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自然毒による食中毒 ~食中毒の原因は細菌やウィルスだけじゃない~

食中毒の原因というと、サルモネラやO157のように細菌によるものや、ノロウィルスのようにウィルスによるものが思い浮かびます。実際、発生件数や患者数のほとんどは細菌・ウィルスによるものですが、それ以外の原因による食中毒も存在します。その中でも、自然毒(動植物が含む毒成分による食中毒)は発生件数こそ少ないものの、死亡も含め重篤な症状を引き起こします。

さて、この中で自然毒に分類される食中毒が相次いで発生しています。


自然毒の原因は多々あり、それぞれの発生件数は少ないのですが、自然毒という一つのカテゴリーで見ると、年間の食中毒発生件数の1割ほどを占めます。例えば、H18~22年度の状況は次のとおりです。*1

H18H19H20H21H22
総件数14911289 136910481254
自然毒計13811315292139
自然毒割合(%)9.38.811.18.811.1
植物性自然毒103749153105
動物性自然毒3539613934

自然毒の情報は厚生労働省の次のページにまとめられています。
自然毒のリスクプロファイル
動植物の中には体内に毒成分(自然毒)を持つものが数多く知られている。毒成分は一般的には常成分であるが、成育のある特定の時期にのみ毒を産生する場合や、食物連鎖を通じて餌から毒を蓄積する場合もある。これら自然毒を含む動植物による食中毒は、細菌性食中毒と比べると件数、患者数はそれほど多くないが、フグ毒やキノコ毒のように致命率の高いものがあるので食品衛生上きわめて重要である。
動物性自然毒は、ほとんどが魚介類です。また、これらの自然毒のほとんどは魚介類が自ら産生するわけではなく、餌としているプランクトンが産生する毒素が蓄積したものです。動物性自然毒で有名なものはフグの毒素であるテトロドトキシンでしょう。

植物性自然毒はキノコ類と高等植物に大別されます。キノコはいわゆる毒キノコです。高等植物の毒素の多くはアルカロイドです。植物性自然毒の食中毒は、食用可能な植物と誤認することで発生する事が多く、スイセン(ニラとの誤認)などの食中毒はしばしば報告されています。また、新たに加わったものとしては、アジサイの食中毒があります。これは、料理に添えられていた葉によって食中毒が発生した事例でした。

また、ジャガイモのように未熟なものや変色した場合に毒素を含むものもあります。山本紀夫氏の著書 ジャガイモのきた道を読むと、ジャガイモの原産地であるアンデスでは、毒性の強いジャガイモを毒抜きして食用にしていたことなどが紹介されています。現在、私たちが食用にしているもののほとんどは、より毒性が低く、可食部が多く、収量が高く、そして美味しく改良されてきたものです。その結果、食卓にのぼるものが食べても大丈夫かどうか心配する必要はほとんどありません。もし、現在でも食べ物の確保を採集に拠っていたならば、自然毒の驚異はもっと大きなものだったでしょう。これら、自然毒の食中毒は採集生活なごりともいえるでしょう。しかし、山菜やキノコの採集、釣果などを食することは大きな喜びと満足感をともなった行為であることも事実です。皆様、くれぐれも気をつけてお楽しみください。

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