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無法者国家

都、東電と全面対決へ売電解約、50億円支払い拒否へ(朝日新聞)

水力発電した電力の売買契約で、東京電力との契約解除を決めていた東京都は、東電から要求されている解約金51億8千万円の支払いを拒む方針を決めた。今月にも新たな契約先を探す入札手続きに入る。東電の大株主の都は、東電と全面対決の構えだ。

猪瀬直樹知事は、朝日新聞の取材に「東電の主張する金額は払う必要はない。払わないと言い切れば(都の)勝ち。都を敵に訴訟を起こせるのか」と述べ、契約継続を求める東電の要請を拒む姿勢を示した。

都によると、都は青梅市や奥多摩町に所有する三つの水力発電所(最大出力計3万6500キロワット)の電力を1957年から東電に売却。10〜15年といった長期の随意契約を結び、売却額は複数年ごとに見直してきた。


 

犬が去って豚が来るとはよく言ったものですけれど、今それが最も当てはまるのは東京都知事の場合でしょうか。むしろ私には猪瀬に変わるくらいなら石原のままの方がまだしも、と思えないでもありません。で、猪瀬直樹が「払わないと言い切れば勝ち。都を敵に訴訟を起こせるのか」と、反社会的勢力のような台詞を披露しています。背景としては東京都側の一方的な契約破棄があるようで、その違約金の支払いを求められているわけですが、まぁ大半の日本人にとって契約とは鴻毛より軽いものなのかも知れません。立場の強いものにとって、契約の一方的な打ち切りは裁量権の範囲として幅広く認められているのが我が国というものでしょうから。

社会的な非難の対象となっている相手――犯罪加害者(容疑者)であったり、公務員であったり、社会保障受給者であったり、そして電力会社であったり――であるなら、その権利や契約などは尊重しなくてもいいと猪瀬は言明していますけれど、これが猪瀬ばかりの例外的な発想ではないところに日本の現状があります。負い目のある相手には徹底的に強気に出てみせるのが美しい国の文化なのでしょう。何はともあれ、東京都が非協力的なこともあって、ますます原発に変わる電力び確保手段が狭まったわけで、この分だけなおさら原発の再稼働に向けて全力を尽くさねばならなくなったとも言えそうです。

 

相次ぐ駆け込み退職希望「想像より3倍多い」(読売新聞)

「増えるとは思っていたが、自分の想像より3倍くらい多い」。
 
埼玉県の2月からの退職手当削減を受け、今年度の定年退職者に1月末での駆け込み退職希望者が教員を含めて相次いでいることを巡り、上田清司・埼玉県知事は22日の定例記者会見で困惑の色を見せた。

(中略)

条例案に賛成した県議会には想定外の事態だった。自民党県議団の細田徳治幹事長は「担任の先生までが辞めるとは予測できなかった」とし、民主党・無所属の会の浅野目義英幹事長も「減額には賛成したが、教員の駆け込み退職を認めたわけではない」と声を強める。


 

「決して許されない」=教員の駆け込み退職―下村文科相(時事通信)

下村博文文部科学相は24日の記者会見で、全国の公立学校教員が定年を待たず、退職手当減額前の年度途中に「駆け込み退職」をしている問題について、「決して許されざる(ことだ)」と批判し、文科省として各教育委員会などへの指導に乗り出す考えを示した。


 

どうにも経営者や株主以上に政治家や国民の方が賃下げを歓迎する傾向が強いのではないかと思われる昨今ですが、ともあれ自治体職員の給与カットの一環として、埼玉でも約150万円ほど退職金が減額されるとのこと。そこで制度が変わる前に一足早く退職する人が教職員は元より、ここでは報道されていませんが警察官などでも続出しているとか。まぁ、あたりまえのことです。定年まで何年もあるならいざ知らず、3月末で退職なら残るは2〜3ヶ月、その期間を働き続けた結果として退職金が150万円も減額されてしまうと言うのなら、先に辞めるのが当然の正解です。むしろ残ろうとする人は深刻なワーカホリックで正常な判断力を喪失している疑いがありますので、カウンセリングなどが必要でしょう。

しかるに、民主党・自称無所属の会の浅野目義英幹事長は「減額には賛成したが、教員の駆け込み退職を認めたわけではない」、下村博文文科相曰く「決して許されざる(ことだ)」と。どうにも、この辺の人は職業と労役刑の区別が付いていないようです。巨額の報酬を受け取るスター選手や総理大臣ならまだしも、「普通」の給与水準で働く人には誰しも辞める自由くらいは認められるはずです。しかるに一方的な労働条件の不利益変更を強いた上で働き続けることまで要求するとしたら、これまたブラック企業的とも言えます。3ヶ月ほど働いたために退職金が150万円も減る、おそらく退職までの3ヶ月は実質的な無償労働にもなることでしょう。対価のない労働を強いるのは人権の面からしてどうなのかも問われてしかるべきです。

もっとも日本は雇用・労働に関しては完全な無法状態と言いますか、労働者を守るための法律は誰かが裁判所に訴え出もしないと適用されない、実質的に存在しないも同然だったりします。今回の退職金引き下げなど一方的な労働条件の不利益変更も雇用側の裁量権の範囲として幅広く社会的に認められるところで、それに対して労働者側がせめてもの自己防衛に走った結果がごらんの有様です。労働者の権利を保護するための制度と運用は日本にだって必要ではないでしょうかね。労働者の我慢の上に成り立つ社会なんて必然的に限界が訪れるものですから。

 

駆け込み退職、知事「置き去り生徒かわいそう」(読売新聞)

埼玉県などで退職手当の削減前に学校教員らの早期退職希望が続出している問題を巡り、黒岩神奈川県知事は23日の定例記者会見で「退職金ということで、生徒たちを置き去りにし、ポイと辞めてしまうというのはやりきれない。生徒たちがかわいそうだ」と批判した。

県も現在、退職手当を引き下げるため、組合側と交渉を進めているが、現在のところ、早期退職の希望者はおらず、退職手当制度の見直しに関する問い合わせが数件あっただけにとどまっているという。

 

そして神奈川の知事は「生徒たちがかわいそうだ」と感情論へのすり替えに走ります。長年の勤務の結果として退職金を削減される人は可哀想ではないのかとツッコミたくもなりますが、我が国では年齢が上の人のことは蔑ろにしてもいいことになっているのでしょう。若いほど尊いのです。そして「子供のため」を装いつつ、その実は子供を盾にしている人、子供を人質にして、不服を申し立てる人々の口をふさごうとしている人は、立場の違いを超えて幅広く勢いづいているような気がします。子供のために我慢しろ、と日頃は暗に要求してきた類の人間は、今回の一件で教職員側に同情的な立場の人にも少なくないのではないでしょうか。一方的な退職金削減を受け入れてまで働き続ける義理はないと思いますけれど、子供は葵の印籠であり錦の御旗、子供のため〜、子供を守れ〜はマジックワードです。「子供」を持ち出されると沈黙を余儀なくさせられることも多いわけで、神奈川でも単に我慢しているだけ、我慢させられているだけの職員は数多いるだろうと推測されます。

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