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全米の携帯電話に「大統領警報」 試験送信

米政府は3日、全米の携帯電話を対象に、国家緊急警報の試験送信を実施した。この試験で米国内の携帯電話2億台以上が「大統領警報」の試験通知を受信した。

試験は、これまで使われてこなかった緊急警報システムが適切に動作するかを確認する目的で実施された。

この緊急警報は従来の自然災害警報などとは異なり、携帯電話自体の電源を切るか、通信回線を遮断するしか受信拒否ができない。

一部の人はこの試験を「トランプ警報」と名づけているが、ドナルド・トランプ米大統領自身は今回の試験に関与しなかった。

全米規模で行われた今回の試験は、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)が監督した。同庁はもしトランプ大統領から実際に警報送信の指示が出た場合、システムを直接管理する役割を担っている。

緊急警報の発令対象となる重大危機の例は以下の通り――。

  • ミサイル攻撃
  • テロ攻撃
  • 自然災害

今回の試験通知では、警報を受信すると通知音が鳴り、画面には「これは試験です。国家無線緊急警報システムをテストしています。行動の必要はありません(太字は原文で大文字強調)」と表示された。

警報は米東部時間3日午後2時18分(日本時間4日午前3時18分)から約30分かけて、携帯電話用の通信アンテナから送信された。電話機器には通知文が1度だけ表示される仕組みだった。

この試験は2015年に法律で義務化された。同法では、最低でも3年に1度の試験実施が定められた。

試験は元々9月に実施予定だったが、ノースカロライナ州とサウスカロライナ州を中心に米東海岸を次々に襲ったハリケーン「フローレンス」に関する警報との混乱を避けるため、これまで延期されていた。

BBC北米総局は、所属記者の携帯を集めて動画を撮影。「BBCのジャーナリストが、大統領警報のためにありえないことをした。携帯電話を手放したのだ」との説明文を添えてツイッターに動画を投稿した。

警報が発信されると、ツイッターやフェイスブックはすぐに、システムの利点を議論したり、自分には通知が届かなかったと不満を述べたりする人であふれた。

画像を改変して作ったパロディ通知をソーシャルメディアに投稿する人もいた。

法的な問題

米連邦議会は、大統領がこの警報を発令できる条件に制限を設けている。議会は警報が、自然もしくは人為的災害、あるいは公共の安全に対する脅威に関連していなければならないと定めた

それでも、大統領警報システムの試験阻止や、同システムの多目的での使用にぎりぎりの努力を続けている人もいる

ジャーナリストや母乳育児の推進者、フィットネス・インストラクターの一部が、テクノロジーが「政府に強制された傾聴」から自由である権利を侵害していると主張してFEMAを合同で訴えている。

試験が子供たちに「心的外傷となる」可能性があり、同システムは乱用されやすいと、この法的運動は申し立てた。

同運動は、「トランプ(大統領)を含む当局者は、『テロ行為』や『公共の安全への脅威』を自分で適当と思う形に定義する自由を持つ。何億人もの人々に、恣意(しい)的で偏向しており非合理的な内容を基盤にした通知を流す可能性がある」と主張した。

しかし、ニューヨーク連邦地裁は3日朝、公聴会の開催要求を却下した。

ソーシャルメディア上で試験に不満をもらしたりからかったりする人も現れている。大統領の考えを知りたい人はツイッターを見ればよいと言及する利用者もいた。

米風刺雑誌マッド・マガジンは、「初の『大統領警報』が今日、全米国人の携帯に送られた。数分後、『全員に返信』ボタンを押した人からの『それは素晴らしい!』という返信2億5000万通も届いた」との創作話をツイートした。

レイチェル・フォードさんはツイッターに、「警報試験の前に携帯の電源を切る。『強制的大統領警報』よりはまだ、(かつてアップルが一方的にiTunesにダウンロードしておいた)U2のアルバムを入れたままにしておいたほうがましだ」と書き込んだ。

スティーブ・アドキンスさんは3日、「今日の米東部時間午後2時18分にドナルド・トランプが自分の携帯電話に届いた大統領警報を見たら、トランプはすごく興奮して、警報システムと自分のツイッターアカウントを連動させられないか、質問するだろう」と投稿した。

教師のアダム・ゲッサマンさんは、「14。14回。大統領警報の発令中に、学生1人の電話が突然鳴った回数だ。我々は教室での議論中、警報が鳴るたびにその数を大声で数えた。他のほとんどの生徒は、1度だけだった。私? ゼロだ。0。ナッシング。なにもなし。災害が起きたら、私は最後に知ることになるわけだ」と書いた。

ただし、警報システムが開発され導入されたのは、ジョージ・W・ブッシュ元大統領やバラク・オバマ全大統領の任期中だったと強調する人も現れている。

さらに、警報システム関連では過去に2度、誤作動が起きている。1度目はハワイでのミサイル攻撃に関する誤警報、2度目はジョン・マケイン上院議員の死去に関する大統領発表が間違った対象に送られたミスだ。

このため、システムは信用に足るかものかどうかの試験を、国民を対象として定期的に実施する必要があるのではとの議論もある。

(英語記事 Presidential alert: US mobile phones get test message

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