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オスプレイ問題はもはや沖縄だけの問題ではない 瑞慶覧 長敏議員インタビュー

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One Voice Campaign原田謙介さん(左)と、瑞慶覧 長敏議員(右) / 写真:野原誠治
One Voice Campaign原田謙介さん(左)と、瑞慶覧 長敏議員(右) / 写真:野原誠治 写真一覧

墜落事故が相次いでいる中米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、米軍岩国基地(山口県岩国市)に到着しました。米軍は10月から米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)を中心に運用開始するとしており、地元住民からは強い反発とともに不安の声があがっています。瑞慶覧 長敏(ずけらん ちょうびん)議員は、英語教室と学童保育クラブの経営者でしたが、沖縄問題を解決したいという思いから2009年の総選挙で手を挙げ、民主党の風に乗って初当選を果たしました。しかし、先日消費増税に反対をきっかけに、離党届を提出。無所属として再出発することを決めました。与党内からも批判が出る中推し進められるオスプレイの配備は何が問題で、沖縄選出の議員の目にどのようにうつっているのでしょうか?初当選から離党、国会議員になってからの3年間で感じた率直な思いとともに語っていただきました。(編集部:濱田敦子・田野幸伸)


沖縄問題を解決するには、政権交代が必要だった


原田謙介(以下、原田):今日は沖縄問題がテーマですがその前に、瑞慶覧先生は先日民主党を離党して、無所属という選択をされました。多くが新党に合流という流れの中、どんなお気持ちで決断されたんですか?

瑞慶覧長敏議員(以下、瑞慶覧):離党を語るには、僕がどうして民主党に入って国会議員になろうと思ったかをお話しする必要があります。

僕は国会議員になるまで、政治畑の人間ではありませんでした。親父は県議だったけど自分は英語教室を開いていて、それがいきなり議員に立候補して当選した。立候補のきっかけはやはり、米軍基地問題です。沖縄にはたくさんの米軍基地があって、米軍に関する事故や問題がしょっちゅう身近に起こるので、小さな子でも何かがおかしいと気づきます。

例えば、僕が小学校の時(沖縄復帰前)に起こった、米軍のトラックが男の子をひいた事件。赤信号でひいて、男の子は亡くなっているんですよ? それなのに日米地位協定があるから、非公開の軍法会議で米軍の運転手が「太陽の光が眩しくて見えなかった」なんて言って無罪放免になっちゃった。こんなことが繰り返し起こるので、「米軍基地問題をなんとかしないとやりきれない」という思いが、小さな頃からありました。

大人になってその思いから平和活動に関わるようになったのですが、そこで出会ったのがミュージシャンの喜納昌吉さん。通訳の手伝いなどをして長い付き合いの彼が、ある時参議院議員になって、僕に言うわけです。「沖縄問題を解決するには、政権交代しなくちゃダメだ。沖縄の中でどんなに知事が頑張っても何も変わらない。だから、一緒にやろう!」と。その言葉に背中を押されて2009年の選挙に手を挙げ、さらに民主党の風に乗って当選した。これが、議員になったきっかけです。つまり、僕の原点は、政権交代した民主党の中で基地問題を解決することにあった。

原田:政権交代したら、何かが変わると思ったんですね。

瑞慶覧:あの時は、そういう勢いがあったよね。鳩山さんは「最低でも県外」と選挙の前から言っていて、総理になってその言葉通りがんばってくれたけど、ああいう残念なことになって……。

原田:結局、移設はされませんでしたが、沖縄で鳩山さんの発言はどう受け止められていますか?

瑞慶覧:多くの県民は鳩山さんを評価しています。だって、自民党時代は誰もやろうとしなかった問題に、首相の立場で初めてあそこまで踏み込んで、真剣に取り込もうとしたんです。自民党が強かった55年体制では、たくさん利権も絡んでいたでしょう。基地に関する工事や管理で入ってくるものも多いから、沖縄の中でも基地賛成派と反対派に割れてずっと来てしまった。だからこそ、政権交代して政治的に解決しようと呼びかけました。民主党のマニフェストには、「主体的な外交政策を構築し、緊密で対等な日米同盟関係をつくります」と記されていて、多くの沖縄県民が民主党の新しいビジョンに期待をかけたんです。たくさんの方に応援いただいて政権交代できたのに、県民を裏切る結果となってしまいましたが。

この3年間は、沖縄選出の民主党議員として本当に苦しい立場でした。周囲からは「離党しろ」との意見をたくさん頂きましたが、「与党の中でやるべきことがまだあるから、与党に留まって、僕はやるよ」と、言い続けてきたんです。

原田:それが何故、このタイミングで離党したのですか?

瑞慶覧:やはり消費増税がきっかけにはなりましたね。国民の声を聞かないという党の姿勢……。決定の仕方が、中から見ても民主的ではない。本当の民主主義なら、賛成・反対両方の意見を尊重しながら議論を進め、それから多数決を採る。あるいは、結論を出すには早いということなら、時には決定を保留してでも議論を続ける。しかし、今の民主党は「決める与党だ」と言って、リーダーが発言すればどんどん決まってしまう。消費増税に関しては、「シロアリ退治の前にはやらない」と言っていた本人が、退治は中途半端なままに増税を決断した。あの約束はなんだったのか。

原田:増税するべきではないと。

瑞慶覧:いや、あげるなとは言いません。でも、国民の声を聞くなら、「本当に今なのか?」をもっと議論するべきだったでしょう。

基地問題でも同じような事が起こっています。沖縄の全市町村が反対していると知事が訴えても、「アメリカ軍との約束で決まったことなので」と言われたら、我々はどうしたらいいですか? 与党議員として話しても、聞く耳をもたない。だったら与党を離れ、県民の声を聞きながら、一国会議員としてできることをしようと思った。そういう意味からも、自由に活動できる無所属の道を選びました。

原田:オスプレイについては日本の安全保障にプラスだとして、反対を押し切ってどんどんと配備が進められています。一方で、7月にもノースカロライナ州でトラブルがあって、事故率の高さや機体の問題点がニュースで頻繁に取り上げられるようになりました。何故、アメリカはオスプレイを導入したいのですか?

瑞慶覧:オスプレイはプロペラがついたエンジン部分の角度を変えて、ヘリコプターのような垂直離着陸や、プロペラ機のような高速水平飛行ができる機体です。角度が切り替わる中間の「転換モード」で飛べるのも特徴のひとつ。配備されれば行動半径は、今まで使われてきたCH46ヘリコプターの5倍にもなるといわれています。今までにない新しい技術を組み入れたことと、開発に時間も費用もかけてきたことで、結果、一機、約80億円になっちゃった。安全性に問題はあるものの、米軍のメンツにかけても導入したい。悪いことに9.11テロが起こり、待ったなしの状況に拍車がかかって、米議会も政府も止められなくなった、というのが真相じゃないかな。

原田:一番の問題点は何だと思いますか?

瑞慶覧:ヘリコプターなどの回転翼機には、エンジンが停止しても降下中にメインローターを回転させて緊急着陸させる自由回転飛行(オートローテーション)という機能があって、日本の航空法は、「回転翼航空機は、全発動機が不作動である状態でも、オートローテーションで安全に進入し着陸できるものでなければいけない」と定めています。パイロットにもこの操縦訓練を徹底しているし、機能がない航空機は飛行の安全証明を受けられません。ところがオスプレイにこの機能があるかというと、怪しい。日本政府と防衛省関係者は「ある」と言っていますが、多くの軍事アナリストが「ない」と言っているし、少なくとも「米軍のオスプレイ訓練でオートローテーション訓練を行ったと聞いたことはない」と主張している。今、日本政府に質問をしているところです。

機能があってもなくても、米軍特権を保障する日米地位協定があるから、米軍機は航空法の特例法で飛べちゃうんですけどね。オートローテーションができない場合、エンジンが止まったらドスンと墜落するんですよ? 普天間基地周辺は住宅街なわけで、墜落したら取り返しがつきません。

原田:実際に事故も多いですよね。

瑞慶覧:最近では今年4月にはモロッコで、6月にはフロリダで墜落事故がありましたが、オスプレイは試作機の段階から30人もの死亡者を出す重大事故が相次いで起きています。どれも同じ原因で起きた事故じゃないことも問題でしょう。これが何を意味するかというと、機体の欠陥だろうと、パイロットの操縦ミスだろうと、事故の再発防止が非常に難しいということです。アメリカは設計ミスではなく人為ミスだと機体の安全性をアピールしていますが、墜落したら同じことです。

米国のシンクタンクである「グローバル・セキュリティ」は、推進システムを解説する中で、ドライブシャフト(回転軸)の破損の可能性について言及しているし、7月の事故では元国防分析研究所のオスプレイ主任分析官が「エンジンを連結する回転軸が複合材でできているので火災の危険があり、もしそうなったら墜落するだろう」と指摘している。こんなふうに米国内でさえ機体構造を問題視する報道がたくさんあるんです。これについては、日本政府がどういう認識をもっているか、僕はこの点も今、質問主意書を提出しています。

原田:事故原因もはっきりしていないのに、日本政府がちょっと待ってと言えないのは何故なんでしょう?

瑞慶覧:外交力の弱さだね。弱いから、押し切られる。米軍は、1990年代からこれまで使われてきたCH46からオスプレイへ順次交換すると方針を固めていた。長い戦略の中で、沖縄への配置も既に決まっていたことなんです。それなのに、日本政府は米軍に公表しないでくれと頼んで、コソコソと進めてきた。実際に僕が議員になって「オスプレイ来ますよね?」と聞いても、「まだ決まっていません」と回答されていたんです。

原田:政権の中にいたのにですか?

瑞慶覧:そうです。国会に行って思ったのは、政権交代しても、官僚や役人は同じ人がやっているということ。彼らはペンタゴン(米国防総省)とのつながりが強いから、いくら鳩山さんが出て行って「県外だ」といっても取り込んで突き返す。ああ、やっぱりこうやって話してみると、全て政治力のなさだなあ。政治主導といったのに、できなかったということなんだなぁ・・・・・・。

原田:霞ヶ関と永田町の関係、日本とアメリカの関係が変わらなければダメですね。

瑞慶覧:民主党は日米地位協定も「改定を提起する」とマニフェストに掲げていましたが、着手できていません。日米地位協定は平等じゃない。あれは、日本における米軍の地位を守るもの、つまり仲間を守るための協定だから不公平なんですよ。他の国の軍隊が自分の国にいる限り地位協定があって、これに関しては韓国でもヨーロッパでも同じような問題が起こっている。

原田:他の国でも同じ状況ですか?

瑞慶覧:米軍としては自分たちの軍隊を守らなくちゃいけないから当然です。アメリカ人だって守ってもらえない所に入らないでしょ。地位協定は沖縄だけでなく、日本全体に関わる問題なのですが……。

原田:米軍基地がある場所はすべて、関係ありますよね。

瑞慶覧:いや、基地がある場所だけとも言えないよ。今回示されたオスプレイの飛行訓練ルートは6つあって、このルートの上空は低空飛行で飛んでもよいことになっています。静岡県のキャンプ富士などで訓練に参加するし、東北や四国、九州など、日本の各地で低空飛行を含む飛行訓練が計画されているんです。でも、日米地位協定があるから、日本政府はNOと言えない。NOと言わせるには、沖縄のような活動が日本全体に広がっていく必要がある。日本全土が問われているんです。「あなたの頭の上もオスプレイが飛びますが、いいですか?」と。

原田:日本全体のことなのに、どうも当事者意識をもって考えられていないように思えるのはどうしてでしょう?

瑞慶覧:単純に基地がない所に住んでいる人は、問題意識をもちにくいですよね。北方領土もしかり。自分から遠い所の出来事なら、当事者意識は欠けるわなあ。だから、政府がもっと「ここに問題がある」と言っていかないと。

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