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中国に「反日教育」は存在しない(反日デモも言うほど怖くなかった)?

 『日経ビジネスオンライン』に掲載されていた「『反日教育? う~ん、受けた覚えがないんですが…』日中の若者ディスカッション(後編)」が大変興味深かったので、今日はこれについて少し。

 形の上では、中国留学中の日本人男子、日本に留学経験のある中国人男子、日本のことはあまり詳しくないが一度旅行に行ったことのなる中国人女子の3名(皆知識階級の様です)の鼎談という形になっております。

 「後編」となっているように、「前編」もあるのですが、正直あまり個人的にはあまり面白く感じられなかったので、「後編」のみの紹介とさせていただきます。

1 中国人とウチとソト

 最初に日本人と中国人の家族観が紹介されているのが、これが対象的で大変興味深く感じられました。一言で言えば、家族なら「どんな苦しいことも分かち合うのが当然だ」と思っている中国人と「親に対しても一線引いている部分がある」日本人という比較です。

 これは、本当に中国で生活すると感じますが、中国人ではコネ(関係)があるかないかによって全く異なった取り扱いを受けます(開店祝いとコネ)。それが悪い方にいけば賄賂(腐敗)ということになるのですが、良い方にいけば相互扶助ということになります。

 概して言うとウチとソトという区別を明確につけ、ソトの者に対しては冷たいが(人助けも難しい中国の現状人助けも難しい中国の現状2)、ウチの者に対しては暖かく、いろいろ面倒を見るという傾向があるように思えます。その最たるものが家族なので、当然家族は大事にするし、皆で助けあっていくということになります。

2 「反日教育」は存在するか?

 標題にあるように「反日教育」について言及している部分があります。そこの部分の発言を下に引用します。

中国人Bくん:そういうもの、存在しないですよ。「愛国主義教育」というのはありますが、「反日教育」という名前の教育はないです。学校でも授業の中に「愛国主義教育」という科目があるわけじゃありません。・・・

中国人Cさん:強いていえば、「政治」とか「歴史」の授業の中にちょっと含まれているという感じでしょうか。

中国人Bくん:北京と上海でも違うし、同じ地域でも学校によって、指導する先生によって少しずつ違うので、一概に僕たちがいうことがすべてだというふうに受け取らないで欲しいんですが、たとえば、それぞれの地域に政府が定めた「愛国主義教育基地」というのがあって、そこを見学に行ったりはします。・・・「愛国教育」はあるけど、日本嫌いを植え付けられた覚えはない

 ここで良心的だと思ったのが、自分たちのうけた教育について注をつけていることです。これは物事を考えるにあたって極めて大事なことですが、どうしても人は自分の見たもの、経験したことを普遍化しがちです。

 しかし、自分が見たものが特殊な事例である可能性もあり、そうした考え方ができるようになるには訓練が必要かと思っております。

 どうも話が逸れてしまいましたが、多分彼らの言っていることは嘘ではなく、正直に自分の思ったことを述べていると思います。

 では、何故中国にあれだけの反日感情があるかというと、元記事の中でも触れられている、「毎日どこかのチャンネルで必ず」放送されている「抗日戦争ドラマ」だったり、ここで普段からよく紹介している『環球網』のような記事が大きな影響を与えていると思います(中国紙『環球時報』は日本に対して批判的か?)。

 確かに、日本でもそうですが知識階級ほど、差別を唾棄すべきものと考える傾向があるように、中国でも知識階級ではこうした政府のプロパガンダを全く信用しておりません。そうした方々から見れば確かに「反日教育」などというものは存在しないでしょう。

 しかし、「教育」という面をより広く解して、社会教育を含めて考えれば、私は中国は間違いなく「反日教育」を行っていると考えます。

 対象が広い時、極めてやっかいな問題がこれで、全ての事象を見るわけにいかないので、一部分だけを切り離して観察した場合にそれがどれだけ全体を代表しているかという問題が存在します。

3 反日デモの最中でも安全だった?

 どちらかというと元記事はかなり中国に対し、融和的な態度をとっており(中国人、中国に留学中の日本人に話をさせればそうなる傾向がでるのは当然かと思いますが)、反日デモの最中でも言うほど危険ではなかっとしております。

 確かに元記事にあるとおり、反日デモのさなかでも平和そのもので、日本人がいても安全だったところは存在するかと思います。しかし、それをして中国全土が安全だったかというとそうではないわけですし、逆に中国全土が危険だったわけでもありません。

 基本的に元記事では、メディアなどで極端なイメージが形成され、それが反日、反中意識を形成しているような書き方になっています。確かに実態を知らない人がイメージのままにどういう言うのは如何なものかと思います。

 しかし、先に見たように中国人だから中国のことを全て知っているわけではありませんし、彼らの様な知識階級は反日デモに参加するはずもなく、彼らがいたところが中国の全てでもありません。

4 最後に

 これは自戒を含めての言ですが、中国は常に私の予想の斜め上を行く行動をとる国で、予想をしても情けない話ですが、本当によくはずします。それに、変化も激しく、以前はこうだったということが通用しないことも結構あります。

 それに何より、階級差、地域差が激しく、自分が見たこと、つきあったことがある人がどれだけ中国という国を代表しているかとなると本当に難しい問題を孕んでおり、そういう意味からも私は簡単に「中国を知っている」、「中国を分かっている」という人は信用しないことにしております。

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