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「ネット選挙運動」の季節がやってくる

すでにご存知かもしれませんが、来年の夏に予定されている衆議院総選挙の際に、選挙期間中もネットによる候補者本人による情報発信などができるようにしようという「ネット選挙解禁」のための運動が、現在盛り上がりつつあります。

選挙運動でのインターネット利用解禁を実現しようという活動が、反響を呼んでいる。世界各地でネット発の運動が政治を動かす一方、日本では選挙に活用することもできない。そんな現状に危機感を抱いた若者たちが「まずは仕組みを変えよう」と動き始めた。

 今月8日、ネット選挙解禁を呼びかける「One Voice(ワンボイス)キャンペーン」と題したサイトが開設された。ジャーナリスト・田原総一朗さんらの賛同メッセージも公開され、開設から半日も経たないうちに交流サイト「フェイスブック」で千人を超す人が「いいね!」と賛意を示した。

(5月12日 朝日新聞ウェブ版”「ネット選挙解禁を」若者動く 世界に後れ、危機感”より抜粋)

この記事では、政治や社会活動に対してそれほどホットではない自分自身が、しかしこの活動に関しては感じている大いなる可能性について、アメリカの著名な心理学者ミハエル・チクセントミハイが提唱する「フロー理論」の観点から、考えてみます。

■今回の要旨
1.人が興味・関心を寄せるものには「自己統制感」がなければならない

2.現代の国政というシステムは、複雑で巨大になりすぎて「自己統制感」を持てない

3.選挙中に情報発信が可能な他国では、「自己統制感」を取り戻せる兆しが見えている

4.僕らがこの可能性を享受するためにできることとは?

それでは、本編です。

1.人が興味・関心を寄せるものには「自己統制感」がなければならない

チクセントミハイの提唱するフロー理論とは、一言でいうと「人は、何かに熱中することで、最高の幸福感が得られ、その先には自分の成長と、大きな成果に結びつく」というものです。そして、何かに対して「熱中」するための必須要素となるのが「自己統制感」というキーワードになります。

自己統制感とは、「自分が上手くやれば、少なからずその結果をコントロールできる」という感覚を指します。例えば、TVゲームはこの典型で、自分が操作した結果次第で、クリアもできれば、ゲームオーバーにもなってしまいます。スポーツでいえば、例えばロッククライミングでは、上る人は自分が上手くやれば、その壁を上りきることができると感じているときに、ロッククライミングそのものが、とても楽しく、集中できるようになります。

ですが、この「自己統制感」は、難易度が高すぎたり、自分以外の要因で多くが決まってしまう場合、失われてしまい、興味・関心も低下してしまいます。

例えば、さきほどのロッククライミングの場合、自分がどうあがいても絶対に最後まで上りきれないな、と思ってしまうような難易度のものを目の前にすると、もはや自分が上手くやるかどうかに関わらず、結果は一緒(=上れない)になってしまうと感じ、「自己統制感」は起きません。

ですので、チクセントミハイの指摘としては、何かに対して興味・関心を持てるようになるためには、この「自己統制感」が持てるような難易度・結果への影響の見えやすさ、などが重要になるという点になります。

2.現代の国政というシステムは、複雑で巨大になりすぎて「自己統制感」を持てない

こうした「自己統制感」という観点で現代の選挙を捉え直してみると、それはそれは、興味・関心が沸かないこともうなづけます。自分たちがどう投票しようと、誰に投票しようと、それがダイレクトに何かの変化に結びつき、世の中が自分にとって、以前よりも少しでも思い通りになるという感覚なんて、ありませんよね。これでは、「自己統制感」は全く存在せず、そこに興味・関心を持てというもの、難しい話になってしまいます。

では、選挙・政治っていうのは、本来そういう性質であり、多くの有権者にとっては「自己統制感」が持てないものなのでしょうか?答は、Noです

例えば、北欧では、各地域地域に「コミューン」と呼ばれる小規模な政治活動に関する区分けが存在しており、行政などに関わる多くの事項は、このコミューン単位で決定されるそうです。すると、このコミューンに参加している国民は、自分の意見を表明したり、特定の意見をリードしたりすることで「自分で政治は変えられる」という「自己統制感」を得られます。
そして、小さいころからこの活動に参加することで、成人するまでに「政治とは、自分が関与することで変えることができる」という感覚が養われ、国政についても高い関心と、積極的な関与が行なわれるとのことです。

また、私の母親の出身地では、小さな村議会の中に派閥が2つ存在し、自分の派閥の候補者が当選すると自分たちに様々な恩恵が発生し、落選するとその恩恵が得られないということで、村民全体が、いつも選挙にとても高い興味・関心を持っていたそうです。

ただ、これらのケースはいずれも、小規模なシステムをベースとした話であり、今僕たちの目の前にある「政治への無関心」には、直接の答えにはなりません。

3.選挙中に情報発信が可能な他国では、「自己統制感」を取り戻せる兆しが見えている

ところが、ここにきて大きな変化の兆しが、ネットによる情報発信により、世界で起きつつあります。その最大の例が、数年前のオバマ大統領の選挙戦です。

この選挙戦では、オバマ大統領陣営が「my.barackobama.com」というサイトを立ち上げ、有権者一人ひとりに対して、自分の選挙活動について、どれだけ貢献してくれたかを、サイト上にポイント数で表示されるような工夫をしました。例えば、友人を集めた勉強会を開催したら5ポイント、30人以上の人たちを集めた集会を開催したら20ポイント、といった具合です。

こうしたポイントが可視化されることで、オバマ陣営に協力する有権者は、自分がどれくらいこのゲームに貢献しているかを感じ取ることができ、「オバマを当選させる」というゲームに熱中します。逆に、オバマ陣営そのものも、日々オバマが発表する情報、テレビの討論番組での反応など、様々な情報発信が、どのように自分の味方の人たちに指示されたかという点を、ポイント全体の伸び方などから確認することができるようになっています。

さらに、春先に実施された台湾の総統選挙では、両陣営がフェイスブック上のアカウントで随時情報発信を行い続け、1つ1つのメッセージへの反響の大きさの変化が、そのまま両陣営に対する優劣の変化を表すといった状況でした。
そして、有権者一人ひとりも、自分が書き綴ったブログでの記事ひとつが、自分がツイッターでつぶやいたメッセージ1つが、場合によっては口コミで広がり、選挙の結果に大きな違いを生み出せるかもしれない、という状況に至ったわけです。

このように、選挙戦が真っ盛りの中で、政治家も有権者も事由に各種のネット媒体を使い情報発信ができることは、今までの世の中では難しかった「国政レベルでの政治に、有権者が自己統制感を持ち、興味・関心を示す」ことの実現に繋がる可能性を秘めています。

4.僕らがこの可能性を享受するためにできることとは?

さて、こうした「政治への自己統制感」を考える上で、現在の日本で問題になっているのが、昭和25年に制定された公職選挙法において、

「文書図画」(政治に関するビラ(文書)やポスターや絵柄(図画))を大量につくって無制限に配ることを禁じていて、ウェブサイトの更新なども、この「文書図画の頒布」にあたると判断されているため(出所:One voice website)

この記述により、選挙期間中(該当車が街中を徘徊する時期)になると、ネットでの情報発信が、一切できなくなってしまうのです

この法律、制定当初の趣旨としては、お金がある陣営が圧倒的に紙などをばら撒き、それによって当選してしまうのを防ぐというものです。言うまでもなく、現代ではこの状況は全く異なりますし、およそ昭和25年の時点では、ネットによる情報発信など、想定されていません。

そこで、この法律を改正し、情報発信が普通にできるようにすればいいのですが、この改正案が4年以上前から何度も国会に提出され、いまだに成立していないというのが、今回の「ネット選挙解禁活動」が打破しようとしている問題点です。

なぜ通らないか?については諸説あるのですが、国民の間で、”そりゃあネット選挙をさっさと解禁しなきゃね!”という世論が盛り上がれば、簡単に国会通過されるといわれています。そして、現在開催されている国会審議にも、この「ネット選挙解禁」が法案提出されており、これを一気に通過させよう!というのが、「ネット選挙解禁」が目指すゴールです。

もしもこの内容をお読みになって「自分も、この活動を応援して、ネット選挙を解禁させた!」という「自己統制感」を楽しみたい場合には、以下のアクションをとってください。これが、あなたがこのゲームに参加する方法となります。

ステップ1:下記のネット選挙解禁活動「OneVoice」のキャンペーンページ(http://onevoice-campaign.jp/)を訪れて「いいね!」を押してください。この「いいね!」の総数が1万を超えるレベルになると、「ネット解禁は世論だ」と、政治家・国会にアピール効果が期待できるとのことです。

ステップ2:ツイッターやブログにて、自分がこの「ネット選挙解禁」についてどう考えていて、どうして応援したいのかといった意見を、掲載してください。OneVoiceの公式ツイッター()でのRTを初めとして、活動の狙いを、より多くの人に知ってもらうための、力強いサポートとなります。

ステップ3:ツイッターやフェイスブック、あるいは直接会ったときに、同僚・友人・家族といった身近な人へ、この活動への参加を打診してみてください。

どうでしょうか?この歴史的な「政治に自己統制感を取り戻すための活動」へ参加し、政治への興味・関心を自分たち、そして自分たちの子供の世代へともたらし、大きく政治を変え、自分ごとにしていくというゲームに、ぜひご参加されてみてはどうでしょうか?

最後に、僕は個人的に、2歳の自分の息子が、このゲームにより興味・関心が高まった政治によって、今よりもよりよい社会になった環境において、20歳になったら、自分自身がそのゲームに熱中し、自分自身の手で日本という国を変えていってくれていることを、心から望んで、この活動への支援を表明します。

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