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トヨタ・ソフトバンク提携で感じた両社長の温度差。業界が驚いた裏事情と勝算は?

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日本で時価総額首位のトヨタと、2位のソフトバンクが自動運転やライドシェアなど次世代移動サービス事業で提携。なぜ今、この2社なのか。その背景を考えます。(『らぽーる・マガジン』)

※本記事は、『らぽーる・マガジン』 2018年10月8日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

車を個人が所有する時代は終焉?トヨタが全力で生き残りに賭ける

豊田章男氏と孫正義氏ががっちり握手

日本の時価総額第1位と第2位の企業のトップ同士が、壇上で固い握手を交わしました。頻繁に飛び交ったのは、「モビリティー(mobility)」という言葉。移動手段全般のことを指すようで、モビリティーには「変動性」という意味もあるようです。

トヨタモビリティサービス株式会社の村上秀一社長のメッセージをホームページから拾ってみました。「自動車販売会社から、移動する人、企業のための会社」というタイトルが付けられた社長メッセージの冒頭部分です。

自動車産業が「100年に一度の大変革期」と言われる中、80年の歴史を持つトヨタ自動車は、「AUTOMOBILE COMPANY から MOBILITY COMPANY」へと、生まれ変わろうとしています。そして、私たち、トヨタモビリティサービスは、これからの社会に必要な「移動」という、人の、企業の、根源的な欲求にお応えするために生まれた会社です。

リース・レンタルを中心とした、「これまでの移動」だけでなく、社会や生活の急速な変化に対応した「これからの移動」のために皆さまに必要な、モノ、コト、そしてサービスを創造してまいります。

出典:社長メッセージ – トヨタモビリティサービス株式会社

トヨタが「家電見本市」で自動車を展示

また、トヨタ自動車の豊田章男社長は1月9日、米ラスベガスで開幕した世界最大の家電見本市「CES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)」で、「私は、トヨタを、車会社を超え、人々のさまざまな移動を助ける会社、モビリティ・カンパニーへと変革することを決意しました」と宣言しています。

「水と油」の両社が歩み寄り

トヨタの豊田社長は20年前、ソフトバンクの申し出を断っています。当時、豊田社長は課長職で、中古車インターネット商談サイト「GAZOO」を展開しているところでした。さらに「GAZOO」を新車販売に拡大しようとしているところに、ソフトバンクの孫社長から「米国で生まれた『ネットディーラー』をトヨタの国内販売ディーラーに導入しないか」という提案があり、それを豊田社長は断ったそうです。

自動車は「コモディティ(単なる商品)」になると言ってはばからないソフトバンクグループ孫正義社長、「愛車」と呼んでその価値にこだわるトヨタの豊田章男社長。

今回のトヨタとソフトバンクの提携は、GAZOOの件があったせいか「水と油」にも例えられる両社が歩み寄ったと報じられました。

トヨタは、なぜソフトバンクを選んだのか?

自動車業界を語る際に、枕詞のようによく使われるフレーズが「自動車メーカーがかつてない変化に直面している」というものです。

電動化・自動運転・ライドシェアをめぐる技術変化によって、車をつくって売るビジネスモデルは成り立たなくなるかもしれない。

業界関係者がこのように語っていますが、自動車メーカーはこの変化に対応できるのかという課題を突きつけられたトヨタとしての結論が、ソフトバンクとの提携だったのでしょう。

まさにトヨタの「生き残り戦略」なのでしょうか。

モビリティとAIをドッキングさせた「モビリティAI革命」と孫正義氏は語っていますが、トヨタがAIのパートナーとして、auでもドコモでもなくソフトバンクを選んだのは、ここまでのAIに対する孫社長のアクションにあるようです。

未来の種を見抜く先見性、目利きの力がある」。共同会見では、豊田社長は孫社長をこう評していました。

トヨタの提携企業の多くは「ソフトバンクが筆頭株主」

トヨタは20106年に米ウーバーに出資したほか、前述の通り、中国の滴滴出行などとも提携し、今年6月には東南アジア最大手のグラブに出資しました。

「グラブ」は、シンガポールミッドビュー・シティに拠点を置く配車アプリ運営企業で、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、インドネシア、ミャンマー、カンボジアで自家用車向けGrabCar、オートバイ向けGrabBike、相乗りサービスGrabHitch、配送サービスGrabExpressおよび決済サービスGrabPayを提供しています。

これらのトヨタが提携した各社はすべて、ソフトバンクが筆頭株主になっているのです。

ソフトバンクは、いずれも推定ですが、Uberに約15%、滴滴出行約20%、グラブには滴滴出行持分とあわせて約60%出資していると言われています。

日本一の企業であるトヨタが、自ら膝を崩してソフトバンクに擦り寄った背景には、この現実を見て、大きく変化する自動車業界での生き残りを目指す豊田社長の危機感があったことが伺えそうです。

※参考:CES 2018 トヨタプレスカンファレンス 豊田社長スピーチ | CORPORATE | トヨタグローバルニュースルーム

注目すべきことは、トヨタが家電見本市で自動車を展示したことです。

その自動車は、モビリティサービス専用次世代EV(電気自動車)と、電動化・コネクティッド・自動運転技術を活用したMaaS(マース)専用次世代EV「e-Palette Concept」です。

トヨタは、「移動や物流、物販など様々なサービスに対応し、人々の暮らしを支える新たなモビリティを提供する」としています。

Maas(マース)とは?

さて、展示された電動化・コネクティッド・自動運転技術を活用したMaaS(マース)専用次世代EV「e-Palette Concept」についてです。

なんだかややこしい表現ですが、また新しい言葉が出てきました。「Maas」は「マース」と読むそうで、「Mobility as a Service」という英語の省略形となっています。

このような表現はIT業界から来ているもので、「クラウド」と呼ばれる、インターネットに接続することを前提としたサービスを表すものです。

「クラウド」によるサービスには、パッケージ製品の提供ではなくインターネットを通じてソフトウェアを利用するサービス(SaaS:サース)や、グーグルやマイクロソフトに代表される、様々なアプリケーションが稼働するために必要なハードウェアやOSなどのプラットフォーム一式をインターネット経由で顧客に提供するサービス(PaaS:パース)や、グーグルやアマゾンのようにシステムが稼働するのに必要なネットワークインフラなどをインターネットを通じたサービスとして顧客に提供するサービス(IaaS:アイアース)があり、その流れで「Maas:マース」はあります。

つまり、「Maas」という表現は、このIT業界の「SaaS」「PaaS」「IaaS」の流れからきた表現です。

「MaaS」というのは交通インフラ上に「移動」をサービスとして提供することで、交通インフラとは、たとえば、道路、そしてその上を走るハードウェア(ここではクルマや車両という区別は必要ありません)、そしてそれらを制御するITシステムになります。

これらのプラットフォームを活用してサービスを提供するのが「モビリティ・アズ・ア・サービス」であり、「MaaS」なのです。

次世代電気自動車「e-Palette Concept」とは?

さて、家電見本市で展示された次世代EV(電気自動車)「e-Palette Concept」に話を戻します。

「e-Palette Concept」は、4〜7m前後の全長を想定したEV。低床・箱型のバリアフリーデザインによるフラットかつ広大な空間に、ライドシェアリング仕様、ホテル仕様、リテールショップ仕様といったサービスパートナーの用途に応じた設備を搭載します。

これを読んでも、まだ「もや〜」とした感じでしょうか。

とにかく大きな「箱」が移動するイメージで、その「箱」は、自動運転の電気自動車です。箱の中は完全な空洞で広い空間になっています。

あるときは多数の座席を準備して、人の移動手段として使います。高齢者の病院への送迎、運転免許証を返上した高齢者集落から買い物にみんなを連れていく移動手段になります。

あるときはフル装備のキッチン設備を完備し、注文を受けてから移動中に調理してご自宅などに料理を届ける移動キッチンになります。

宿泊施設を兼ね備えた移動ホテル、医療設備を完備した往診車などなど。

そして、その運行順路はAIが管理します。最適な行程を指示してくれて、事故のない走行をAIが管理してくれます。

車が「所有」から「利用」へと大きく変わろうとしている

自由な移動サービスがいよいよ現実のものとなり、車が「所有」から「利用」へと大きく変わろうとしているのです。

ソフトバンクグループ代表取締役会長兼社長の孫正義氏との共同記者会見で、プレゼンテーションの時を含め、豊田氏は「モビリティサービス」という言葉を多用していました。

トヨタは新たなモビリティサービスを実現するため、Amazon、Didi Chuxing、Pizza Hut、Mazda、Uberなどと提携して、2020年代前半にサービス実証を目指します。

2020年には一部機能を搭載した車両で東京オリンピック・パラリンピックのモビリティとして投入を目指すようです。

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