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坂本龍馬が暗殺されずに生きていたら

 今日の日本は大きな転換期を迎えている。トランプ大統領が仕掛ける貿易戦争にどのように対応するのか、また国内の時代遅れになった諸制度をどう変えていくのか。

 このような課題に直面したとき、私たちは、過去の先人たちの知恵に学ぼうとする。幕末明治維新は、大きく日本が動いた時期であり、そこに活躍した人物に脚光が集まるのも当然である。 

 NHKの大河ドラマ「西郷どん」で幕末がブームになっている。西郷隆盛とともに、坂本龍馬は32歳の若さで暗殺されたこともあって、日本人のヒーローであり続けている。

 歴史は面白い。資料を漁って新しい事実や、新しい解釈を引き出す面白さは何とも言えない。私の書庫にも龍馬関係の本が約30冊あるが、著者によって歴史解釈が異なる。

 たとえば、松浦玲『坂本龍馬』(2008年、岩波新書)を取り上げてみよう。この著者は、『勝海舟』、『横井小楠』、『新撰組』などの書を世に送っているが、この本でも丹念に資料を読み解き、当時の龍馬の足取りを追っている。手紙や当事者の証言などをもとにして、これまでの研究や出版物の明らかな誤りも正していく。

 しかしながら、細かい時代考証は、読みやすい龍馬伝を求めて本書をひもとく読者には、少し煩瑣に過ぎるかもしれない。そのような読者にも、わずか一日の違いの持つ意味、そして指導者の決断の重要さを資料が雄弁に語る醍醐味を味わってもらいたいと思う。そして、今なお坂本龍馬研究には未開拓の分野が多く残っていることを指摘しておきたい。

 暗殺される1年前、1866年12月に、龍馬は、当時の天下の人物として、「徳川家は大久保一翁、勝安房守、越前は三岡八郎、長谷部勘右衛門(甚平)、肥後に横井平四郎(小楠)、薩摩は小松帶刀、西郷吉之助(隆盛)、長州は桂小五郎、高杉晋作」をあげている。龍馬が全国を行脚して新しい国家作りに奔走した様がよくわかる。

 その新国家像は、「龍馬の八策」、「舟中八策」と呼ばれるものであるが、松浦は、これは暗殺される直前の1867年11月に龍馬が書いたもので「八義」と呼んだほうがよいと主張する。

 大政奉還後も、もし龍馬が存命ならば、王政復古のクーデターはなかったし、徳川慶喜の処遇も異なるものになっていたかもしれない。西郷すら龍馬は説得できる大人物であったということである。

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