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再び注目されるブロガーキャンペーン、背景と成功の秘訣


FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを使ったキャンペーンが引き続き注目を集めている一方で、ブロガーキャンペーンも再び注目を集め始めているようだ。

ブロガーキャンペーンとは、ブロガーをイベントに招待してイベントレポートを書いてもらったり、商品を配ってレビューや利用体験記を書いてもらうようなマーケティング施策全般のことを指す。ブロガーは著名ブロガーの場合もあれば、一般のユーザーであることもある。

今回は、ブロガーキャンペーンが再び注目されている背景を整理し、ブロガーキャンペーンを成功させるために考慮しなければいけないポイントである「デジタルインフルエンス」について考えてみる。

なぜ、今さらブロガーキャンペーンなのか

ブロガーキャンペーンが注目されている背景を考えるに当たっては、2009年ごろより、ブロガーキャンペーンが流行らなくなった理由を振り返ってみたい。

流行らなくなった最も大きな要因は、たくさんの一般のユーザーにブログを書いてもらったところで、想定したようには盛り上がらなかったということがある。

盛り上がらなかった理由は、一般ユーザーにブログに書いてもらったとしても、その人の影響力が少なければ、多くの人に届けることが難しい、あるいは記事に影響された人がいたとしても、その効果を可視化できなかったことにある。露出効果などを考えると「ブロガーキャンペーンにお金をかけるなら、同じ金額でメディアにタイアップ記事を載せたほうがお得」という判断をする企業が増え、結果として下火になった。

しかし、ソーシャルメディアが普及したことで、こうした背景が変わってきている。ブログにプラスしてTwitter、Facebookを始めとしたソーシャルメディアを情報拡散ツールとして組み合わせることで、個人のブログでも多くの人に届けられる可能性が以前よりも広がった。またそれを見た人がソーシャルメディアを使ってシェアすることで、影響が可視化される上、そこからさらに拡散するようにもなった。

例えば、あまりよい事例ではないが、2012年7月末に「妊婦が居酒屋を追い出された」ことについて不満を訴えるブログがソーシャルメディア上で拡散され、店の対応の悪さなどが批判されるという事例があった。

このブロガーは、自分の体験談を拡散させるために新しくブログを立ち上げ、あたかも普通の妊婦の日常をつづったブログかのように見せかけた上で記事を書き、Twitterで影響力のあるユーザーに@をつけてリンクをシェアした。結果、影響力のあるユーザーが記事をRTしたことことから、多くの人の目に触れ、計画通りにソーシャルメディア上でたくさんシェアされることになった。(が、最終的には、情報拡散手法があこぎという批判を受けることになり、ブログは削除された)

この居酒屋妊婦ブログは極端な例であるが、立ち上げたばかりのブログでも、内容によっては、ネット上の話題を集めることができることがわかるだろう。

強烈なインパクトが求められるTwitter

ブログを使わなくても、Twitter上のシェアがそのまま話題になることもある。ただし、この場合は、視覚的なインパクトと140文字以内で伝わる強烈なメッセージの両方、あるいはいずれかが必要だ。

2011年11月にファミリーマートが発売した青い「スライム肉まん」はソーシャルメディア上で大いに話題になり、予定の2倍の100万個を販売したが、即座に完売するということがあった。

ブログで肉まんのことを書いた人も多かったが、やはりTwitterやFacebookで写真をアップしたユーザーが多く、そこからユーザー同士で話題になり、他の人も連鎖的に購買行動に走ることになった。友だち関係を超えて、写真や販売店の情報がシェアされ、購入行動につながったこの事例は、ソーシャルメディアが浸透していなければ起こり得なかっただろう。

スライム肉まんのようにビジュアルで勝負できるような商材であれば、TwitterやFacebookでの自然な話題の発生でも十分に拡がる可能性が高い。

一方で、ブログであれば、Twitterよりも多くの情報量を含めて発信してもらうことができる。新商品のレビューや体験記の場合は、ビジュアルだけでなく、より詳しい感想や意見、評価があったほうが効果的だ。

こうして作成されたブログは、企業の公式アカウントなど、たくさんのフォロワーを持つアカウントがシェアすることで、広い範囲の人に閲覧してもらえる可能性が増える。のちのち、検索においてもTwitterよりもブログのほうが結果にでやすいというメリットもある。

ブロガーキャンペーンの注意事項

ブロガーキャンペーンを行うにあたっては、それがキャンペーンであり、ブロガーに何らかの特別なメリット(イベントへの参加、サンプルの提供、報酬など)が享受されていることがわかるようにすることが求められる。

特に、最近は「ステマ」(広告とわからないようなかたちでの広告やレビューサイトへのやらせ書き込みなど)に対してユーザーが敏感なので、ブロガーキャンペーンの一貫であることは明示しなければならない。

ブロガーキャンペーンを実施する際には、消費者庁が2012年5月に発表した「『インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項』の一部改定について」の内容に遵守する必要がある。

ブロガーキャンペーンを開催するにあたっては、ブロガーに書く内容を指示せずに、批判的な内容があるリスクも考慮した上で、自由に感想や意見を書いてもらい、それを広めていくというポリシーを持つべきだろう。

誰に書いてもらうのか

ブロガーキャンペーンを行うにあたっては、どうやってブロガーを集めるか、見つけるかということが課題になる。

ブロガーキャンペーンサービスを提供している企業には、常時ブロガーを抱えているところもあるので、こうした企業と協力してブロガーを集めることもできる。

あるいは自社Webサイトや広告、ソーシャルメディアを使って、ブロガーキャンペーンを開催していることを告知して、応募者の中から抽選で選ぶという方法もある。

もう一つは、そのブランドを熱烈に応援してくれているユーザーやロイヤルカスタマーに、一種のリワードシステムとして、参加してもらうという方法もいいだろう。

そして特に今回紹介したいのが、デジタルインフルエンスを考慮して、その分野に影響力のある一般ユーザーを探し、その人に協力してもらうという方法だ。

デジタルインフルエンスに注目する

デジタルインフルエンスについては、Altimeterのレポート「The Rise of Digital Influence」が詳しい。このレポートの中で、デジタルインフルエンスは、「結果をもたらし、行動を変え、計測できるオンライン上の効果をもたらす能力」というように紹介されている。

言い換えると、ソーシャルグラフあるいはインタレストグラフの中において影響を持ち、発信した内容がつながっている人の行動や意思決定を変えるような能力であると言うことができる。特定の分野の「権威」とまではいかないが、定期的な情報発信を行い、つながっている人たちの共感を呼んだり、信頼を得ているような人たちだ。

では、そうした人を探すためにはどういう手法があるのかを考えてみたい。一つは、オンライン上の影響力などを計測するサービスだ。

Kloutなどのソーシャルメディア上の影響力指数を参考にする

オンライン上の影響を計測するサービスとしては、いずれも海外のサービスであるが、KloutKredPeerIndexなどがある。今回は、日本でも知名度が高く、2012年8月に大きくリニューアルしたKloutについて簡単に紹介する。

Kloutは任意のユーザーのTwitter、Facebook、Google+、LinkedInなどのソーシャルメディア上の影響度を数値として総合的に計測し、Kloutという独自のスコアを提供してくれるサービスだ。Twitterの公開アカウントを持っているユーザーは全員スコア化されており、調べることができる。TwitterクライアントのHootSuiteには、TwitterのKloutが表示されるようになっている。Twitter以外のソーシャルメディアについては、本人が任意で連携できるようになっている。

アップデートによって、Wikipediaとも連携し、そこで書かれている内容を踏まえて、「現実の影響度」も踏まえて数値を計算するようになった。(これによって、オバマ大統領のKloutが歌手ジャスティン・ビーバーのKloutより上になった)

また、新機能の「Klout Moments」では、過去90日間でもっとも影響力があった投稿を表示してくれる。筆者の場合は表示されなかったので、「ソーシャルカンファレンス 2012」を主催された大元隆志氏の例を見てみたい。

左側のプロフィールの下に表示されている数値がKloutスコア、写真の下のソーシャルメディアアイコンが連携させているソーシャルメディアだ。右側に表示されているのがKlout Momentsで発言の内容で、その発言に反応した人たちのKloutも表示されるようになっている。

Kloutでは自分が興味を持っていることに対してタグがつけられ、左下に表示される。このタグは、ソーシャルメディア上の発言から自動的に付与されるが、自分でつけることもできる。また、他のユーザーがタグについて、「Give +K」することで推薦するようなことができる。これによって、人の推薦によりKloutをアップすることもできるということだ。

今のところ日本語のタグはないが、日本語のツイートだけであっても、ある程度キーワードマッピングされている。例えば、あるユーザーは、飼い猫と手帳、iPhoneの話を頻繁にツイートしているが、そのユーザーには、手帳のブランド名、iPhoneがタグ付けされていた。猫についてはタグ付けされていなかった。

タグを検索キーワードにして、そこに表示されるユーザーのうちKloutの高いユーザーをピックアップしてブロガーとして起用するというような活用が考えられる。また、ユーザーを調べたときに、その人がどんな情報の発信力があるのかもわかる。

なお、Klout Momentsは公開設定を非公開にすることもできるようになっているので、必ずしも全ユーザー調べられるわけではない。

また、自分の数値の詳細についてはダッシュボードから確認することができるが、他のユーザーの数値の根拠の詳細を知ることはできない。

Kloutについては、上げる方法(フォロワーを増やすなど)が知れてしまい、あまり意味が無いように考えられていたが、アルゴリズムが進化したことで、オンライン上の実際の影響度に近くなった部分もある。Kloutは、その人の発言がどれくらい他の人から反応を得られているのかを判別する上で、参考資料となるだろう。

その他にも様々なサービスが

Klout以外にもその人の影響度を測るツールはいくつかある。ブログであるならば、すでに持っているブログの影響度もチェックしておきたい。チェックできるツールを紹介する。

アメーバブログlivedoor Blogなど、ブログサービスは人気ブログをランキングにして見せている。

ブログチャートは、ブログサービスに関わらずブログの話題性、購読者などを数値化してくれるし、TopHatenaのようなはてなブックマークの人気を指標に評価するサービスもある。

そのブログがどれくらいソーシャルメディア上でシェアされているのかについては、各ブログにアクセスして確認してみるとよいだろう。Twitter上でのコメントなどについては、Topsyが便利だ。

ブラウザのブックマークレットである「ソーシャルてんこ盛り」は、自分でシェアするときにも使えるが、そのブログの記事がどれくらいソーシャルメディア上で拡散されているか、どんなコメントがつけられているかを確認することにも便利だ。

まとめ:目的、戦略を明確にすること

さて、今回はブロガーキャンペーンが再び注目されている背景と、デジタルインフルエンスに基づいて協力者を探す方法について、まとめた。

当然のことであるが、ブロガーキャンペーンを実施するにあたっては、キャンペーンの目的を明確にする他、何について書いてもらうのかといったこともあわせて考慮しなければならない。また結果としてどのくらいの効果が得られたのかを測る指標についてもあらかじめ検討し、キャンペーン中も逐次計測しながら、よりよい効果を得るための改善もしていかなければならない。

深谷歩事務所では、コンテンツマーケティング全般についての支援を行っているので、興味のある方はぜひお問合わせください。

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