今上天皇のお言葉をカットする不敬メディアの意図を推測する
2012年03月12日 09:37
2月18日に冠動脈のバイパス手術を受けられて、3月4日に退院されたばかりの天皇陛下が、昨日行われた「東日本大震災一周年追悼式」にご出席された。
以下が陛下の追悼式でのお言葉(音声版&テキスト版)である。
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2012年3月11日 東日本大震災一周年追悼式 今上天皇お言葉
東日本大震災から一周年、ここに一同と共に、震災により失われた多くの人々に深く哀悼の意を表します。
一年前の今日、思いもかけない巨大地震と津波に襲われ、ほぼ二万に及ぶ死者、行方不明者が生じました。その中には消防団員を始め、危険を顧みず、人びとの救助や防災活動に従事して命を落とした多くの人びとが含まれていることを忘れることができません。
さらにこの震災のため原子力発電所の事故が発生したことにより、危険な区域に住む人々は住み慣れた、そして生活の場としていた地域から離れざるを得なくなりました。再びそこに安全に住むためには放射能の問題を克服しなければならないという困難な問題が起こっています。
このたびの大震災に当たっては、国や地方公共団体の関係者や、多くのボランティアが被災地へ足を踏み入れ、被災者のために様々な支援活動を行ってきました。このような活動は厳しい避難生活の中で、避難者の心を和ませ、未来へ向かう気持ちを引き立ててきたことと思います。この機会に、被災者や被災地のために働いてきた人びと、また、原発事故に対応するべく働いてきた人びとの尽力を、深くねぎらいたく思います。
また、諸外国の救助隊を始め、多くの人びとが被災者のため様々に心を尽くしてくれました。外国元首からのお見舞いの中にも、日本の被災者が厳しい状況の中で互いに絆を大切にして復興に向かって歩んでいく姿に印象づけられたと記されているものがあります。世界各地の人びとから大震災に当たって示された厚情に深く感謝しています。
被災地の今後の復興の道のりには多くの困難があることと予想されます。国民皆が被災者に心を寄せ、被災地の状況が改善されていくよう、たゆみなく努力を続けていくよう、期待しています。
そしてこの大震災の記憶を忘れることなく、子孫に伝え、防災に対する心掛けを育み、安全な国土を目指して進んでいくことが大切と思います。
今後、人びとが安心して生活できる国土が築かれていくことを一同と共に願い、御霊への追悼の言葉といたします。
今上天皇は「追悼式への出席は手術前から強く望んでいたとされ、手術後も心臓機能回復のためのリハビリを黙々とこなしたという。3月4日の退院後も息切れの症状が残るなど、改善傾向が後戻りする局面もあったが、7日に右胸にたまった水を抜く治療を受け、9日にも検査を受けたうえで出席を決めていた。」(朝日新聞)という。
それだけの困難を乗り越えてまで追悼式に臨まれた今上天皇のお言葉を聞いて、私が最初に思ったのは、「陛下は原発の破局事故に対する極めて正しい認識を持っておられる」ということだ。
陛下ははっきりとこうおっしゃっている。
「さらにこの震災のため原子力発電所の事故が発生したことにより、危険な区域に住む人々は住み慣れた、そして生活の場としていた地域から離れざるを得なくなりました。再びそこに安全に住むためには放射能の問題を克服しなければならないという困難な問題が起こっています。」
「放射能は困難な問題」だとはっきり認識しておられるのだ。そして、
「今後、人びとが安心して生活できる国土が築かれていくことを一同と共に願い、御霊への追悼の言葉といたします。」
と締めくくっておられる。
あくまで個人的な意見だが、これは今上天皇がその制約された立場から出来得る最大限の原発に対する意見表明だ。
「にもかかわらず」、あるいは「であるからか」、twitter等からの情報では、マスメディアは昨日、今日のニュースでこの「放射能」の部分をカットして流しているらしい。
確かに私もいくつかのニュースを見たが、この部分は流れなかった。
決して万全でない体調を押して、それでも今上天皇が追悼式に出席されて発せられたお言葉の肝腎な部分をカットして放映するとは、日本のメディアはどこまでも不敬である(右翼は即刻抗議の街宣活動をすべきだ)。
これに対して野田の挨拶には「放射能」の「ほ」の字もない。原発事故について言及したのは「原発事故との戦いは続いています。福島を必ずや再生させ、美しいふるさとを取り戻すために全力を尽くします。」という部分だけである。
「あれ、冷温停止状態で収束したんじゃなかったかね?」と皮肉の一つも言いたくなるが、はっきり言えば福島が再生し、美しいふるさとを取り戻すことができるのは、いま日本列島に住んでいる日本人全員死んだ、そのまたずっと後のことだ。
それほどの破局事故が起き、現在も進行中であるにもかかわらず、野田の言葉はなんと軽いのか。
京都大学の小出裕章助教の言葉を借りれば、まさにそう遠くない将来に復興できるかのような「幻想を与えて」いるのであって、しかもその裏で除染や震災瓦礫の広域処理といった無意味な事業を利権化して血税を投入している。
そういう現政府や東京電力、原子力ムラにはびこる国賊連中からすると──。
今上天皇が追悼式に出席することを本音の部分では快しとしなかったのではないだろうか?
そんな想像すら私の頭には浮かんでしまう(少なくとも、今上天皇という日本でも稀なリベラリストと上記の連中が根本的に肌合いが違うことは、彼ら自身が強く感じていることだろう)。
そして、そういう本音を読み込んでいるマスメディアは、せっせと天皇のお言葉をカットし、連中のお役に立っていることをアピールしているのではないかと思ったりするのである。
※関連リンク
・「小泉靖国参拝で脳裏に浮上した天下の暴論」(2006/08/15)
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電子書籍専門出版社「志木電子書籍」代表取締役
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