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中国作家、莫言氏のノーベル文学賞受賞をめぐり、スウェーデン・メディアが大紛糾 「1千億円で文学賞売り渡した」

スウェーデン・アカデミーが2012年のノーベル文学賞を中国の農民作家、莫言(モオ・イエン)氏(57)に授与すると発表したことをめぐり、スウェーデン在住41年の飯塚宜生(のりお)さん(70)からとんでもないニュースが飛び込んできた。

「スウェーデンが中国から90億クローナ(約1088億円)の投資を受ける見返りにスウェーデン・アカデミーが文学賞の魂を売り渡したのではないか」と、主要紙ダーゲンス・ニュヘテルをはじめスウェーデン・メディアが大騒ぎしているというのだ。

スウェーデン・メディアが報じた疑惑の数々を列挙してみる。

【疑惑その1】日本の村上春樹氏ではなく、莫言氏を強く推したとみられるスウェーデン・アカデミーの中国文学担当ヨーラン・マルムクヴィスト氏は「おそらく一部の人々から彼がどうして受賞したのかという疑問の声が上がるだろう。しかし、彼の作品を読めば、その後、喝采に変わるだろう」と授賞発表後に話していたが、莫言氏の数作品を自らスウェーデン語に翻訳して選考委員に配布した上で、出版社から出版する予定だった。

莫言氏がノーベル文学賞を受賞すれば、翻訳作品がヒットするのは確実で、マルムクヴィスト氏には高額の翻訳料が転がり込む疑いが浮上した。マルムクヴィスト氏はあわてて、「出版社から翻訳料は受け取らない。ボランティアで翻訳した」と釈明に追われた。

【疑惑その2】授賞発表当日の10月11日、中国中央テレビ局(CCTV)のクルーが会見場に来ており、誰が招待したのかといぶかる声が広がった。莫言氏の下馬評が高かったとはいえ、CCTVがノーベル文学賞の取材に来るのは初めてだった。スウェーデン・アカデミーは懸命に招待疑惑を否定した。

【疑惑その3】授賞発表当日の朝刊で、スウェーデン・アカデミーのホーラス・エングダール前事務局長の妻がダーゲンス・ニュヘテル紙に対して「文学賞の受賞者を知っているが、公開できない」とコメント。発表まで門外不出とされる文学賞受賞者名が家族とはいえスウェーデン・アカデミーの選考委員以外に漏れていたことで、「文学賞の権威も地に墜ちた」との批判が渦巻いた。

【疑惑その4】これが最大の疑惑だ。2010年、ノルウェー・ノーベル賞委員会がノーベル平和賞を中国の民主活動家、劉暁波氏に授与したため、ノルウェーの元首相が中国から入国を拒否されるなど、両国関係は完全に凍結している。これに対し、中国の温家宝首相は今年4月、スウェーデンを訪れ、環境問題の研究・産業育成に使ってもらいたいと90億クローナを投資すると発表。中国の首相がスウェーデンを訪れるのは約30年ぶりだった。

スウェーデン側は当初、あまりに高額なので欧州連合(EU)全体で90億クローナと思ったらしいが、スウェーデン一国で90億クローナと聞いて、ビックリ仰天。しかも返済しなければならない「融資」ではなく「投資」で、環境問題なら何に使ってもいいという気前の良さだった。

このため、「スウェーデンは90億クローナでノーベル文学賞の尊厳を中国に売り渡したのではないか」という論調が高まっているという。

一方、10月14日、ドイツ・ブックトレード平和賞を受賞した中国の詩人、廖亦武(リャオ・イウ)氏は「子供たちを虐殺しているこの帝国(中国)は崩壊しなければならない。崩壊へのカウントダウンは始まった」とスピーチして、スウェーデン・メディアの喝さいを浴びた。廖氏は1989年の天安門事件を批判する長詩『大虐殺』を発表して投獄されたことがあり、昨年、ドイツに逃れて、ベルリンで暮らしている。

アンゲラ・メルケル独首相と中国の蜜月ぶりが欧米の懸念を招いているが、ドイツ文学界は政治・外交と一線を引いて見せた。

ノーベル文学賞の選考過程は50年経たないと公表されない。莫言氏の作品には体制への鋭い批判が込められているとの評価もあるだけに、数々の疑惑は「理想主義」と「人道主義」を長年、旗印にしてきたノーベル文学賞の権威に大きなシミを残したのは間違いない。(了)

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