9月下旬に発売されたアップルTVが飛ぶように売れ、はや100万台に達する勢いだそうです。本体価格が99$(8800円)は、試しに買って体験してみようという衝動を誘う魅力ある低価格です。
Apple TV、今週中に100万台突破の見込み
―iTunesのTV、映画ストリーミングの利用も急上昇(ThecCrunch)
実はアップルTVを購入しようと自宅のTVを確かめると、購入したのがずいぶん前なのでHDMI端子がなく断念したのですが、端子がついていたら間違いなく購入していたと思います。iTunesの番組レンタルはiPadでやってみましたが、やはりテレビの画面サイズが欲しくなります。
そんなアップルTVの好調さと対照的なのが、グーグルTV。テレビ局の協力を得られず、NBC、CBS、ABCといった大手がウェブサイトの映像コンテンツを遮断したこと、また画面で表示される文字が小さすぎる、リモコンが複雑すぎるなどと酷評されたこともあって、ソフトの改良のために、発売準備を進めていた各家電メーカーに発売延期を申し入れたとニューヨークタイムスが報じたことをJBPressが紹介しています。テレビ局との関係だけでなく、ユーザー視点に立った開発ではなかったということでしょう。プロダクトアウト、テクノロジーアウトだったという批判は免れません。
「グーグルTV」突然の延期要請にメーカー困惑
グーグルは未熟な企業と米紙が批判 JBpress(日本ビジネスプレス) :
Google TV Faces Delays Amid Poor Reviews(ニューヨークタイムス)
結局は、ベータ版を出して、それを改良して完成させていくというグーグルの文化が、最初から完成した品質や機能を求めるハードの文化とは相容れない結果だったということでしょう。
グーグルの「サービス」とグーグルTVのような「製品」の決定的な違いは、ベータ版のサービスは無料だから許されたとしても、ハードはユーザーが実際にお金を出して購入するので、支出に見合った価値が最初からなければなりません。しかしなぜ、SONYやロジテックが、プロジェクトを組んで開発したのに、そんなグーグルの認識の弱点を埋めることができなかったのかも疑問に残るところです。
そういった躓きがあったにせよ、インターネットTVは家電各社もおそらく今後のテレビの本命だと考えているでしょうから、やがてスマートフォンと同じような業界構造になってくるものと思います。
アップル帝国が先行し、グーグルのOSを軸とした家電各社の共和国との競争に入っていきます。スマートフォンと違うというのは、ハードでも、アップルはまだまだ多くのカードを持っていることです。
低価格のアップルTVが売れ、iTunesのサービスがさらに充実してくれば、ハードでも製品拡張が可能になってきます。アップルTVが内蔵された液晶テレビも登場してくるかもしれません。アップルが製造を委託している鴻海精密工業(フォックスコン)は、昨年にSONYの米国向けの液晶テレビ組み立て工場、また今年になって欧州向けのスロバキア工場の90%の株を手にいれており、アップルが液晶テレビをつくる体制としては整っているのではないでしょうか。
グーグル共和国がアップル帝国に追いつくために必要なことは、もちろんハードは最初から対価に見合った価値を持たなければならないことだけではなく、ともすれば市場と業界の論理が先行しがちな共和国の各企業の発想から、まずはユーザー視点からマーケティングを組み立てる発想にパラダイムを変えることだとつくづく思います。
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