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NYで匿名のネット発言禁止と、あるべきルール

ニューヨーク州議会で、ネットにおける匿名の発言を禁止する法案が提出されました。

匿名のネット発言を禁止する法案:ニューヨーク州 - WIRED.jp


日本でも最近、違法な書き込みを削除する/しないといった問題が議論されています。

私は、前職の通信会社でネットにおけるコミュニティの研究や構築をしていたことから、ネットにおける情報発信のありかたについて熟議を重ねてきました。

リアル、ネットにかかわらず、匿名性は高くなる程、当然モラルは低下します。当事者は責任を追及される確率が低くなり、問題や犯罪の発生率が高まります。犯罪が増えれば、匿名性を高めないと意見だという意見が広まり、ますます犯罪が増えるというネガティブスパイラルに陥ります。銃規制も同様の問題を抱えています。従って、安全、安心の観点から言えば、匿名性は低ければ低いほどよいということになります。一方、人間の感情としてある程度の匿名性は欲しい、もしくは必要という考え方もあります。議論すべきは、そのバランスをどこに設定するかであり、匿名性の高さをどこに設定するかです。

「匿名性が高さ」とはすなわち「発信者を特定するためのコスト」です。
犯罪に該当する書き込みを行った人物に対して、その責任を追及する側が、発信者が誰なのかを簡単に特定できるようであれば匿名性は低いということになり、時間、お金、手間がかかるほど匿名性は高いということになります。

現状ではどのようになっているでしょうか。例えば、警察が、犯罪に該当する書き込みを行った人物を捕まえることを想定します。この場合、警察はプロバイダへ発信者情報の開示を請求します。ここで問題なのは、警察からの照会であってもプロバイダは発信者情報の開示義務がないことです。そのため、警察は裁判所に令状を請求しる必要があります。プロバイダは当然令状には逆らえませんので、ようやく開示となります。令状請求には手間や時間がかかることから、捜査の障害になっています。今後は、警察からの照会に対して、令状なしの開示義務が望ましいでしょう。民間からの発信者情報開示請求については対応する機関を設立し、その機関に発信者情報を開示命令を出すか否かの判断を委ねます。判断は、短期間、低コストである必要があります。

他にも、匿名性でのコミュニケーションを守りつつ、被害者を出さないために、必要と思われる法改正について下記に記しました。

1.プロバイダに対する発信者情報管理義務
現在、プロバイダが、ユーザにネット接続環境を提供する際には、身分証明書の提示を求めます。これが、警察が犯人を特定する手がかりとなっています。
しかし、匿名でネットに接続可能な環境を用意しているホテル、レストラン等もあります。これは明らかに過剰に高い匿名性を発生させます。確実に犯人を特定するために、匿名ネットに接続可能な環境を提供することを禁止する必要があります。

2.発信者に対する情報登録義務
プロバイダに「1」の責任を課しても、ユーザが無線LANをハックするなどして、匿名でネットに接続する恐れがあります。そのため、匿名でネットに接続すること自体を違法する必要があります。

3.プロバイダに対する発信者情報開示義務
上述の通り、令状なしでの照会や、専門機関の設立で対応します。

4.発信者およびプロバイダに対する情報削除義務
犯人が逮捕されても、ネットに違法な書き込みが残るのでは困ります。そこで、上記機関は、ユーザおよびプロバイダに対し削除命令を出すことができるようにする必要があります。当然、削除しなかった際の罰則規定が必要です。

5.海外サーバの遮断
日本の法律が及ばない海外で法人を設立、海外にサーバを立てる脱法行為などを防ぐために、削除命令等に従わないサーバに対する遮断義務をプロバイダに持たせる必要があります。

6.犯罪防止の啓蒙
一昔前、飲酒運転に対する犯罪意識が低かったように、ネットにおける違法アップロード、違法売買、名誉棄損罪、威力業務妨害等に対する犯罪意識が低いと言えます。違法な書き込みをしてはいけないということを、教育、啓蒙していく必要があります。

被害者が発生しないようにすること、加害者の責任を追求すること、加害者にならないための教育をすることを実現しつつ、できる限り自由で安心なネット環境を構築すること。それは、この時代に生きる私たちに課せられた課題といえるでしょう。

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