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書評『私が自民党を立て直す』

私が自民党を立て直す (新書y)
河野 太郎
洋泉社

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自民党の若手〜中堅議員のホープである河野氏の新刊。

「正直に申しまして、今日ここにお集まりの皆さまは、国民が現在自民党に対してかなり根強い不信の念を持つようになっていることに、あまり気づいておられないかもしれません」

という実にタイムリーなセリフから本書はスタートする。ところでこのセリフ、最近のものではなくて1989年の党大会における曽野綾子氏の来賓挨拶だ。自民党という組織は、20年前からポスト冷戦における存在意義が無いと指摘され、そして20年間それを作ることが出来なかったわけだ。

著者は下野をむしろ好機ととらえ、この機に自民党の新たな理念を作るべきだとする。その理念とは、小さな政府と健全な競争を背景とした経済成長であり、地方分権や新たなセーフティネットの構築も含まれる。

主な論点のみ書きだしておこう。
・規制緩和によるサービス産業の生産性向上
・アジア諸国、特に韓国との速やかなFTA締結
・法人税引き下げ、空港、港湾等のインフラ整備。
・消費税引き上げをともなう税制の抜本改革

世代間格差にもかなりのページを割いて言及している。たとえば基礎年金の保険料方式から消費税方式への移行について。国民年金は現在4割が未納だが、未納者の多くは将来、生活保護になだれ込んでくると思われる。このままでは「真面目に年金を払った人より多くを受け取る」というねじれ現象がありふれた光景になるだろう。ついでにいうと、その費用は消費税としてみんなで負担することになるだろうから、払った 人はもう一回、乏しい老後の生活費の中から負担させられるわけだ。ならば今のうちから皆で薄く、それも高齢者にもお願いして負担してもらった方が合理的だというのは明らかだろう。

個人的に面白いと感じた政策は「大学入試の一元化」だ。二次試験を廃止して、共通試験と論文や面接、高校時の成績での選抜に切り替えれば不毛な受験競争は回避でき、多様な人材を確保できる。合わせて卒業時の共通検定試験を導入すれば、大学教育の質を底上げできるはずだ。付け加えるなら、それによって私立校と公立校の格差も一定程度は是正できるだろう。いつも言っているように、今の時代に重要なのは「受験で何点取ったのか」ではなく「大学で何を学んだか」である。

編集の腕が良いのか本人の筆が立つのかは分からないが、非常に読みやすい内容に仕上がっている。彼の政策スタンスはとてもオーソドックスなものなので、日本の課題を考える上での入門書としてもおススメだ。若者マニフェストのスタンスにももっとも近いかもしれない。

ただし、それはあくまで政治家個人の話。自民党という大所帯を通ってマニフェストになる頃には、だいぶその色も薄れてしまう。彼は日経ビジネス誌のインタビューで「自民党再生には10年かかる」と述べていたが、恐らく本心だろう。

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