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好きなことを仕事にするよりも、得意なことを仕事にしなさい

今年も就職活動シーズンが始まった。
毎年、学生向けの一つだけ就活アドバイスをするとしたら何を言うかと考えるのだが、 一つだけというならば、これを言うことにしている。

「好きなことを仕事にするよりも、得意なことを仕事にしなさい」
と。
これは、通説には矛盾しているとおもう。
多くの人は、好きで好きでたまらないことを仕事にしなさいといっている。
スティーブ・ジョブスも「たまらなく好きなものを見つけなければならない」と言っていた。 それは正しい。

しかし、それはジョブスのような、自分が何がやりたいかを本当に知っていて、それを実現していく馬力のあるごく一部のひとにかぎられると思う。
他の多くの、平凡で、普通のひとは、好きな事を仕事にしないほうがいい。

というのも、凡人にとっては、自分がなにが好きなのかを、自分自身で見つけ出すことは、じつは不可能であるからだ。多くのひとは、従業員として、自分で仕事をつくりだすのではなく、ごく少数のジョブスみたいなひとが考えた仕事に従事することになる。
就職活動でやるような自己分析も無意味だ。自己分析では、自分がやりたい事を探そうとする。 いろいろ分析した結果、 「わたしは、人の笑顔をみるのが好きなんだ。だからサービス業に付こう。人の笑顔がみたいから、ワタミに就職」 ⇒ブラック
とかになっちゃう。ユニクロでも同様。

究極の「やりたことを探す」を見つけろという。
これは危険な発想だ。

人の興味というのは、時代によって変わってしまう。 人の興味の移り変わりにくらべて、仕事のスパンははるかに長い。 流行り廃りは2,3年なのに、仕事は20年も30年も続く。 学生時代に流行っていた仕事が、いまやかっこ悪いとしか思えないことだってある。
それに、人の興味というのは、自分の成長によってかなり変わる。 ライフステージや、収入や、結婚や家族などによっても、そうとう変わってくる。 学生時代に憧れた仕事、独身時代に興味があった仕事、結婚してから興味がある仕事、すべてがまるで違うひともいるはずだ。

興味とは移りゆくもの。

ジョブスだって、コンピュータに、アニメ、iPhoneいろんなものに目が移った。 もちろんジョブスは天才だったから、自分の興味がかわれば、会社も作りなおして、そのつど成功させていったわけだが。凡人にこれができるとはおもえない。
普通のひとは、自分の立場はなかなか変えることができない。興味がなくなってしまった仕事を何十年もずっとこなさないといけないこともある。
就職活動で、やりたい仕事につきなさいというアドバイスは害が大きいと思う。 3年後に、やりたいことと違ったといって、やる気を無くしてしまう学生がふえることになる。
一方で、「自分が向いていること」はそれほど変わらないものだ。 性格や行動様式というのは、20歳を超えても大きくかわらない。 実際一番、変えたくても変えられないのが性格や、行動様式、考え方の癖だ。
10代のころと興味は変わるのが普通だけれども、得意なことや不得意なことはさほどかわらないはずだ。 「向き不向き」や「何が得意で何が苦手か」は、将来にわたってそれほどぶれることがない。 もちろん、不得手なことも、努力してを多少克服することはあるかもしれないが、それがが抜群に得意になることはないだろうし、得意だったことが突然、180度かわったりすることもないだろう。
得意な仕事がわからないって?そんなに厳密に難しく考える必要はない。 心に手をおいて、これは僕がやっていて苦しいか、そうでないかを問えば、自ずと答えはあきらかだろう。
だから、「やりたい事」よりも「自分が得意なこと、向いていること」を知るというほうが、よっぽど人生の役に立つ。
得意なことを仕事にしたほうが、自分が相対的に活躍できることになる。 結果として、より出世し、より多くのサラリーを得て、より多くのことができるようになり、その仕事を通して多くの幸せを得られる。
最後に、起業の天才、シリコングラフィックスとネットスケープという2つの伝説の会社を創業した、ジム・クラークの言葉で締めくくろう。
「私に対する最高の評価のひとつは、『ジムは自分の得意でないことを知るのが上手だ』というキップ・ヒックマンの言葉である。もしそれが本当なら、自分の特質の中でこれほど我が身のためになるものはない」(ジム・クラーク)


起業家ジム・クラーク起業家ジム・クラーク
著者:ジム クラーク
販売元:日経BP社


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