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iPS細胞は、行政改革のいい試金石に

長い経済の停滞が日本の存在感を弱め、また原発事故や、竹島や尖閣問題などの領土問題、沖縄の基地問題などが重なると、国内がどうしても内向きで暗く、また重い空気に包まれてきます。そんななかで山中教授のノーベル賞受賞は、再び人びとの意識を将来に向ける明るさを取り戻すきっかけとなる快挙となりました。しかも山中教授が、いったんは整形外科医としては挫折し、基礎研究に移って大成功したことに勇気づけられた人も多いと思います。

さて、この受賞によって、日本の国家戦略としてもいい課題ができたと思います。いかにこのiPS細胞の基礎技術を、実用化するのか、また産業化し、日本の成長戦略として成功させるのかという課題です。

各紙の社説も山中教授のノーベル賞受賞を称えていますが、今後については、倫理問題などを取り上げ、今ひとつピントが外れているように感じます。それを考えるのは、実用化への目処がつく、もっと先のことです。今から考えてもしかたないことだと思えます。

それよりは、この発明を再生医療へとつなげていくためには、もちろんさらなる研究開発が求められることはいうまでもないことですが、実用化、産業化については、かなり発想を変えた国家プロジェクトが求められてきます。問題は、管轄省庁がまたがってくることです。研究開発は文部科学省、許認可などの実用化については厚生労働省、また知財戦略を含めた産業化については経済産業省となります。その連携をどうはかるかです。ネットには上げられていませんが、その点について、読売新聞の知野恵子編集委員がいいコラム記事を書いています。さらに民間企業の参画も求められてきます。

日本の場合は、「官僚組織」が「国家戦略」に従うのではなく、「官僚組織」がそれぞれの省庁の思惑で「国家戦略」をつくるために、無駄や非効率が生まれたり、停滞することが目立ちますが、抽象的に「政治主導」を唱えてもなかなか改革は進みません。

そういった弊害が重なって潜在的な技術があっても、実用化が遅れてしまうのが日本で、先端医療の医薬品にしても医療機器にしても、日本では海外からの輸入に頼らざるを得ない現状を変えなければ、今後の成長分野をものにしていくことはできません。

しかし、iPS細胞の場合は具体性があり、また国民の関心も深いために、改革を進めるうえで、いい試金石になってきます。実用化や産業化に向けての制度の充実や改革が進めば、他の医療分野にもいい影響が期待できます。政権が変わろうと、継続する国家プロジェクトとして、進展していくことを期待したいものです。

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