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【赤木智弘の眼光紙背】「橋下様への賛同は義務です」

赤木智弘の眼光紙背:第241回

 つい最近まで長きに渡り政権を担いながら、長期的な視野を持たずに長引く不興の中で日本をボロボロにした自民党政権。そしてそれに変わり改革を期待されながら、結局は官僚べったりな保守的立場に落ち着いてしまった裏切りの民主党政権。そうした過去の政権に飽き飽きしている人が、次なる夢をつないでいるのが、橋下徹率いる日本維新の会政権だろうか。

 しかし、維新の会も、内情は決して盤石ではないようだ。維新の会国会議員団の松浪健太議員が「第3回公開討論会~橋下独裁にはしない~」と題したブログが問題とされた。(*1)  このブログに対して橋下徹は「色々と考えてもらわなきゃいけないところがある」と不快感をあらわにし、「議員団の大きな方針や戦略で有権者がついてくるのであれば、維新の会に所属しなくてもいい」「大きな方針や戦略については、議員団より僕のほうが長けている」との旨を述べている。(*2)

 こうしたいざこざをみて、私が不思議だと思うのは、維新の会に参加する国会や地方の議員さんというのは、一体なにを考えて参加したのだろうかということである。  維新人気で票集めをしたいと考えるなら、それはそれでいいだろう。私としてはそんな議員に票を投じたくはないし当選しても欲しくないのだが、民主主義である以上、票狙いの出馬や、そうした見え見えの媚を売る議員に票を入れる行為そのものを否定できないのだから仕方ない。

 しかし、そうではなく、橋下徹の考え方や手法に賛同して参加したというのであれば、橋下の独裁にも賛同して参加したはずではないのだろうか?

 そもそも、維新の会のやり方に賛同する人たちというのは、橋下が「生活保護を現物支給に」とか「人形劇なのに(人形遣いの)顔が見えるのは腑に落ちない」とか「国歌を歌うときは手は横」などという、思慮が浅いどころか思慮という言葉自体が存在しないかのような思いつき発言の数々に対して、「はいはい!そのとおり!橋下様は素晴らしい!」と賛同している人たちである。彼らの望んでいるのはまさに橋下の独裁だ。そして国会議員団はそうした橋下の姿に憧れて、参加したはずである。

  ならば彼らは橋下の権力を支えるためにのみ行動するべきだし、単に「日本維新の会の議員の数」として扱われることを喜びに感じるべきである。異論を挟むのは橋下様への反逆である。

 維新の会では橋下様の機嫌を損ねては、生き残ることはできない。実際、大日本帝国憲法の復活を求める請願に対して賛成をしてしまい、橋下様の不興をかった東京維新の会は、橋下様からすぐさま三行半を叩きつけられた。東京維新の会は「今後は橋下様の御指示に従います」と、深く反省をしているようだ。(*3)

 日本維新の会に期待されるのは、よくも悪くも橋下の独裁である。しかし、そうした橋下流が許されるのは、当の橋下本人だけであり、橋下を支える屋台骨に過ぎない維新の会に所属しているだけの人たちが、橋下に対して何かを主張すれば、その勘違いを支持者たちから批判されるのは当たり前である。

 そうしたことを読めない国会議員が橋下にバカにされるのは当然だし、またそれは同時に有権者の、すなわち独裁橋下の姿に熱狂する維新の会支持者たちの姿が見えていないということである。あれほど分かりやすい態度が見えないのだから、日本維新の会に所属する以前から、自分に票を入れてくれた人たちの姿など見えて無かったのであろう。  そうしたダメな人たちにとっては、当然橋下はとんでもなく頭のキレる天才に見えるのだろう。そう考えると、彼らには日本維新の会が、お似合いだと言えるだろう。まぁ、頑張ってください。

*1:第3回公開討論会~橋下独裁にはしない~(松浪健太オフィシャルブログ「道州制バカ一代」)
*2:維新の会松浪議員が「橋下独裁にはしない」 代表に一喝され、すぐに火消しに走る(J-CASTニュース)
*3:維新、東京維新との連携停止(読売新聞)

赤木智弘赤木智弘(あかぎ・ともひろ)
1975年生まれ。自身のウェブサイト「深夜のシマネコ」や週刊誌等で、フリーター・ニート政策を始めとする社会問題に関して積極的な発言を行っている。著書に「若者を見殺しにする国 (朝日文庫)」など。

@T_akagi - Twitter

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