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原発を再稼働させても、させなくとも危険性は同じじゃないの?

大飯原発の再稼働をめぐっては反対意見も多くどうなるのでしょうか。夏の電力需要予測をめぐっては落ち着くところまで行ったようですが、どう節電して夏場を乗り切るかに焦点が流れていっているようです。ほんとうにそれでいいのかと感じます。

福井県知事は「野田総理大臣のしっかりした姿勢がないと国民の納得につながらない」、「国のはっきりした姿勢や心構えが国民に示されないと、誤解が広まったまま問題が収拾できず、極めて憂慮すべき状況だ」と政府のリーダーシップを求める発言をされていますが、重要と思うのはその「誤解」という部分です。根拠があいまいなまま、さまざまな考え方が交錯して、わけのわかならい展開となってきているように感じます。

まず疑問に思うのは、原発を休止状態にしておくことと、再稼働することで危険性が変わってくるのかということです。再稼働を強く反対している人にぜひ説得力のある説明をしてもらいたいものです。素人ながら感じるのは、どちらでも危険度は同じじゃないのかということです。

思い出してもらいたいのは、福島第一原発事故を振り返ってみると、黒煙をあげて爆発した4号機は定期点検中で稼働していませんでした。使用済み核燃料の臨界爆発だったという疑いがありました。いまでも、休止状態にあった4号機の使用済み燃料プールの安全確保を政府に強く求める声があります。

福島第一原発4号機使用済み燃料プールの安定確保に関する緊急要請書(地には平和を)  :

中島聡さんは、原発にはずっと反対の立場をとってこられてきたと思いますが、最新のブログ記事で、3号機についても「水素爆発ではなく、使用済み燃料プールの燃料が臨界を起こした臨界爆発」だったという疑いがあるというアーニー・ガンダーセン博士の指摘を紹介されています。アーニー・ガンダーセン博士といえば、福島第一原発事故の際にいちはやく米国のテレビで、メルトダウンの可能性を指摘され、Youtubeにも流れていました。
最近はどこでも「使用済み燃料プールには臨界ギリギリにまで使用済み燃料を詰め込んでおり、万が一地震などでプールが損傷することがあれば、再臨界を起こす可能性が十分にある」そうです。
原発を止めてもリラッキングされた使用済み燃料プールの危険はなくならない(中島聡) - BLOGOS(ブロゴス) :

素人なりに考えても、原子炉のように閉じ込められているわけではない使用済み核燃料プールで起こる事故のほうが甚大な被害をおよぼすことは想像に難くありません。

再稼働させず休止状態に置いておけば原発は安全とはいかないのです。再稼働させようがさせまいが、リスクはあるのですが、おそらく原発を休止させ、そっとしておけば安全なのだろうと錯覚している人が多いのだと思います。マスメディアも同じです。

それを考えると、まずは何から手をつけるべきか、長期的にはどのような方向で日本のエネルギー政策を導くのかを分けて議論しなければならないのです。原発再稼働は危険だだから再稼働させない、電力供給が逼迫するから節電するという発想は、どうなんでしょうね。どうもメディアのなかでも長期と短期をわかっておらず、混乱した論議が起こっています。

まして自然エネルギーに切り替えることが直ちにできるというのは特攻隊精神みたいなもので、非現実的です。いくつものイノベーションを重ねないとどだい無理な話しです。

何から手をつけるべきかですが、原発を安全に稼働させるための手当てをすることだと思います。安全性を担保する基準づくりや仕組みづくりのほうでしょう。行政による監視、また行政による監視を歪めてきた原子力ムラの解体や電力会社の体質転換、また新しい基準による安全性を高める原発の施設や運営の改善です。これは急ぐべきです。

維新の会の大阪都構想には賛成しますが、どうも原発再稼働をめぐっては人気取りに走っているように感じます。もし法廷闘争のように、原子力行政を変え、また関西電力を変えるために、もっとも対極にある再稼働反対のポジションをとって、落とし所を探しているというのなら理解できますが、それは国民には理解が難しいのではないかと感じます。

また長期的に脱原発依存を国民が望むなら、再生可能な自然エネルギーの比重をあげていくための施策が必要になってきます。その鍵は参入を容易にする仕組みとしての発送電の分離と、基礎技術への投資です。確かに天然ガスはシェールガスの技術によって供給量が増え、価格が低下傾向にありますが、いざというときに輸入できなくなると日本の経済は大変なことになってしまうので、コスト面だけでなく、エネルギーの安全保障の点でも賢い選択とはいえません。

歪んだ原発行政のもとに進められてきた結果、現に存在する原発は、廃炉と、使用済み核燃料の処理を終えない限り原発事故のリスクは残ります。むしろ休止状態をつづけ、国民の意識からその存在を忘れられ、また安全性を高めるための投資や技術開発が疎かになるほうがはるかに危険なのです。

そもそも原発行政が歪み、原発ムラ利権が膨れ上げってきた背景には、原発をタブー視して、どのように安全性が保たれているかを監視することよりも、安易に原発反対だけを叫んできた人びとにも責任の一端があるのではないでしょうか。

すでに全国を合わせると数兆円の投資を行った原発があり、それを休止させてもさらに安全に保っ経費は廃炉まで背負うことになります。そして石炭にしても、天然ガスにしても、燃料を海外から買い続けなければなりません。つまり日本は原発施設の保全とエネルギー購入の二重のコストを負担するハンディを背負ってしまいます。

日本の将来に響いてくる重要な問題なのですが、福島第一原発事故で原発への不安が高まり、原子力を進めてきた人びとへの不信感が広がり、また深まっているという現実があります。もっとも重要な課題は、原発が全国にあるという、もう逃げられない現実があることへの国民的な認識をつくること、不安や不信感を取り除くために、科学的で、かつ誠意ある施策を進めることです。それを行えるリーダーが、今の日本には求められているのだと思います。

維新の会も、再稼働に反対の態度をとっているだけでは、短期的な人気取りはできたとしても、しょせん地方政党の域を超えることはできません。


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