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南京事件発言のどたばた

明天会更美好

2012年02月23日 12:15

河村たかし名古屋市長が20日、友好都市関係を結んでいる南京市の訪日代表団と会見した際に発言した言葉が物議をかもしています。

河村たかし市長は、南京市訪日代表団団長の劉志偉党委常務委員・政法委書記と会見した際、「南京市では当時、通常の戦闘行為はあったものの、南京事件はなかったと考えている」と発言しました。この発言が中国で非難の的となったのですが・・・。

私自身はこの発言への南京市の対応が、後手にまわっている印象を強く受けました。発言が中国メディアに載ったのは20日昼ごろ。中国新聞社では、日本の華字メディアの報道を引用しながら「事実関係」という形で、「南京事件否定発言」の前後の発言も交えながら伝えています。

また、別のメディアでは南京大虐殺記念館の館長が直ちに「南京事件がなかったなどという事実はない」と否定するコメントが寄せられたと伝えられましたが、当時会見した劉志偉書記が河村市長の発言に対してどう反応したかという報道はまったくありませんでした。

外交部報道官は同日夜の定例記者会見で、この発言についてコメントしていますが、外交部ウェブサイトの実録では一番最後のほうに掲載されている数行のみとなっています。

報道官は、「南京大虐殺は日本の軍国主義が中国侵略戦争で犯した残虐な罪であり、『鉄証如山(ゆるぎない証拠)』がある。国際社会でもこのことについてとうの昔に定説が存在する。日本の一部人士はあの歴史を正しく認識してこれに相対し、歴史の教訓を適切に汲み取るべきである」と発言しました。

正直言ってしまえば、この文章は中国が日本に歴史認識を求める際によく使用される常套句です。またこれまでの経緯を見る限りは、南京市も中国政府も「南京事件否定」という「非常に重いテーマ」であるにもかかわらず、かなり淡白な対応だったことが良く分かります。尖閣諸島での中国船の事件などでは中国政府はその日のうちに日本に迅速な表明を行うのですが、それと比べても非常に遅いという印象を受けました。

しかし、この発言の中にある「鉄証如山(ゆるぎない証拠)」という言葉が翌日以降の中国メディアで踊るようになります。歴史認識で日本に厳しく対処せよという通達が中共中央から南京市政府や各メディアに伝えられたのでしょう。

河村たかし市長は「南京事件はなかった『のではないか』」という意図で発言したのであり、「そういう意見が存在していることを踏まえたうえで腹を割って話し合える関係になろう」というのが真意であることはあきらかです。しかし中国メディアは当初から「名古屋市長が南京事件を否定」といういささか歪曲された見出しをつけ、扇動的な記事にしてしまったのです。

中国ではネットやメディアの力は絶大です。日中の歴史問題や領土問題に敏感な中国人はこのような記事にすぐさま反応し、河村たかし市長、そして南京市政府に集中砲火をあびせました。メディアも河村批判一色となりました。

あわてたのが南京市政府です。日本の共同通信は20日、劉志偉政法委書記は20日に河村たかし市長の南京事件発言を聞いた後も終始笑顔で対応し、「会見は和やかに進んだ」と報じており、そのニュースは中国でも伝わっていました。

南京市政府は21日1日で3回もコメントを発表し、市政府側の考えについて釈明しました。さらに市は21日夜に声明を出し、代表団は発言当時、その場で名古屋市に対応したとし、「日本のメディアは河村市長の発言を『選んで』報道し、南京市代表団の当時の反応を客観的に報道せず、機会に乗じて騒ぎ立てた。このことについて極めて憤慨している」と表明したのです。

さらに南京市は同日、名古屋市との交流の一時停止を決めました。1日に3回のコメント、1回の声明、そして交流関係の停止決定と・・・これだけで見ても南京市がどれだけ「必死」だったか良く分かります。

河村市長が発言したのは20日午前。しかし南京市代表団の帰国は21日午後でした。発言があった際、南京市側には抗議して即座に帰国という手もあったはずです。それにもかかわらず日本で滞在したということは、劉志偉政法委書記は河村市長の発言に「問題なし」と考えていたわけで、「当時笑顔で対応した」とする報道に信憑性を与えています。その後の対応は中央からの強い働きかけなのでしょう。

歴史問題というと日中共に非常に感情的になってしまいますが、お互い硬軟織り交ぜて臨機応変に対処すべきだということを今回の事件が私たちに教えてくれているような気がします。

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