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連合赤軍40年、ワタミ問題にも通じる「敗北死の肯定」という踏み入ってはいけない暗黒

大関暁夫

2012年02月28日 09:02

今年は連合赤軍事件からちょうど40年だそうで、40年前の今日2月28日はあの「あさま山荘事件」が終結した日。学校から帰ってテレビにくぎ付けで、鉄球攻撃から逮捕に至る一部始終を生中継で見たと記憶しています。連合赤軍を詳しく知ったのはこの「あさま山荘事件」が契機ではありましたが、どちらかというとこの事件の解決後に明るみに出た「山岳ベース事件」の方が数段衝撃的で、中学生という多感な時期の私の心に連合赤軍とは何であるのかという探究心が沸々とわきおこったことが昨日のことのように思い出されます。

「山岳ベース事件」はいわゆる「総括」の名の下行われた連続集団リンチ殺人事件で、群馬県の山中に作られたアジトを舞台に、12人の仲間が次々と殺されたという犯罪史上まれにみる凄惨を極めた事件でした。当時私個人は「なぜ、思想活動の下で同じ仲間を殺すに至ったのか」ということがこの事件最大の関心事であり、事件後に出された数々の雑誌記事や書籍をとにかく読み漁ったものです。至って個人的な話で恐縮ですが、私自身が持つ組織と人の心理を解明しあるべき組織運営を探求するというライフワーク的命題は、思い起こせばこの事件を機に与えられたものであるのかもしれないと思っています。

連合赤軍の「総括」は、未熟な組織リーダーがトップに立つことによる常軌を逸した組織管理が引き起こした事件でありました。この事件を主導した組織のリーダーは、広く知られるように森恒夫(73年自殺)と永田洋子(11年病死)です。森恒夫は、赤軍派の時代には敵前逃亡などの失態もある、実は気の小さい小物であったと言われています。対して革命左派出身の永田は嫉妬深い生来激情タイプの独裁者気質。セクト統合に伴う主導権争いの末、本来ふさわしくなかったリーダーの座についた森は、目に見えない永田への畏怖心にも押され言動を変貌させ強権的立場をとったと個人的にはみています(会社組織においても、気の小さいリーダーほどパワハラなどの問題を発症させ、自分に責めが及びにくい恐怖政治的独裁制に走る傾向があります)。

森は永田に煽られつつ「反抗的」「日和見」「脱落」等の理由で、次々と仲間を「総括」の名の下に殺害していきます。自身や永田が気に入らない者は、一方的に考え方を押し付けつつ「自己批判」をもとめ「総括せよ!」という抽象的な要求で批判を繰り返し、挙句に直接・間接を含めた暴力的な行為をも「総括」手段として肯定し死に至らしめる。結果、力尽きた仲間たちを「敗北死」として自らの行為を正当化するという、著しく正気を逸脱した行動に入り込むのです。周囲は、自己の防衛本能から誰もこれを止めることができず泥沼にはまり込む。リーダーの資質のない者がリーダーになり、強権的独裁体制を確立した悲劇がそこに見て取れます。

連合赤軍40年を機に、資料を読み返しその問題点をひも解く中で再会したこの「敗北死」という言葉。あらゆる組織運営にとって、絶対に肯定してはいけない言葉であると改めて連合赤軍の事件は教えてくれています。企業において仮に“脱落者”がいたとしても、組織内外に新たな道を用意し活路を開く支援をするのがリーダーのあるべきであり、いかなる理由があろうと敗者復活を認めず「敗北死」に追い込むリーダーはそもそも資質面で失格であるはずなのです。この「敗北死」という言葉を聞いて、失礼ながら私は今物議を醸しているワタミの渡邉美樹さんの顔を思い浮かべてしまいました。従業員の死を残念であるとしながらも、自己の至らなさを省みることができない姿は、まさしく「敗北死」を肯定するリーダーのそれであると思えてしまったのです。

「ヒト」「モノ」「カネ」という三大経営資源の中でも、もっともかけがえのない存在であるはずの「ヒト」。企業経営者と言うリーダーはたちは、どんな状況下にあろうとも従業員を「敗北死」に決して追い込まない経営、従業員の「敗北死」を決し容認しない経営を忘れないことこそ大切であるはずです。リーダーが「敗北死」に追い込まない、「敗北死」を容認しない勇気を持ち組織内にその風土の浸透をはかることこそ、企業という組織運営においてもパワハラや過労死や不幸な自殺を未然に防止する重要なカギを握っているのではないかと思えます。連合赤軍事件から40年を経た今なお、この事件は組織運営の教訓として十分な有効性を持っており、これをしっかりと語り継ぐ必要性を強く感じる次第です。

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