記事

浅漬けの衛生管理についてなど

北海道で発生していた腸管出血性大腸菌O157の食中毒ですが、原因食品が判明したようです。

腸管出血性大腸菌O157による食中毒の発生について


この件については、すでにサイエンスライターの松永和紀さんが記事を書いておられるので、そちらも読むことをお勧めします。

また起きてしまった! 浅漬けによるO157食中毒

さて、こちらでは浅漬けの製造や管理について資料の紹介を交えて書いてみたいと思います。


こちらのページには漬物も含めた野菜からの食中毒がまとめられています。そこには次のように記されています。

ここ最近、野菜の「漬け物」で食中毒が起こるケースが相次いでいる。伝統的な漬け物については、比較的高い塩濃度と、乳酸発酵によって生じた酸や抗菌物質によって、長い漬け込み期間中に、混入した食中毒菌の死滅が起きると考えられてきた。しかしこのような事件は、どれも「浅漬け」で起こっている。いずれの事件も、製品まで原因が遡ることは可能でも、そこから上流の原料を特定し、汚染原因を解明することには成功していない。よってこれらの事件の原因となった微生物が、製造・調理の現場で混入したものか、それ以前の原料に付着していたものか、明らかにすることは極めて難しい。

記事にあるように生野菜が食べられるようになったのが最近のことです。また、塩分濃度の低い浅漬けも近年産まれたといえます。浅漬けは生でも食べられる野菜が流通することによって誕生した新しい食べ方と言えるでしょう。

漬物を衛生的に管理するために、衛生規範というものが作られています。衛生規範は漬物や弁当、生めん類などに設定されています。食品衛生法による細菌規格と違い、指導基準となっています。これは、規格・基準を設定し厳密に管理することは困難であると共に一定の規制を課すことで管理レベルを向上させる必要がある食品群であることを意味していると言えるでしょう。

参考 衛生規範:弁当・惣菜、漬物、生洋菓子、生めん類 SUNATEC様のHPより


食品を安全に製造するためにHACCPという考え方があります。食品産業センターではいくつかの食品群についてHACCP導入のためのマニュアルを用意しています。そのなかに、浅漬け類のマニュアルもあります。


HACCP手法を取り入れた浅漬及びキムチの製造・管理マニュアル

そこには浅漬けのおおまかな工程図も示されています。


f:id:ohira-y:20120815215025j:image


まだ汚染経路が判明していないので憶測などは控えたいのですが、あくまで一般論として今回の事例で気になるところをあげてみます。

仮に原料野菜に菌が付着していたとするならば、洗浄・殺菌工程で菌を除くことと、温度管理が重要だと思います。夏場は原料野菜の菌数が高く、品温も高い傾向があります。ですから、洗浄・殺菌でも菌数が落ちにくくなります。さらに、処理量が多かったとも伝えられていますので、工場内のチラー水(冷却水)の供給能力もひっ迫していたかもしれません。


さらに思い起こせば、昨年発生したガストでの食中毒も浅漬けが原因でした。日本人は塩分の摂取量が多いため、漬物の低塩化は栄養的にはいいのでしょうけれど、食中毒事故を生じやすいという別のリスクを負っています。このへんはなかなか難しい問題です。


最後になりましたが、今回の亡くなられた方々へ哀悼の意を表する共に、原因究明と対策がいち早く行われることを祈っております。

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