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“めげずに初入閣”片山さつきはどうして出世できるのか? - 永田町の「重用」と「利用」- urbansea

 片山さつきが地方創生担当大臣である。05年の郵政選挙の際、小泉自民党の“刺客”として選挙に出て初当選して以来13年、落選したり生活保護批判で世を賑わせたりしてきたが、それがついに初入閣を果たす。ちなみに同期当選には井脇ノブ子や杉村太蔵らがいた。「このメンツ、キャラ濃いわ~」である。

【画像】あわてて買ったドレスを身にまとう片山さつき氏

官邸HPより

福田淳一、佐川宣寿、片山さつき「呪われた57年組」

 国会議員になる以前は、女性として5人目となる大蔵省(現・財務省)キャリア官僚であった。昭和57年に入省するのだが、この年次は自殺者や逮捕される者が出たため、後に「呪われた57年組」と呼ばれることになる。同期には事務次官の座をセクハラ辞任する福田淳一や、森友問題で火だるまになった佐川宣寿がいる。福田・佐川・片山さつき……「このメンツ、キャラ濃いわ~」である。

 エリート中のエリートといわれる財務省においても、片山さつきはたいへんな自信家だったそうで、むかしの週刊誌を紐解けば、財務省関係者が「省内の飲み会では“私は女性初の事務次官になる”と豪語していたほど」(注1)だと語る。また佐川氏と片山さつきは財務省のパワハラ番付の常連で、片山さつきにいたっては「退官後も〈おかみさん〉として掲載」され続けたという(注2)。そういえば先週の週刊文春には、議員になってからは「秘書がよく辞めるので有名。『あなたはバカなんだからバカなりに頑張ればいいの!』と面罵された男性秘書もいます」との内閣府職員の証言が載る(注3)。

 事務次官を目指すほどの頭の切れを誇る片山さつきだが、議員生活は順調というわけではなかった。2度目の選挙戦では地元市議を前に土下座をして支援を依頼するがそこまでしても落選。このたびの組閣に際しても、所属する二階派からの「推薦リスト」には載せてもらえなかった。しかしめげない片山さつきである。「そこで沖縄県知事選には自ら志願して応援にかけつけ、候補者とは別行動で那覇の街を練り歩くなどアピール」(注3)する。その甲斐あって参院枠での入閣を果たすことになる。

「頭がいいだけじゃダメ」という組織での生き方

 そういえば財務省時代も、自らアピールしてポストを得ている。2004年に同期の福田氏・佐川氏と同じく主計官に昇進するのだが、週刊新潮がそのときの裏話を披露している。「主計官に昇進したのも、猟官運動をしていた彼女を見て、山拓が財務省の幹部に相談した結果」だそうで、かくして山崎拓の縄張りである防衛担当の主計官となる(注4)。「可愛いだけじゃダメかしら」とは仏映画のタイトルだが、「頭がいいだけじゃダメ」なのが組織での生き方なのだ。

 頭がいいだけでは出世できない。それはどこの世界でも同じこと。では、どういうひとが出世するのかといえば、実績を上げる者でもなく、上司に気にいられた者である。たとえばジェフリー・フェファー『「権力」を握る人の法則』は冒頭で、社会心理学者の調査などから業務実績と昇進には関係がないことを明らかにし、出世するには地位のある者に自分の存在を気づかせることが大事である、そして「上の者が気にすること」を気にするのが重要だと説く。片山さつきの大臣や主計官への道はそのお手本のようだ。

「おぼえがめでたい」とは何か?

 日本語に「おぼえがめでたい」なる言葉がある。上の立場の者からの評価が高いという意味だ。実はこれがパワハラと背中合わせにある。地位のある人物に気にいられようとする者が、そのために「自分の顔を立てろ」「自分の顔を汚すな」と下に無理強いをする。それが下へ下へと連鎖していく。そこにあっては得をするのは上の者だけである。

 そういえば森友問題の最中、週刊ポストに佐川氏を安倍首相が「官僚の鑑」と評価しているとの記事があった。「佐川長官はいわば総理の身代わりとなって批判を浴びながら、何一つ弁解しない。汚れ役になることを厭わず、自分の体面より政権を守ることを第一に考えている。総理も“佐川君こそ官僚の鑑”と高く買って」いる(注5)と。

 佐川氏は安倍首相の「おぼえがめでたい」のであった。その一方で、下に苦労がいってしまい、近畿財務局の職員が自殺に追い込まれている。その遺書には「決裁文書の調書の部分が詳しすぎると言われ上司に書き直させられた」「勝手にやったのではなく財務省からの指示があった」「このままでは自分1人の責任にされてしまう、冷たい」(注6)などと書かれていたという。

おしゃべりは利用され、無口は重用される

 政界でも安倍首相のおぼえをめでたくするために、アピールに励むひとたちがいる。そうした議員たちは「首相の意向を忖度し、“反安倍”を攻撃してくれる。首相にとっては便利な存在」で、稲田朋美のように重要閣僚で起用されることもあるので、ますます「過激化していくという構図」ができる(注7)。その果てにあるのは「保守」の名のもとでの過剰な言動である。LGBT支援批判や教育勅語復活論もそれだろう。

 ところで片山さつきの親分・二階俊博は、ときの権力者や実力者から重用されるのはなぜだと思うかと問われ、こう答えている。「そりゃ私が無口だからですよ! いろんなことを勝手に喋らないから信用されるんです」(注8)。

 おしゃべりは利用され、無口は重用される。出世は出世でも、永田町には利用と重用があるようだ。はたして片山さつきの大臣起用はどちらであろうか。

(注1)週刊新潮 2005年8月25日号
(注2)週刊新潮 2017年7月20日号
(注3)週刊文春 2018年10月11日号
(注4)週刊新潮 2005年9月1日号
(注5)週刊ポスト 2018年3月2日号
(注6)週刊新潮 2018年3月29日号
(注7)週刊文春 2018年8月16・23日号
(注8)週刊ポスト 2017年12月22日号

(urbansea)

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