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公務員減らしの行き先 人を軽々しく扱う政治家を信頼できますか?

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 国も地方自治体も一生懸命に公務員の数を減らしているのですが、行政サービスのニーズが減っているわけではありません。結局帳尻を合わせるためには、業務委託と非常勤職員への代替が同時に進行することになるのです。業務委託も非常勤職員も、それらの経費は人件費としては計上しなくてすむので、人件費抑制という目標を達成するには便利な手段だということになります。

 加えて、業務委託先の人件費も非常勤職員の給料も正規職員と比べると遥かに低いため、コストが抑えられるという誘惑があるわけです。もちろんこれはコストを抑えたい行政にとっての誘惑であって、同じ仕事を正規職員がやっていたときより安く引き受けざるを得ない人にとっては理不尽な話です。

 現在公的部門にどれくらい非常勤職員がいるのかというと、国で約15万人、地方自治で約60万人と推定されています。公的部門の27%は非常勤であるというかなりショックな現状です。さらに清掃、施設管理、廃棄物処理など業務委託される公共サービス分野では、非正規率は5割を超えていると考えられ、470万人程度が公的サービス民間労働の非正規労働者として働いているという試算があります。

 よく指摘されるハローワークはその職員の半分以上が非常勤となっており、安定雇用を紹介するための公的機関が内部に大きな矛盾を抱え込んでいる事態に陥っているのです。また、大阪市営地下鉄の委託清掃労働者が低賃金で生活できないと生活保護を申請し、受給が認められるというケースもありました。生活保護に追い込むより、生活できる賃金をきちんと支払った方が、よほど財政的にも、また人の尊厳上も、望ましいのではないでしょうか。

 国際的に見ると、公務員が圧倒的に少ない日本。つまりは、私たちが受けている公共サービスの量が少ないか、量は他国と同程度だけど皺寄せが公的部門の非常勤職員、いわゆる「官製ワーキングプア」にいっているのか、そのどちらか、または両方、ということになります。日本の福祉への支出が国際的に見て低いこと、非正規労働者の割合が高いことを考えると、正解は「両方」というあたりではないでしょうか。

 ただでさえ控えめな公共サービスのレベル。それを私たちが享受するだけで実は国・地方あわせて75万人近い人(業務委託先を入れるとさらに470万人!)が迷惑を被っているなんて、嫌な話です。公務員が減って、無駄が省かれて、税金も安くなって、万事ハッピー、なんていう状況では全くないのです。つい最近も、経費削減が行き過ぎて格安バスが大事故を引き起こしていました。民間部門であろうと公的部門であろうと、過度な人件費抑制が安全軽視へとつながる点を忘れてはいけません。

 だいたい必要なサービスに必要な経費を払うのは当然の事。他人を苦しめてまで、安全を犠牲にしてまで、1円でも安い公共サービスを本当に私たちは求めているのでしょうか。

 公務員を減らすことを公約する政治家は、人の値段を叩いて値切ることをよしとしているのです。私は、人をそのように軽々しく扱う政治家を信用することができません。絆とか命とか言ってみたところで、その人の本性は公務員に対するスタンスで見えてくるのではないでしょうか?

茶園 瞳 HITOMI CHAEN/大学教授
連休明けは会議がたくさんあって、ちょっとうんざりでした。お昼休みに開催の会議だとお弁当が付くことがあるのですが、たいてい美味しくないのですよね……。最近は健康を気遣ってかつ美味しい低価格なお弁当が結構あるから、そういうのにしてくれないかなあーと思ってしまいます。食べたい量の男女差・年齢差または個人差はかなりあるようで、私なんかが食べきれないと思っていると、量が少ないとぼやく人もいたり。みんなを満足させる会議弁当選びは結構難しいようです。

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