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「勤続10年になるまで頑張ろう」そう考える人はどれくらいいるか。長く働いた人だけ優遇するのは短絡的です -「賢人論。」第72回佐山展生氏(後編)

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前回紹介した「知らないうちに富士山に登った人はいない」など、佐山展生氏には数々の名言があるが、「公私一体」という言葉もまた、佐山氏の生き方を知る上で欠かせないキーワードである。「公」と「私」の境を設けることなく、すべてを一体として「楽しい」と思えることに取り組むということ。そんな佐山氏に、介護業界への提言をしてもらうとともに、超高齢社会を生きる人たちの心構えなどについても聞いてみた。

取材・文/ボブ内藤 撮影/公家勇人

介護事業に必要なお金は、公的機関が受け持つのは当然。一方でお金の“出し方”を工夫しなければ問題は解決しない

みんなの介護 佐山さんもよくご存知の方だと思いますが、2年前、堀江貴文さんが自身のTwitterで介護士の給与が低いことに触れ、「誰でも出来る仕事だから単価は残念ながら上がらない」と発言して物議を醸したことがありました。これについて、佐山さんはどう思われますか?

佐山 “介護士が誰でも出来る仕事だと思いますか?”私はそう思いません。少なくとも私にはできる仕事ではないと思います。

私の母は3年前に亡くなったんですが、最後の方は認知症が進んで、私の顔を見ても誰かわからないような状態でした。ですから、介護をお願いしていた施設のスタッフの方々には本当に感謝しています。私などには真似のできない、キチンとした仕事をされていたと思います。

みんなの介護 ただ、堀江さんの言うように、介護士に払われる報酬は依然として低く、人手不足にあえいでいる事業者が多いのは事実です。どうすればこの問題を解決できると思いますか?

佐山 私は介護については素人ですから、軽はずみなことは言えませんが、どんな事業の問題点も、それを解決する策は必ず見つかると思います。

現時点で私が思うのは、介護に携わる方々が、自分の仕事にやりがいと誇りを感じられるような仕組みを作るべきではないか、ということです。人から「ありがとう」と言ってもらうことが嬉しいとか、亡くなった親の代わりにお年寄りの力になりたいとか、人によって個別の動機があると思いますが、そうした方々が自然と集まってくるような職場を作ることが重要です。そのためにも、報酬を上げることは必須だと思います。

みんなの介護 政府は介護職員の処遇改善の取り組みとして、約1,000億円規模の財源を投入し、勤続10年以上の介護福祉士に平均して月額8万円相当の賃上げを行うことを閣議決定しましたが、解決策としてはいかがでしょう?

佐山 いや、それでは効果は期待できないと思います。そんな制度があったからといって、「よし、勤続10年になるまで頑張ろう」と思う人が、どれだけいることでしょう。人手不足の問題を10年頑張ればなんて、長く頑張った人にしか支給されない手当で解決しようとするのは、短絡的な措置だと思います。10年ではなく、毎年の手当てを上げる仕組みを作らなければいけないと思います。

もちろん、介護事業を支えるためにはお金が必要です。公的機関がそれを受け持つのは当然のことですが、お金の出し方を工夫しないと問題解決にはつながらないと思います。

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