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想像だが、曽我ひとみさんは、そのようなことを言うように求められたのだろう

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過日NHKのニュースで、北朝鮮による拉致被害者曽我ひとみさんが、とある集会でおこなった発言の報道に接し、私は「おや」と思いました。このブログの読者の方なら皆さんご存知であろうことを確認しますと、彼女といっしょに拉致された母親の曽我ミヨシさんがいまして、お母さんは現在にいたるまでその消息がわかっていません。北朝鮮は、彼女の入国について、確認していないという返答をしています。

人間としてあんまりこういうことを書くのは気がすすみませんが、曽我ミヨシさんがご存命である可能性は皆無だと私は思います。どこをどう考えても、彼女が生きている可能性が万が一にもあることは期待できません。彼女が行方不明になってから彼女の消息を語るものは誰もいません。今後もいないと思います。

で、彼女の発言について報じられた記事をご紹介しましょう。引用はこちら

>曽我さん、北主張の「請負業者」否定
産経新聞 10月24日(水)7時55分配

 拉致被害者の曽我ひとみさん(53)が23日、東京都文京区で開かれた集会に出席し、曽我さんと母のミヨシさん=拉致当時(46)=拉致に北朝鮮が関わったと説明している「現地請負業者」の関与を否定した。

 北朝鮮は工作員が現地請負業者(日本人)に拉致を依頼し、引き渡しを受けたとし、引き渡されたのはひとみさん1人で、ミヨシさんについては「未入国」と主張している。

 拉致当時の状況について、曽我さんは「後ろから3人の男が駆け寄って来て、植え込みの中に私と母親を引きずり込んだ」と説明。その後、北朝鮮到着まで実行犯と一緒に過ごし、誰かに引き渡されることはなかったという。

 曽我さんは「北朝鮮にいる拉致をした人が(ミヨシさんの行方を)知っているはず。説明を聞きたい」と母の早期救出を訴えた。
もうひとつ

><北朝鮮拉致>曽我ひとみさん訴え「母のこと気がかり」
毎日新聞 10月23日(火)21時33分配信

「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会」(救う会)は23日、東京都文京区で「曽我ミヨシさんを救うぞ!東京連続集会」を開き、母ミヨシさんと共に拉致された曽我ひとみさん(53)ら拉致被害者家族会のメンバーが出席した。家族会からは、田中慶秋(けいしゅう)衆院議員(74)の法相兼拉致問題担当相辞任に関連し、次々に不満の声が上がった。

家族会は集会に先立ち、超党派の拉致議連と面会。飯塚繁雄代表(74)は「拉致問題担当相が何回も交代している状況だ。大臣が代わっても問題は消えない」と指摘。また被害者家族の横田滋(しげる)さん(79)も「日朝間の協議が本格化する前の辞任は残念。後任の方には解決のため尽力してほしい」と注文した。

 集会には約100人が参加。ミヨシさん(行方不明時46歳)は北朝鮮側が入国自体を認めておらず、消息不明のまま。曽我さんは78年8月にミヨシさんと共に拉致された時の様子や北朝鮮での厳しい生活状況を語り、「私が日本に帰って10年になるが、母のことがいつも気がかり。今日の集会で明るい光が見えてくればと願っています」と訴えた。【中川聡子】
2つの記事を読み比べると、記事の力点がぜんぜん違うのも興味深いところですが(産経新聞が見出しに「北朝鮮」と表記せず「北」としているのも、これもいつもです)、ついでなので、こちらの記事もご紹介しましょう。
>北朝鮮拉致:曽我ひとみさんが手記発表 母への思いつづる
毎日新聞 2012年09月20日 19時07分(最終更新 09月21日 12時50分)

 北朝鮮による拉致被害者で02年10月に帰国した新潟県佐渡市の曽我ひとみさん(53)が「時の流れ??10年を振り返って」と題した手記を20日発表した。「自分だけが日本に帰ってきたことへの後ろめたさ、申し訳なさで頭の中が一杯になる」と述べ、一緒に拉致されて今も消息不明の母ミヨシさん(行方不明時46歳)ら帰国を果たせずにいる拉致被害者への思いをつづった。

 手記によると、今年5月の自身の誕生日に数年ぶりでミヨシさんの夢を見たといい、元気な姿だったのでホッとしたという。拉致されていた24年間を「絶対、生きて日本に帰る。絶対、諦めない」と思い続けたと振り返り、北朝鮮に残る拉致被害者に向けて「信じて待っていれば、必ずあなた方を助けに行く人がいるはず。だから、もう少し耐えてください」と呼びかけた。【川畑さおり】

私が「おや」と思ったのは、曽我さんが語ったという次の発言です。

>拉致に北朝鮮が関わったと説明している「現地請負業者」の関与を否定した。 
 北朝鮮は工作員が現地請負業者(日本人)に拉致を依頼し、引き渡しを受けたとし、引き渡されたのはひとみさん1人で、ミヨシさんについては「未入国」と主張している。

 拉致当時の状況について、曽我さんは「後ろから3人の男が駆け寄って来て、植え込みの中に私と母親を引きずり込んだ」と説明。その後、北朝鮮到着まで実行犯と一緒に過ごし、誰かに引き渡されることはなかったという。
これって、本質的な問題じゃないんじゃないの?

あえていってしまえば、北朝鮮のそれなりの上のポジションにいる人物(組織)の指示で、工作員だか請負業者だかがお2人を拉致したわけで、それが日本人か北朝鮮の人だかというのは、正直どっちだってそんなに拉致問題解決とは関係ないと思います。北朝鮮の上層部の関与が明らかであり、また北朝鮮側もそれを認めているわけですからね。北朝鮮側の責任を追及したり非難をするにはそれで十分でしょう。

だいたい
>北朝鮮にいる拉致をした人が(ミヨシさんの行方を)知っているはず。説明を聞きたい
って言ったって、そもそもその人たちが現在北朝鮮にいるかは不明だし(すでに死亡している可能性もあり)、日本人の請負業者なら時効が成立している可能性が濃厚、北朝鮮の工作員でも、日本と朝鮮民主主義人民共和国の間に犯罪人引渡し条約が結ばれていない(国交さえも結ばれていない)のだから、犯人引渡しはされないでしょう。あるいは国交成立の際に人身提供されるかもしれませんが、ほとんどまったく期待はできません。だいたい万一日本に引き渡されたととで、犯人たちは完全否認するか、本国政府に都合のいいことしか話してくれないでしょう。そうでもなければ完全黙秘です。
>手記によると、今年5月の自身の誕生日に数年ぶりでミヨシさんの夢を見たといい、元気な姿だったのでホッとしたという。

曽我さんが手記でこのようなことを書くことを「悪い」と言うつもりはありませんが、でも新聞記事でこういうことを書くのはやめようよ。この間記事にした名古屋闇サイト殺人事件における遺品の時計の話と同じで、高度の個人的な思い入れの話は新聞で報道することではありません。そんな夢を見たところで、解決に何の足しにもなりません。

そもそも曽我さんの話す
>「現地請負業者」の関与を否定
って、せいぜい
>その後、北朝鮮到着まで実行犯と一緒に過ごし、誰かに引き渡されることはなかったという。
程度の話で、これだけではなんともいえません。もしかしたら北朝鮮当局との契約は、拉致対象者を北朝鮮まで送り届けるところまでだったのかもしれませんし。

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