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自分にとっての「国」とは何か~最前線から考える領土問題~

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それぞれの領土問題

司会・編集長大谷(以下、大谷):わが国の領土問題ですが、北方領土、竹島、尖閣諸島とそれぞれ相手国も違いますし、実際今置かれている状況も違っております。まずは竹島についてお話ししていきましょう。

山本皓一氏(以下、山本):最近も韓国の大統領が、突如竹島に上陸いたしました。竹島は、尖閣諸島と同じように日本が敗戦になる直前まで、沖の漁師が実際に漁業活動をやっていました。

竹島の状況ですが、私は2006年に最初に行きまして、計4回行ってます。一番最近では、昨年、自民党の代議士3人が強制退去を喰らいましたね。あの3日後に竹島に入ったんです。2006年と一番大きく違った点は何かといいますと、よく見える場所に砲台が設置してありました。200人乗りの観光船で向かったのですが、これがなんと、日本製の中古の観光船だったんですね。それに韓国人が乗って、竹島観光する。まあ、ブラックジョークを感じましたね。

観光地化する竹島(撮影:山本皓一)
観光地化する竹島(撮影:山本皓一) 写真一覧
それから2006年当時は安保観光といいましてですね、国民に安全保障を教育するために政府とか、軍が協力してそういうためのツアーを催したんです。その一行でした。だから、軍のOBだとか、言葉は古いんですけど、愛国婦人会みたいなおばちゃん連中がきていたんですね。ヘリポートも1つありました。ところが昨年行って驚いたのが、その要塞化した島がですね、なんか、伊豆かどこかのリゾート地みたいに変貌を遂げていたんですね。「えー!」っとびっくりしました。

それで丘の上の方を見ますと、ヘリポートがですね、頑丈に作りなおされていました。前は小さなヘリコプターが食料輸送で1機着陸できるくらいだったのが、舗装されて、40人乗りの大型輸送ヘリが、24時間離着陸できるようになっていました。それの予算を計上する韓国の国会での、補修費用をするための理由がこういうことでした。もし、他国と偶発的軍事衝突になれば、速やかに防御のための兵隊を送り込むことができるヘリポートを作る。そういう名目で予算が図られまして、承認されたわけです。

竹島は不法占拠により大型ヘリポートも備えられている。(撮影:山本皓一)
竹島は不法占拠により大型ヘリポートも備えられている。(撮影:山本皓一) 写真一覧
領土を主張するためには、島民が経済的な活動を継続しているということが1つの理由になりますので、そのために老夫婦2人をわざわざ釜山から連れてきてですね、竹島に住まわせています。ところが私が行ったのは去年の8月5日なんですが、ちょうどこの日、ここに40人が住めるアパートの落成式をやっておりました。40人、人口を増やして、実質的に島民を作ろうとしているのですね。

これはどういうことか。2006年では、完全武装の兵隊が竹島をのっとって、いわゆるハードな実効支配をやっていたんですね。ところが、自信を持ってきたんでしょう。今度はもうリゾート地だよというふうに演出をし始めたわけですね。それでこれは多分裁判のあれでしょう。通りに名前もつけて、町名が書いた看板が出てました。ソーラーパネルも3機添えられて、島の自家発電ができるようになってました。飲料水はもちろん、塩水を分離して真水にするという装置を持ってきています。着々と人が住んで、経済的に活動している島という風に、今度は平和的にソフトな実効支配に切り替わってきたわけです。

これは韓国は相当自信を持ってきたんですね。これまでは国内的にはプロパガンダばかりでやってきたんですが、御存知のようにニューヨーク、ロサンゼルスなんかの高速道路の横に大きな看板を立てたり、オリンピックで独島我が領土と掲げたり、国際的にプロパガンダの波が広がってきているということです。

大谷:他に北方領土の資料もあるということなんですけど、やまもといちろうさん、北方領土はまた事情が違いますよね?

やまもといちろう(以下、やまもと):ちょっと微妙なお話もあるんですけど、北方領土の問題は別の経緯があるのかなというのがありまして、元はといえば当時のソ連がですね、終戦したにも関わらず9月5日まで侵攻、占領をやめなかったというのが発端です。今回APECがウラジオストックで行われてですね、領土問題については日露両国間に対する発展的な外交交渉及び、経済協力のもとで解決していくという基本姿勢を野田政権と、メドベージェフ首相の間で交わされたということで、ちょっと前進する気配は見せつつあるんですけど。

ただまあ、その前の日露会議ではサハリン州の知事などもいらしてですね、この問題については、島の経済が定着している以上は、日本とロシアの両国政府の問題だけではなくて、実際にその島民も含めて、現地の人たちも交えたような話をしていかなきゃいけないという、立体的解決という言い方をロシアはするんですけど。

そういった形でもう、まさに山本皓一さんがおっしゃったように、もう住んでいるので、その住んでいる人たちを交えた経済問題も含めて話し合わなきゃいけないということなので、既成事実化が進んでしまうとなかなか外交だけでは返還交渉が進まないのも事実です。

北方領土には住民の暮らしが定着している(撮影:山本皓一)
北方領土には住民の暮らしが定着している(撮影:山本皓一) 写真一覧
なので、同じような方法で、竹島を法律面や民間も巻き込んだソフトウェアを含めてやっていこうというのが見えてしまっています。日本としてもこれ以上黙っているわけにはいかないのですが、対馬の問題も出てくるということが見えているので、このあたりも踏まえて、一層の譲歩を求められないよう、韓国に対しては強く言っていかなければいけないのかなと。また尖閣に関しては、日中中間線のダシに使われてしまったので、これあの、経緯は、外務省の肩を持つわけではないんですけど、当時中国が96年に新たに領海法制定をしましたといったタイミングで、日本の政府からクレームを入れるのを相当検討した経緯がありまして。

ただそこに関しては、日本が実効支配を持っていると。プラス、当時の日中の経済力といいますか、国力の差が大きいので、大きな経済問題に発展することはないだろうと、言うだけ言わしておけみたいなところがあったんですね。最後、そういうことに対して中国がクレームを入れられた際に、内政干渉だと言って怒る可能性が強いんではないかということで、領土紛争は存在しないという立場もあって、正式なクレームに関しては事実上きちんと中国側が受け取っていないという形になっている。いまとなっては、これはもう失敗だったと。それが結果的には沖縄トラフの主張を中国側の言い分を日本が半ば認めてしまうような形になってしまったりとか。あとその日本が本来主張できる200海里の問題に関しても、途中のところまでしか主張できてない問題もあります。そういうのが問題になりますので、なかなか尖閣諸島の問題については、結果論ではありますが当時の外務省の情勢判断ミスも非常に大きかったのかなと感じています。

大谷:外務省のお話ですとか、それから政府の判断のお話なんかもあったんですけれども、まあその霞が関、あるいは、永田町的な観点と、実際に最前線で海上保安官として現地で働いていて、その意識の違いみたいなところは、一色さんいかがですか。情報共有みたいなところの差はありますでしょうか。

一色正春氏(以下、一色):おそらく現場、今こうやってる間にも何隻か尖閣のほうにいます、沖ノ鳥島にもいます。でも、そういう人間は意外と領土領海というよりも、与えられた任務をやるという、それが一番。というかそれだけ。余計なことは考えない。だから、まあ、言ってみれば歯車の一つと言ったらいい方は悪いですけど、先般の8月15日もとりあえず上陸させてやってくれと日本政府から言われたからそのとおり上陸させてやった。まあそこに反抗しても仕方がないし、まあとりあえず言われたことをやるしかないんじゃないかという気持ちでやっていると思います。

やまもと:結構、「上陸させてやってくれ」っていうのは問題だと思うんですけど、(島に)あげちゃったんですよね。中国の活動家からすると、戦果であると。まあやってよかったねという話になってしまいました。で、義援金が集まっている状態は置くとしても、ちょっとまったとして、ようはそのエスカレートする材料をむしろ日本側が与えてしまったみたいなところがありまして、反省というか、これはやっぱり、エスカレートさせるような形での活動を認めるようなアプローチは望ましくなかったのです。プラス、日本の外交姿勢は実効支配がある前提なんですよね。実効支配が事実上、言っているだけの部分があるので、失われる可能性が近い将来高いというような話になってくると、じゃあどうやって実効支配をしているんだ、と国際社会に認めてもらえるのかっていうところはかなり計画的に対中だけでなく各国に対する説明をしっかりとやっていかないとなっていう。ちょっと今の民主党政権の中ではそういう話がまだはっきりとは出てこないようですね。



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