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訪日観光客が「Suica」をベタ褒め。アップルが惚れた技術と世界統一への明るい未来

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電子マネー「Suica」の勢いが止まりません。日本全国で使えることはもちろん、iPhoneを介して世界へ羽ばたいています。その進化と普及への道のりを解説します。(『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』岩田昭男)

※本記事は。『達人岩田昭男のクレジットカード駆け込み道場』2018年10月1日号の一部抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:岩田昭男(いわたあきお)
消費生活評論家。1952年生まれ。早稲田大学卒業。月刊誌記者などを経て独立。クレジットカード研究歴30年。電子マネー、デビットカード、共通ポイントなどにも詳しい。著書に「Suica一人勝ちの秘密」「信用力格差社会」「O2Oの衝撃」など。
岩田昭男の上級カード道場:http://iwataworks.jp/

やがて世界覇権を握る? 東京が世界一の「ICカード先進地域」へ

Suicaが全国制覇する日は近い

今回はSuicaの変貌について述べてみたいと思います。JR東日本のIC乗車券として誕生したSuicaでしたが、それがいつのまにか、駅ナカの買い物に利用できるようになり、さらには、街ナカのたとえばコンビニの買い物にも使えるようになりました。

また、PASMO・ICOCA・SUGOCAなど各地域でバラバラに導入されている交通系ICカードについて、Suicaに合体するかたちで1枚に集約できるサービスが登場しようとしています。
※参考:地域交通ICカードとSuicaを1枚に、JR東日本らが着手 – 日本経済新聞(2018年10月1日配信)

そして、カードに飽きたらなくなったSuicaは、携帯電話の中にまで活動範囲を広げ、最終的にはiPhoneの一部として世界を舞台に活躍するようになっています。

その過程はまさに、蝶が幼虫からサナギを経て、大空を飛び回る成虫に脱皮を続けていく進化を連想させます。Suicaの可能性を、私の取材と体験を元にお話したいと思います。

毎日の生活に欠かせない存在

東京オリンピックを間近に控え、観光立国の旗を掲げてインバウンド消費の増大を目論む日本にとって、キャッシュレス化が喫緊の課題です。そのキャッシュレス化に現時点で大きく貢献しているものといえば、JR東日本が発行する交通系電子マネーの「Suica」です。このことに異論のある人はいないでしょう。

今やSuicaは毎日の生活に欠かせない必須アイテムになっており、首都圏や東日本で通勤に鉄道を利用するビジネスマンや駅ビルやコンビニ、スーパーなど買い物をする人々にとって欠かせません。

Suicaの発行枚数は、2018年7月末現在で6,670万枚(『月刊消費者信用』9月号より)となっています。PASMO(3,399万枚)、ICOCA(1,845万枚)に比べダントツです。交通系だけではなく数ある電子マネーの中でもトップクラスの発行枚数を誇ります。

SuicaがJR東日本の本業(運輸業)を支えるもう1つの柱になっているといっても過言ではありません。そこでここでは、私の体験と取材をもとにしてSuicaの「進化」の過程とその魅力をあらためて見ていくことにします。

あっという間に普及

非接触IC・FeliCa(フェリカ)を搭載したSuicaが登場したのは、2001年11月でした。私はすぐにJR東日本の高田馬場駅までSuicaを買いに行きました。

最初は恐る恐る自動改札機にそっとSuicaをおくと「ピッ!」と音がして、行く手の扉が開きました。そして自動改札機をスルリと通り抜けて駅構内に入るのですが、まるで魔法を使っているような楽しさがありました。

それからSuicaはあっという間に広まり、順調に発行枚数を増やしていき、1年後には500万枚に達し、3年後の2004年末には1,000万枚の大台を突破します。

Suicaの魅力はIC乗車カードとしてだけではなく、駅ナカ、街ナカの買い物に電子マネーとして使えることです。同じフェリカ型の電子マネーにセブングループのnanacoやイオングループのWAONがありますが、発行枚数はそれらを上回りますし利用頻度も引けを取りません。

最初から全国展開を考えていた

全国のJRでも使えるように、共通規格であるサイバネ規格を採用したこともSuicaの普及に貢献しました。サイバネ規格を採用したことで、現在JRグループ各社が、それぞれ発行している交通系電子マネー(Kitaca、manaca、ICOCA、SUGOCAなど)との相互利用が可能となったのです。

理論的には、北海道から九州まで全国のJRでSuicaが使えることになっています。1987年に分割民営化によってバラバラになった国鉄でしたが、Suicaによって、オールジャパン体制が整ったと言えるでしょう。

1枚の切符が全国のJRで使えるという国鉄の復活は、心ならずも分割民営化に追い込まれた旧国鉄マン(分割民営化に巻き込まれた人たち)の夢でしたが、その1つは実現したことになります。

ビューカードが普及を後押し

Suicaの普及を促したもう1つの要因は、ビューカードの独立です。

もともとJR東日本のカード事業部だったクレジットカード部門が、2009年にSuicaを側面から応援しようと独立したのが株式会社ビューカードでした。

Suicaはプリペイド型ですから常にあらかじめお金を入れておかねばなりません。これをチャージと呼びますが、現金とクレジットカードのいずれかで入金します。

クレジットカードで入金した場合は、入金額に応じてポイントが貯まります。この時、ビューカードを使ってチャージすると、他のカードの3倍にあたる1.5%のポイントが付きます

さらにオートチャージができるのはビューカードだけで、スイカ+ビューカードの一体カードを持つとカードライフを十分に楽しめる仕組みになっています。

首都圏は世界一のICカード先進地域

Suicaのサービス開始から10年を経過した頃には、首都圏は、世界で最も進んだICカード先進地域といわれるようになっていました。

東京を中心とする首都圏ではJR東日本を中心とした鉄路が網の目のように張り巡らされ、鉄路ばかりでなく、街ナカの店でもSuicaや私鉄のPASMO、さらには楽天Edy、流通系のnanaco、WAONといったFeliCa型の電子マネーがたくさん使われていたからです。

この頃にSuicaは、月間1億件という利用件数を記録しています。しかし、ほとんどの日本人はこうしたことを知らず、重要性にも気づきませんでした。

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