の市場を築いているわけです。  本書はこの構造を描こうとするものです。

 成功要因は、ソーシャル(集客)、ゲーム(熱狂)、アイテムマネタイズ(換金)を揃えたこと。特に、マネタイズを行う仕組みに優れていたことが指摘されています。

 5年間増収増益を続けてきたファストフード、ファストファッション、低価格家具などデフレ商品にさえ陰りが見える一方、ネット広告、EC、ソーシャルゲームなどネットサービスは成長基調にある。

→単に、不況に強いというだけではないのですね。  しかも、家庭用ゲーム市場の落ち込みよりソーシャルゲーム市場の成長は大きく、前者の市場を食っただけとは言い難い。新しい市場を作っている、という見方です。

 世界的に見ると、世界コンテンツ市場25兆円のうち過去5年でゲームのみが成長していて、3兆円から4.5兆円に伸びたのだという。日本で見ても、過去10年の消費支出は教育、自動車等が減少する中、美容は横ばい、通信費が上昇している。

→これは、コンテンツ=消費から、コミュニケーション(美容は表現、つまりコミュニケーションです)へ人々の欲求がシフトしている、ないしようやくそうした欲求を満たすメディアやサービスが現れてきた、ということでしょう。

 でも、よく類似性が指摘されるパチンコとは事情が違うようです。パチンコユーザの「平均」月額3~5万円だとか。これはソーシャルゲームでは相当なヘビーユーザーのレベル。もっとライトな、月2000円ユーザが支えてるんですね。ソーシャルゲームに没入し、大枚をはたいちゃう人が後を絶たず、それが問題視されたりしてるんですけど、まぁヘビーな人というのは、「AKB48総選挙で283万円を投じるユーザ」、「ディズニーランドへの生涯訪問回数5000回というユーザ」、いろいろいるわけでしてね。

 中山さんはゲームの評価軸 をA(感覚・操作)、B(オンリーワン:収集・顕示)、C(ナンバーワン:ソーシャル)、D(偶然性)の4つを取り、分析しています。

 従来のゲームはAとC。ソーシャルはBCDの軸を狙ったといいます。  Zynga のようにARPUが100円に満たないゲームはBに特化。怪盗ロワイヤルはCで競争・協力性を追求。2011年に100万ユーザ×ARPU1000円を稼ぐカードゲームが流行したのはBとCの両面追求。そしてガチャのようなD軸が新地平を開いてきた。消費者庁からはそこが問題とされたわけですね。

→この4軸の分析は、グラフィック(セガ)〜操作性(任天堂)〜グラフィック+流通刷新(ソニー)〜関係性(任天堂wii)〜ソーシャルといったゲームの変遷を重ね合わせ、自分でも掘り下げてみたいと思います。

 さて、3点、グッとくる指摘がありました。
1) 元祖ソーシャルゲーム、GREE「釣りスタ」はSNSのオプションにすぎず、DeNA「怪盗ロワイヤル」は社内で9割につまらないと評されていたとか。

→そうなんですね、コレ行ける!と思って踏み込んだわけじゃなくて、やってみたら当たったんですね。東大・京大卒のエンジニアをごっそり採って1000億円を超える売上を弾く両社だから、チョー緻密な計算の上で投資してきたと思いきや。

2) 最先端の携帯電話市場、課金システム、ユーザのケータイ課金習慣がソーシャルゲームのインフラとして機能した。

→そのとおり、ガラパゴスと賞賛されるほど高度に発達したデバイスとソフトウェア群、そこに集まったコンテンツビジネス。それを下支えする課金システム。これが盤石のインフラ。そして、より重要なのはユーザのリテラシーです。片手親指でポチっとクルマを買ったり、家をも買っちゃったりするユーザがいるお国柄。人とケータイとおカネのバリヤフリーさがソーシャルゲームを成立させたのですね。

3) この久々に日本企業が生み出した大ヒット、成功事例を「賭博罪やコンプガチャといった規制の波の中で葬り去ってしまうことには断固反対」。

→御意。その結論、いただきます。是非とも「ソーシャルゲーム協会」にご助力を賜りますよう、切にお願い申し上げます。

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