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お客さまを「知ってるつもり」が命取り

2010年05月28日 13:29

大西宏

お客さまの“生の声”を聞くインタビュー調査のすすめ方お客さまの“生の声”を聞くインタビュー調査のすすめ方
著者:福井遥子
販売元:実務教育出版
発売日:2010-04-27
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ユニ・チャームで商品開発やマーケティングの実務を経験し、現在は有限会社アイボリーマーケティングの代表をやっていらっしゃる福井遥子さんから献本頂きました。ありがとうございます。とてもわかりやすい、タイトルどおりの「インタビュー調査のすすめ方」の本です。

製品開発やマーケティングでもっとも怖いのは、担当の人たちがともすれば、お客さまを「知ってるつもり」になることです。

B2Bのビジネスでは、お客さまに直接営業することが多く、商談、あるいはお客さまとのおつきあいのなかからお客さまの声が聞けますが、やっかいなのはB2Cです。

B2Cの場合、ほんとうに商品を使うお客さまの声は
、自ら聞く機会、集めるしくみをつくらないと届いてきません。ネット販売が中心なら、あるいは自社で販売店を持っていれば別ですが、実際に商談し、声が集まってくるのは、販売店の声であって、エンド・ユーザーの声ではありません。まして対面販売で売っているところは少ないので、小売業もユーザーの生の声を聞いていません。聞こえてくるのは、販売動向だけです。

もちろん、昨今は、商品やサービスの評価なり、評判は、口コミサイトやツイッターなどのソーシャルメディアでも、ある程度は知ることができますが、知りたい肝心なことは、やはり消費者の人たちとの対話のなかでしか分からないものです。
またインターネットを使ったアンケート調査が、低価格で気軽にできるようになり、アンケートをすることが増えてきたと思いますが、アンケートだけでは、結果はわかっても、なぜそんな結果になのかという、本当の「理由」はわからないものです。

この本で、福井遥子さんがユニ・チャームから転職し、ポット型浄水器「ブリタ」のブランドマネージャーをやっていらっしゃった時の面白い経験を紹介されています。
関係者は、「ブリタ」を当然浄水器だと思い込んでいたのですが、実際には商品を見せると、誰も浄水器だとわからなかった、冷水器かなにかだろうという答えしか返ってこなかったというのです。
だから、浄水器としての「ブリタ」の良さをアピールすることよりも先に、「ブリタ」が浄水器であることを知ってもらうことが鍵だと言うことに気がつかれたそうです。
マーケティングの実務をやっていると、現場は、そういう思い込みの盲点がたくさんあることを嫌というほど思い知らされます。


また、ぜひオススメしたいのは、そういったインタビューを外部に任せるのではなく、開発やマーケティングの実務に携わる人たちが行うことです。
なぜなら、そういった実務に携わっている人なら、お客さまの声を直接聞くと、自分たちの認識とユーザーの人たちの認識のどこにギャップがあるかが敏感に発見できるはずです。
それに、ひとつの仮説を組み立てる際に、担当者は、いくつもの仮説を持っていたはずで、なにかユーザーの人たちの反応が違った場合、すぐに、切り口を変えて質問をすることで、ユーザーの求めていることがなにかを深堀りすることもできます。

仕事を通して、米国のベンチャーが持ち込んできたネット関連の企画書を評価することを依頼されたことが幾度かありましたが、ほとんどにフォーカスグループの(日本ではグループ・インタビュー)結果が紹介されていたことに自然さを感じました。さて日本のネット企業はどうなんでしょうね。

この本を読めば、インタビューを自らするための方法を知ることができます。また読むと福井さんが、ほんとうに開発現場やマーケティング現場をよくご存知かもわかります。
どのようにして、対象者をリクルートするのかがわからない、あるいはインタビューする自信がないというのなら、福井さんにご相談されればいいし、私でよければ、よろこんでアドバイスもさせていただきますし、お手伝いさせていただきます。

ビジネスラボ代表取締役。自称「マーケティングの棟梁」

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