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就活についてのインタビュー

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朝日新聞デジタルというところからインタビューを受けた。
お題は「就活」。

「就活なんか、するな。卒業するまでは大学生として大学での活動に全力を尽くし、卒業してから、その先のことは考えなさい」というのが私の年来の主張である。

今していることをおざなりにして「ここではない場所で、あなたではない他の人たちとする仕事」に前のめりになっているような人間をあなたは重用する気になるか。

私はならない。

そんな人間はどこにいっても使い物にならないということを経験的に知っているからである。

でも、同意してくれる人はきわめて少ない。

マスメディア上では「ゼロ」である。

珍しく朝日新聞(ただしWEB版)からこの件でお座敷がかかった。

でも、それは「息子が内田樹の書いたものを読んで『就活をやめる』と言い出したので、ちょっと腹を立てた母親」がインタビュアーという、ちょっと不思議な趣向のものであった。

インタビュアーの渡部さんは最初のうち、「警戒心」と「好奇心」の中間くらいのところで質問をしてきたが、そのうちだんだん深くうなずきだした。

母親の直観は「いまの就活には何か人間の生きる力を損なうものが含まれている」ということを理解しているのだと思う。
そのインタビューの一部を採録する。

実は、筆者の次男は大学3年生。1ヵ月半前のこと、彼は突然、夫と私に言いました。「僕は就活しない。休学する」と。えっ、どうして!? 「もっと本も読みたいし」。何を? 「内田樹」――。息子の心の変化に迫り、あわよくば休学阻止をねらって、息子が私淑する武道家で思想家の内田樹さんにインタビューを敢行。さて、その結果は?

――息子の休学宣言には困惑しましたが、取材を進めていくと、いま、就活をしない学生が少しずつ増えていることが分かってきました


もう10年くらい前からの傾向です。何十社、何百社にエントリーし、勝ち抜いた者が成功者で、負けた者は二十歳少し過ぎたところで人生の敗残者、というような競争にさらされてきた先行世代を見て、揺り戻しが来ている。そんな競争に勝ち残ってもたいして明るい未来が開けるわけでもない。こんなやり方がいつまでも続くはずがないと直感しているんです。

就活をしない若者たちは、概して無欲です。車やバイクも洋服もいらない。海外旅行もしない。ミシュランの星つきフレンチで高いワインを飲みたいとも別に思わない。

いま、センスのいい若者で、バリバリ上昇志向っていう人はほとんど見かけませんね。大学院に行ったり、仲間と起業したり、ボランティア活動に携わったり、農業をやったり。昔のようにイデオロギーや宗教に凝り固まるわけでもなく、ナチュラルに、でも、堅実に生きているように見えます。

――でも、大多数は就活に必死で取り組み、親も社会もそれを後押ししています

だから、ますます若者が苦しい立場になっていくんです。

いまの就活は、とにかく狭い市場に学生を押し込もうとする。当然、買い手市場になり、採用する企業はわずかなポストに群がる求職者たちの中から、能力が高く賃金の安い労働者をよりどりみどりで選べる。『キミの代わりはいくらでもいる』という言葉を採用する側が言える。

これが一番効くんです。

でも、本当は、若者の手助けを求めている職場はいくらでもあるんです。中小企業もうそうですし、農業林業漁業のような第一次産業、武道でも能楽でも伝統文化も継承者を求めている。

でも、そういう無数の就職機会があることを就職情報産業は開示しない。そして従業員1000人以上の一部上場企業に就職しないと敗残者であるかのような幻想をふりまいている。

大学を卒業したら、スーツを着て毎日満員電車で出勤して、朝から晩まで働く以外に仕事はないと教え込んでいる。

――何だか、わが子が大きな罠に絡め取られていくようです

就活は、能力が高くて安い賃金で働く若年労働者を大量に備給して欲しい経済界の要請により、経済産業省や文部科学省と就職情報産業が共謀して作り出した仕組みです。

大量の学生たちを希少な就職機会に押し込むから、倍率ははね上がる。何十社も採用試験に落ち続けた学生たちは自尊感情を損なわれ、自己評価が下がり、最後は『どんな条件でも働きます』と採用側にすがりつくようになる。

文科省と経産省が仕掛けている『グローバル人材育成戦略』を読むと、気分が滅入ってきます。グローバル人材というのは、要するに英語ができて、タフなネゴシエーションができて、辞令1本で翌日から海外に赴任できるような人間のことだと言われています。

でも、辞令1本で翌日から海外勤務ができる人間って、要するに『その人がいなくなると困る』という人が周りにひとりもいない人間のことですよね。その人を頼りにしている家族も友人もいない、地域社会でも誰からも当てにされていない。I cannot live without you と言ってくれる人がひとりもいない人間になるために努力をしろというのが『グローバル人材育成戦略』なんです。

――いいえ、子どもには、社会から必要とされる人間になれと言ってきました

そうでしょう。それが親として当然のことです。

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